労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る] [顛末情報]
概要情報
事件名  郵便事業 
事件番号  広労委平成21年(不)第5号 
申立人  郵政労働者ユニオン中国地方本部、同安芸府中支部、X2 
被申立人  郵便事業株式会社、同中国支社、同広島東支店、同安芸府中支店 
命令年月日  平成23年1月7日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社が申立人組合安芸府中支部の書記長であった申立人X2に対し安芸府中支店から広島東支店への異動を命じたことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 広島県労委は、被申立人郵便事業会社に対し、①X2の原職復帰、②組合への文書交付を命じ、同社に対するその余の申立てを棄却し、その他の被申立人に対する申立てをいずれも却下した
命令主文  1 被申立人郵便事業会社は、申立人X2に対する平成21年4月1日付け郵便事業株式会社広島東支店第二集配課主任への異動をなかったものとして取り扱い、同人を原職に復帰させなければならない。
2 被申立人郵便事業株式会社は、本命令書受領の日から2週間以内に、下記の文書を申立人郵政労働者ユニオン中国地方本部及び同安芸府中支部に交付しなければならない。
平成 年 月 日
郵政労働者ユニオン中国地方本部
 執行委員長 A 様
郵政労働者ユニオン安芸府中支部
 支部長 B 様
郵便事業株式会社 
代表取締役社長 C
 当社が、貴組合所属の組合員X2に対して平成21年4月1日付けで郵便事業株式会社は安芸府中支店郵便課主任から同広島東支店第二集配課主任への異動を命じたことは、広島県労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないようにします。
 (注:年月日は文書を交付した日を記載すること。)

3 申立人らの被申立人郵便事業株式会社に対するその余の申立てを棄却する。
4 申立人らの被申立人郵便事業株式会社中国支社、同広島東支店及び同安芸府中支店に対する申立てをいずれも却下する。
判断の要旨  1 中国支社、広島東支店及び安芸府中支店の被申立人適格について
 中国支社、広島東支店及び安芸府中支店は、法人たる会社の部分的な組織にすぎず、不当労働行為救済命令の名宛人である法律上独立した権利義務の帰属主体となり得ないものと判断するのが相当であるから、被申立人適格を認めることはできない。
2 本件異動命令は、労働組合の正当な活動を理由とする不利益取扱いに該当するか。
 労組法7条1号の「不利益な取扱い」にいう「不利益」とは、組合活動上の不利益をも含むものであるところ、本件移動命令後、申立人X2は安芸府中支店の職場の問題に取り組むことは困難となり、また、窓口担当正委員の任期を残していたにもかかわらず、窓口交渉の担当となることを同支店において拒否されていたことから、これまでのような組合活動ができなくなったものと認められる。したがって、本件異動命令により、同人に組合活動上の不利益が生じていると認めることができる。
 本件人事異動予定者の決定は、安芸府中支店と安芸府中支部との労使関係が従来から必ずしも良好なものであったとはいえないという事情の下で、特にX2が中心となって同支部が非正規社員の問題に取り組んでいた時期と極めて接着した時期に行われており、かつ、異動命令に係る業務上の必要性並びに対象者の選考基準及び人選の合理性を認めることは困難である。
 これらのことを勘案すれば、本件異動命令は、X2が正当な組合活動をしたことを理由としてなされたものといわざるを得ず、同条1号の不利益取扱いに該当する。
3 本件異動命令は、労働組合の活動に対する支配介入に該当するか。
 上記2で述べたとおり、本件異動命令に係る業務上の必要性並びに対象者の選考基準及び人選の合理性を認めることは困難であり、また、X2の人事異動の決定は同人が中心となって安芸府中支部が非正規社員の問題に取り組んでいた時期と極めて接着した時期に行われた。さらに、X2は支部書記長という労働組合の要職に就き、組合活動の中心的役割を担っていた。
 また、本件異動命令前後の同支部の組合活動の状況をみると、X2を欠いたことによって著しく減退したことが認められる。
 以上のことを勘案すれば、本件異動命令は、同支部の活動を減退させ、もってその弱体化を図る意図に基づいてなされたと解するのが相当であるから、労組法7条3号の支配介入に該当する。
4 本件異動命令は、前支部長の異動に係る不当労働行為救済申立てを理由とする不利益取扱いに該当するか。
 組合等は、本件異動命令は、過去に組合が前支部長の異動について中労委に対して不当労働行為の救済を申し立てた活動においてX2が大きな役割を担ったことへの報復であると主張するが、これを認めるに足る疎明がないことから、認められない。 
掲載文献   

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
広島地裁平成23年(行ウ)第3号 棄却 平成24年9月26日
広島高裁平成24年(行コ)第26号 棄却 平成25年4月26日
 
[全文情報] この事件の全文情報は約286KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。