概要情報
事件名 |
西日本旅客鉄道 |
事件番号 |
京労委平成20年(不)第3号 |
申立人 |
X |
被申立人 |
西日本旅客鉄道株式会社 |
命令年月日 |
平成22年11月2日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社が①申立人が勤務時間中に組合バッジを着用していたことを理由として同人に訓告を行うとともに、夏季手当等を減額したこと、②定期昇給に際して申立人の仕事給昇給額の評価区分をD評価としたことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
京都府労委は、申立てをすべて棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 本件訓告は不当労働行為に該当するか。
本件訓告は、被申立人会社が認めるもの以外の胸章等の着用禁止、勤務時間中の組合活動の禁止などを定めた同社の就業規則に違反することを理由として発せられたものであり、当該就業規則の規定自体は合理性を有するものと考えられる。また、使用者の許可を得ない勤務時間中の組合活動であっても、実質的に企業秩序を乱すおそれのない特別の事情があると認められる場合には、正当な組合活動として許容されるものと考えるべきであるが、申立人の職場に同人が所属する国鉄労働組合(国労)以外に2つの労組が存在する状況の下で、同人は他の国労の組合員及び他の労組に対しての呼びかけも意図して国労バッジを着用していることが認められることから、職場に同一労組内及び労組間の対立を持ち込みかねない点において当該特別の事情があると認められる場合に該当するとはいえない。さらに、本件バッジ着用は、サービス業である会社の業務に従事する者に求められる労務提供義務と両立しないものであり、この点においても正当性は認められないものといわざるを得ない。
会社はかねてから国労バッジの着用者に対する注意指導の徹底を図り、厳重注意を2回発令しても着用をやめない者に対しては訓告を行うこととしていたものであり、本件訓告は国労に加入後、一貫して同バッジの着用を継続している申立人に対して手順を踏んで執られた措置であると認められることからすれば、不当労働行為意思をうかがわせるような事情は存しない。
また、申立人は本件訓告等が同人を孤立させて国労内部を分裂させることにより国労組織を弱体化・解体させることを目的としたものであると主張するが、同人が国労執行部の方針に反対する活動を行っていることは認められるものの、会社がこのような活動を嫌悪していたことを示す事実等についての疎明はなく、この主張は採用できない。
2 夏季手当等の減額は、不当労働行為に該当するか。
本件減額は、申立人の勤務成績不良を理由とするものであるが、本件バッジ着用を理由とする減額扱いに不合理な点はなく、また、勤務成績不良を示すものとして挙げられている事由はいずれも事実と認められる。よって、本件減額は正当なものであると認められ、不当労働行為とはいえない。
3 定期昇給に際してのD評価は、不当労働行為に該当するか。
(上記2と同様) |
掲載文献 |
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