労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名 大阪府労委平成20年(不)第70号
事件番号 大阪府労委平成20年(不)第70号
申立人 X労働組合、組合員X1
被申立人 株式会社Y1、支店Y2
命令年月日 平成22年4月12日
命令区分 一部救済
重要度  
事件概要 本件は、被申立人会社らが、(1) 申立人組合において、労働条件の改善等の正当な組合活動を行っていた申立人X1に対して懲戒処分を行ったこと、(2) 同人の懲戒処分を議題とする団体交渉に応じないこと、が不当労働行為に当たるとして申し立てられた事件である。
大阪府労委は、Y1会社に対し、(1) X1に対する懲戒処分に係る団交応諾、(2) 文書手交を命じ、その余の申立てを却下ないし棄却した。
命令主文 1 被申立人Y1は、申立人X組合から申入れのあった組合員X1に対する平成20年7月7日付け懲戒処分に係る団体交渉に応じなければならない。
2 被申立人Y1は、申立人X組合に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。

年  月  日  

  X
  支部長   X2   様
Y1            
代表取締役   A  

 当社が、貴組合員X1氏に対する平成20年7月7日付け懲戒処分に係る団体交渉に応じなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
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3 被申立人Y2に対する申立てを却下する。
4 申立人らのその他の申立てを棄却する。
判断の要旨 1 争点1(Y2支店は、被申立人適格を有するか。)について
Y2支店は、Y1会社(以下「会社」という。)の組織上の構成部分にすぎず、不当労働行為救済命令の名あて人たる法律上独立した権利義務の帰属主体と認めることはできない。
2 争点2(平成20年7月7日付けのX1に対する懲戒処分は、組合員であるが故の不利益取扱いか。)について
組合は、会社が組合員及び組合活動を嫌悪しており、X1の抗議をきっかけとして、同人に対し、懲戒処分を行ったもので、かかる会社の行為は、組合活動を抑え込むことを目的になされたものでもあるから、労組法7条1号及び3号に該当すると主張する。
しかし、組合と会社との労使関係は、必ずしも良好であったということはできないものの、X1は、就業規則に反する非違行為を行っており、また、同人に対する本件戒告処分が、その内容や会社における他の処分事例と比較して相当性を欠くとまでいうことはできないのであるから、本件戒告処分が組合員であるが故の不利益取扱いとはいえず、この点に関する組合の申立ては棄却する。
3 争点3(会社が、X1の懲戒処分に係る団交に応じないことに正当な理由はあるか。)について
(1)会社は、労使協約等によって、懲戒、解雇等個別的人事権の行使に関する事項は、経営専決事項として、団交事項から除外されているから、会社が組合からの団交申入れに応じないことは、不当労働行為に該当しない旨主張する。
(2)会社と組合が19年9月28日に締結した労使協約の第11条には、経営専決事項を団交の対象事項としない旨が規定されるとともに、同日付附属覚書の第4条に規定される「経営専決事項」には、「懲戒、解雇等個別的人事権の行使に関する事項」が含まれていることが認められるが、当該処分の実施により組合員の賃金その他の労働条件に影響が及ぶ場合には、憲法28条及び労組法が労働者に団交権を保障していることに鑑み、会社は、団交に応じなければならないと解すべきである。
(3)会社の「社員給与規程」には、懲戒処分を受けた者は昇給号俸が減ぜられることや夏期手当及び年末手当が減額されることが規定されており、X1は本件戒告処分の実施によって、賃金に影響を受けることが明らかであり、組合からの団交申入事項は、その戒告処分に関わるものであったということができるから、会社は、組合からの団交申入れに応じるべきであったとみるのが相当である。
(4)以上のとおり、会社が組合からの団交申入れに応じなかったことに正当な理由があったとは認められないのであるから、かかる会社の対応は、労組法7条2号に該当する不当労働行為である。
掲載文献  

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成22年(不再)第29・31号 棄却 平成23年7月20日

 
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