労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名 日本レストランシステム
事件番号 中労委平成21年(不再)第35号
再審査申立人 日本レストランシステム株式会社
再審査被申立人 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部
命令年月日 平成22年6月2日
命令区分 棄却
重要度  
事件概要 本件は、各種レストランチェーン店の経営を業とする会社が、平成20年12月22日付けで組合が行ったアルバイト社員である組合員Xの労働条件等を議題とする団体交渉申入れに対して、「業務多忙につき、大阪に赴き交渉する余裕がない」等とした回答書を送付し、組合からの電話において組合の要求事項に応じる義務がない旨述べるなど、団交に応じなかったことが、不当労働行為に当たるとして、救済申立てがあった事件である。
初審大阪府労働委員会は、組合が行った団交申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団交拒否であって、労組法7条2号に該当するとし、その後、団交が開催され協定書が成立し、組合員Xが退職したとしても、組合の救済利益は失われないとして、会社に対し、本件不当労働行為について文書手交を命じたところ、会社は、これを不服として、再審査を申し立てたものである。
命令主文 本件再審査申立てを棄却する。
判断の要旨 1 組合からの団交申入れに対する会社の対応は、労組法7条2号に当たるか。
組合からの団交申入れに対し、会社は、業務多忙につき、大阪に赴き交渉する余裕もないため、団交に応じる義務はないと考えていること、Xの業務シフトについては、会社に問題があるとは考えていないので、組合の要求には応じかねることを文書で回答した。また、組合からの電話に対し、会社人事部長は、組合からの要求事項に応じる義務はないと考えている旨述べている。以上のことからすると、会社は、組合の存在を軽視し、これを拒否する姿勢を明確にしたものといわざるを得ない。加えて、再度、団交開催を申し入れる旨等を記載した書面に対しても何らの返答を行っていないことからみても、会社に本件団交拒否に正当な理由があるということはできず、不当労働行為に当たる。
2 本件については、その後、団交が開催され協定書が成立し、組合員Xが退職しているが、なお救済の利益は存在するといえるか。
①団交申入れに対する会社の対応は、団交拒否の不当労働行為に該当すること、②21年3月に至って団交が開催され、協定書が成立したとしても、当然には労使関係の秩序は回復されるものではなく、特に本件においては、分会要求書にある「組合員Xの契約時の労働条件を履行すること」に関して、早急に団交により解決を図る必要性があったにもかかわらず、会社の団交拒否により適切な時期における交渉の機会を喪失したものであり、本件団交拒否の不当労働行為該当性を確認することに意義があること、③さらに、会社主張のように組合員Xの退職を理由として救済利益が失われたとするならば、団交拒否を継続することにより、会社が不当に組合との団交を回避する事態を生じかねないことから、本件において救済利益は失われたとする会社主張は採用できない。
会社内における組合員の存否は明らかではないものの、組合が被った組合員Xの労働条件等につき団交の機会を喪失したという被害を回復させ、会社の不当労働行為責任を明確にする必要があることから、本件命令主文のとおり文書手交を命ずるのが相当である。
掲載文献  

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成21年(不)第1号 全部救済 平成21年9月24日
 
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