労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名 エッソ石油(平成8年度一時金)
事件番号 中労委平成10年(不再)第36号
再審査申立人 スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合
再審査被申立人 エクソンモービル有限会社
命令年月日 平成22年5月19日
命令区分 棄却
重要度  
事件概要 本件は、会社が、平成8年度一時金に関する団体交渉において、組合に対し、会社裁量で配分する部分の具体的な配分方法及び評価基準等を明示しなかったことが、労組法7条2号の不当労働行為に該当するとして、救済申立てがあった事件である。
初審大阪府労委は、本件団交における会社の対応に不当労働行為は認められないとして、申立てを棄却したところ、組合はこれを不服として再審査を申し立てた。
命令主文 本件再審査申立てを棄却する。
判断の要旨 会社による本件団交の対応は不誠実であったかについて、以下検討する。
1 組合は、「会社が一時金会社配分の内訳等について協議事項ではないとして組合との協議を拒否し続けてきたことを問題とし、本件団交においても、会社は会社配分の一部を小出しに明らかにしたものにすぎず、誠実な対応をしたとはいえない」旨主張する。
本件団交においては、会社は、会社配分の内訳等は会社の裁量事項であるという立場を主張しつつも、従来明らかにしていなかった評価区分ごとの配分率や対象人数の割合等について、具体的に回答している。
そうすると、本件団交において、会社が会社配分の内訳等の協議を拒否したとはいえないし、査定配分に係る事項についても、組合の要求のすべてに応じたものではないが、それ相応の回答はしているのであるから、会社の対応が不誠実であったとはいい難い。
なお、第4回及び第5回団交は、本件申立ての後に行われたものであるが、同申立ては8年度一時金交渉の継続中(しかも第1回団交から1週間も経ていない間)に行われているのであるから、これらの団交も同年度一時金を巡る一連のものとして、本件不当労働行為の成否の判断に当たり考慮するのは当然である。
2 組合は、「会社配分枠を5%から7.5%に拡大した理由についてもより詳細な説明を行うべきであった」旨主張する。
会社は、7年度一時金交渉のころから既に会社配分の拡大を示唆しており、8年度賃上げ交渉の際に、賃上げの会社配分に定額配分方式を導入する理由として、年功的要素を少なくし、既に十分高い給与水準部分について賃金カーブを寝かせていく必要がある旨説明していた。
本件団交においては、会社は、第2回団交で貢献度の高い人に報いることで志気を高め、各年齢層で適切な年収を維持するためには、同年度一時金の会社配分に2.5%の定額部分を加えることが必要であると説明している。また、第3回団交では、定額部分は成績査定と関係がなく、会社配分全体では評価による差は拡大しないこと、定額部分は会社が望ましいと考えている平均的な年収カーブに近づけるために導入するもので、年収カーブは中高年齢層で平らになるか又は下がることを説明し、第4回団交では、団交の場で会社が目標とする年収カーブそのものを明示することはできないが、労使協議会に似た場を作ることを検討してもらえれば、会社としても話をする姿勢はあるとの提案もしている。
以上からすると、会社は、本件団交において、組合に対して会社配分枠拡大の理由や定額配分の内容について一定の説明はしていると認められ、会社の団交態度が不誠実であったとまではいえない。
そして、第5回団交において、会社が、定額配分における基本給別の金額及び会社が目標とする各年齢層ごとの年収について明らかにしないと回答したのに対し、組合は、団交の場ではそれ以上追及することもなく、不満としつつも一時金交渉の妥結に応じているのであって、会社があえて協議を尽くさないまま交渉を打ち切り、一方的に会社配分枠の拡大を決定したと評価することもできない。
3 以上の次第であるので、本件団交における会社の対応は不誠実であったとはいえず、労組法7条2号の不当労働行為は成立しない。
掲載文献  

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成8年(不)第19号 棄却 平成10年9月29日
 
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