労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名 日本モーターボート競走会
事件番号 中労委平成21年(不再)第13号
再審査申立人 財団法人日本モーターボート競走会
再審査被申立人 連合福岡ユニオン
命令年月日 平成22年3月31日
命令区分 一部変更
重要度  
事件概要 1 平成20年4月1日、各都府県のモーターボート競走会等の解散、新設法人への一元化に伴い、(社)福岡県モーターボート競走会(「県競走会」)の傭員であった組合員(「分会員」)は、嘱託として法人に雇用された。組合は、分会員の法人における労働契約等について、開催場所を福岡市内と指定して団交を申し入れたが、法人は、団交開催場所を東京都内と指定し、また、団交議題を限定し、団交は開催されなかった。
 本件は、上記法人の対応が実質的な団交拒否に当たるとして、福岡県労委に救済申立てがあった事件である。
2 初審福岡県労委は、上記法人の対応に正当な理由は認められず団交拒否に該当するとして、法人に対し、①誠実団交応諾、②本件団交及び今後申し入れられる団交につき、開催場所に係る協議が調うまでの間、福岡市内で団交に応じること、及び③文書手交を命じたところ、法人はこれを不服として再審査を申し立てたものである。
命令主文 本件命令主文を次のとおり変更する。
1 再審査申立人財団法人日本モーターボート競争会は、再審査被申立人連合福岡ユニオンが、平成20年4月8日付けで申し入れた団体交渉について、福岡市内において団体交渉を開催し、誠実に対応しなければならない。
2 再審査申立人財団法人日本モーターボート競争会は、本命令交付後において再審査被申立人連合福岡ユニオンから団体交渉申入れがあった場合には、福岡市内において、団体交渉開催の場所につき、同市内での開催を含め、同ユニオンと誠実に協議して決定しなければならない。
3 再審査申立人財団法人日本モーターボート競争会は、本命令交付の日から10日以内に次の文書を再審査被申立人連合福岡ユニオンに交付しなければならない。

平成 年 月 日
連合福岡ユニオン
代表執行委員長 X1 殿
財団法人日本モーターボート競争会
代表者会長(理事) Y1 (印)
財団法人日本モーターボート競争会が行った下記の行為は、中央労働委員会によって労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為と認定されました。 今後、このようなことを行わないよう留意します。

連合福岡ユニオンが平成20年4月8日付けで申し入れた団体交渉について、団体交渉事項を同ユニオンが要求した事項の一部に限定し、開催場所を東京都内に限定したこと。
判断の要旨 本件団交拒否の労組法7条2号該当性について
1 本件団交要求事項は解決済みか
(1) 本件団交要求事項は、法人の組織や就業規則の説明等を求めるものを含むほか、将来にわたる労働条件の改善にもかかわるものであり、また、労働契約が締結済みであるとしても、説明や内容の改善を求めるために団交を求めることは妨げられず、さらに、法人はこれらについて全く団交を行っておらず、県競走会が行った団交等をもって法人が団交を尽くしたと評価できる事情もない。
(2) 県競走会が解決金支払いの前提として、法人との団交によって改善を求めることを含め一切の異議を唱えないことを求めていたような事情はなく、組合がそのような確約をした事実もない。さらに、本件団交要求事項は20年度労働契約に関するものに止まるものではない。
(3) 以上のとおり、本件団交要求事項が解決済みであるため団交拒否に正当な理由があるとの法人の主張は失当である。
2 本件団交要求事項は、団交議題たり得ないか
 団交要求事項のうち、他の競走場の労働条件の提示については、労働条件改善のための団交の資料として活用することが可能であり、説明を求めることは労働組合として合理的な要求である。また、就業規則の交付要求については、就業規則は、労働条件等の改善を求めて行われる団交の基礎となるものであり、労働組合が団交に際して就業規則を使用者に求めることは、特段の事情がない限り、団交議題に当たる。
 以上によれば、本件団交要求事項が団交議題たり得ないということはできず、団交拒否に正当な理由はない。
3 団交の開催場所について
(1) 団交の開催場所は、本来労使双方の合意によって定めるのが原則であるが、合意が成立しないことから使用者が交渉場所を指定し、労働組合がこれに同意しないため、結局団交がなされなかった場合においては、組合員の就業場所等、当該組合と使用者の労使関係が展開している場所を基本としつつも、使用者がそれ以外の場所を指定したことに合理的な理由があり、かつ、当該指定場所で団交をすることが当該組合や組合員に格別の不利益をもたらさないといえるときには、使用者が指定場所以外での団交に応じないことには正当な理由が認められうるが、これらの事情が認められないときには、他に特段の事情がない限り、使用者は正当な理由なく団交を拒否したものと解するのが相当である。
(2) 団交場所の東京限定については、福岡市内で開催しても、法人本部から赴くことが必須ではなく、県競走会を代表して団交に当たってきた福岡所在の理事らが交渉担当者となることができ、妥結については適宜の措置をとれば足りることなどから、限定に合理的理由があるとはいえない。また、東京での団交は、福岡県内を中心に活動している組合や分会員に格別の不利益をもたらすものといえる。さらに、別組合とは東京都内で行っているとの法人の中立保持義務に関する主張は、東京に限定することを正当化する事情に当たるとはいえず、他に法人の主張を根拠付ける特段の事情も見当たらないので、組合が開催場所に同意しないことを理由に本件団交を拒否したことには、正当な理由がない。
掲載文献  

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
福岡県労委平成20年(不)第7号 全部救済 平成21年2月27日
 
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