概要情報
事件名 |
エッソ石油(社宅立退き) |
事件番号 |
中労委平成9年(不再)第39号 |
再審査申立人 |
スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合京浜支部連合会、組合員X1 |
再審査被申立人 |
エクソンモービル有限会社、初審申立時はエッソ石油株式会社 |
命令年月日 |
平成21年12月2日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、①組合員X1に対し、会社が社宅として借り上げた賃貸住宅(以下「本件社宅」)から立退きを命じ、警告書(以下「本件警告書」)を発したこと、②X1の転居先住居(以下「本件住居」)及び転居費用(以下「本件転居費用」)等に「転勤者のための社宅援助規定」(以下「社宅援助規定」)を適用しなかったこと、③X1が本件住居から同人の購入した住居(以下「自宅」)へ引っ越しする際に特別休暇を付与しなかったこと、④X1が有給の傷病欠勤の取扱いを受けた期間中に出勤させたこと(以下「本件出勤」)、が労働組合法第7条第1号及び第3号に該当するとして、神奈川県労委に救済申立てがあった事件である。
神奈川県労委は、組合の救済申立てについて、本件出勤については却下し、その余について棄却することを決定したところ、組合はこれを不服として再審査を申し立てた。
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命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。
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判断の要旨 |
(1)本件社宅からの立退きを命じ、本件警告書を発したことについて
京浜支部連らは、会社がX1に対し、本件社宅からの立退きを命じ、本件警告書を発したことが、X1に対する不利益取扱いであり、組合に対する支配介入である旨主張するので、以下検討する。
ア 京浜支部連らは、会社が、X1がC型肝炎の治療により虚脱状態に陥っていたのに乗じて社宅立退き攻撃を行ったとか、X1の都合を考慮せずに一方的に立退きを強制したなどと主張するが、いずれの主張も採用の限りではなく、会社が、X1が組合の組合員であるが故に、本件社宅からの立退きを画策ないし強制し、あるいは、同人の病気の時期をねらって立退きを強制したとは認められない。
イ 会社が、X1に対し、再三にわたり本件社宅からの立退きを命じ、本件警告書を発したのは、家主との合意事項を守り、会社の対外的信用を維持するためであったと考えられ、会社の対応には相応の理由があったと認められる。
ウ 以上の次第であるから、会社がX1に対し本件社宅からの立退きを命じ、本件警告書を発したことは、不当労働行為意思に基づくものとは認められず、労働組合法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に該当するとはいえない。
(2)社宅援助規定の不適用について
京浜支部連らは、会社が本件社宅(4年11月1日から同月7日)及び本件住居(同月8日から5年9月22日)並びに本件転居費用について社宅援助規定を適用しなかったことは、X1に対する不利益取扱いであり、組合に対する支配介入である旨主張するので、以下検討する。
ア 上記(1)で判断したとおり、会社の社宅立退き指示には理由があり、不当とはいえないにもかかわらず、X1は、会社の同指示に従わず、会社が用意した社宅への入居も拒否するなど、自ら遵守することを誓約した社宅使用規則を守らなかったのであって、同規則を守られない者に社宅援助規定を適用しないこととした会社の対応を一方的に非難することはできない。
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掲載文献 |
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