労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名 大谷学園
事件番号 中労委平成20年(不再)第26号
再審査申立人 学校法人大谷学園
再審査被申立人 ユニオンちれん・ユニオンちれん大谷学園支部
命令年月日 平成21年7月1日
命令区分 棄却
重要度  
事件概要 1 本件は、学園が、(1)19年1月に支部が団体交渉を申し入れた退職金問題及び駐車場問題は、同年度春闘で取下済みであるとして団体交渉を拒否したこと、(2)両組合連名による同年4月の団体交渉申入れについて、上記問題は交渉事項ではない、また、組合員以外の交渉参加はルールに反するなどとして団体交渉を拒否したことが、労働組合法第7条第2号に該当するとして救済申立てのあった事件である。
2 初審神奈川県労委は、上記(2)について不当労働行為と認め、学園に対し、両組合との誠実団交応諾と文書手交を命じ、その余の救済申立を棄却した。
3 学園は、初審命令の救済部分の取消しを求めて、再審査を申し立てた。
命令主文 1 本件再審査申立てを棄却する。
ただし、初審命令主文第1項及び2項を次のとおり訂正する。
1 学園は、両組合が19年4月25日付け「要求書」で申し入れた団体交渉について、 退職金問題及び駐車場問題は団体交渉の対象事項ではないとし、また、支部組合以外の 者が参加することは団体交渉ルールに反するなどとして拒否してはならず、誠実に応じなければならない。
2 (上記1に係る)文書手交
判断の要旨 争点1 両組合は申立適格に欠け、また、救済申立権を濫用している旨の学園主張
労働組合法第27条第1項の救済申立資格は、同法第5条第1項の規定に基づく労働組合資格審査要件(同法第2条及び第5条第2項)に適合するほかに格別な要件はない。当委員会は両組合の上記資格について適格決定しており、学園主張は採用できない。
争点2 学園による本件団交拒否の労働組合法第7条第2号該当性
(1) 組合には労働組合法第7条違反の前提となる社団性が欠けている旨の学園主張について
両組合は労働組合法に適合している旨決定され、学園主張は採用できない。
(2) 学園の団体交渉拒否には正当な理由がある旨の学園主張について
ア 退職金問題及び駐車場問題は取下げにより決着済みだとする学園主張について
上記問題につき、学園の態度は、同問題を取下げなければ賃金についての妥結はできないというものであり、これに対して支部は、次年度に再度要求を行うかたちで要求を繰り返してきたものであったことからすれば、取下げによって同問題が実質的に解決したと見ることはできず、取下げは当該年度においては解決済みとして取扱う旨の合意にすぎないとみられるから、学園主張は採用できない。
イ 本件要求事項は義務的団体交渉事項ではないとする学園主張について
退職金は労働条件に関する問題であり、両組合の要求は、学園の現行退職金制度に金額を上積みする制度の実施要求であって制度を誤解したものではなく、他私学の資料が開示されなければ交渉を開始できないものでもないから、学園主張は採用できない。また、駐車場問題の要求は、勤務地による無償駐車場の有無から生じた労働条件の格差是正が趣旨であって勤務上の取扱いに関するもので、是正の目的も、無償化による平等にあって、駐車場の有償化措置によって解決したとはいえない。
ウ 支部組合員以外の者が出席する団体交渉の拒否には正当な理由があるか
○ 2年の和解で、団体交渉出席者を支部組合員に限る合意がなされた旨の学園主張について
2年当時の紛争に係る和解及び合意書において、支部が本部含め第三者に団体交渉を委任せず、本部が学園に対する団体交渉権を行使しない合意などがなされた事実は認められない。
○ 団交出席者を支部組合員に限るという慣行がある旨の学園主張について
本部が、2~18年度まで団体交渉に出席していない状態のみをもって、直ちに、労使間に拘束力を有する程度に成熟した慣行であると認めることはできず、単に支部が第三者への委任権を事実上行使しなかったことの結果にすぎず、学園主張は採用できない。
○ 本部と学園の間に、本部が団体交渉権を行使しない慣行がある旨の学園主張について
団体交渉権は労働組合の基本的かつ重要な権利である。本部が、2年の和解以降18年まで団体交渉を申し入れていない理由は、その間、殊更に団体交渉権を行使するような紛争が生じていかったためとみるのが相当で、14年度以降の学園の交渉態度に対応して本部は、19年2月に至って支部と連名で団体交渉を申し入れたとみることができ、学園主張は採用できない。
争点3 救済内容の相当性
初審命令主文第1項は両組合の19年4月25日付け申入れに係る団体交渉に誠実に応ずべき事を命ずる趣旨と解されるが、この趣旨をいうものとしてはやや明確性を欠くので訂正する。
掲載文献  

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
神奈川県労委平成19年(不)第6号・第19号 一部救済 平成20年7月15日
東京地裁平成21年(行ウ)第429号 棄却 平成22年10月21日
 
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