概要情報
事件名 |
小嶋工業 |
事件番号 |
中労委平成19年(不再)第67号 |
再審査申立人 |
全日本建設運輸連帯労働組合東海地区生コン支部 |
再審査被申立人 |
小嶋工業株式会社 |
命令年月日 |
平成20年10月1日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
(1)本件は、会社が、(1)組合員の定年退職に伴い、組合が欠員補充に関する協定に基づき申し入れた雇用の要求に応じなかったこと、(2)同協定の解約を通知したこと、(3)団体交渉を一方的に打ち切ったこと、(4)定年退職となる組合員の再雇用要求に応じなかったことが不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。 (2)初審愛知県労委は、会社に対し、団体交渉を打ち切ったことに関する文書交付を命じ、その余の申立てを棄却した。 (3)組合は、これを不服として、再審査を申し立てた。
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命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
ア組合が、組合員の定年退職に伴い、9年3月18日付け確認書に基づき組合が推薦する者を雇用するよう求めたのに対し、会社が拒否したことは労組法7条3号の不当労働行為に該当するか 会社は、16年3月18日の団体交渉において、組合の欠員補充要求に対し、9年3月18日付け確認書中の優先雇用協定は締結後3年を経過したことにより失効したとして応じず、また同年12月13日及び21日の話合い及び17年6月20日の団体交渉においてもこれに応じなかった。他方、優先雇用協定の締結後、工場長が同協定は3年間有効である旨取引先の担当者に話したこと、会社は、同協定に基づいて雇用した組合の書記長については2度契約更新したが、協定締結から3年経過後に同人が退職した際には正社員の補充措置などを行っていないこと等を併せ考えると、会社が組合員の欠員補充要求に応じなかった主な理由は、労働協約の期間に関する法的理解の当否はともかくとして、同協定は9年3月18日から3年以上の期間が経過し失効しているとの認識によると解するのが相当である。したがって、会社が優先雇用協定に基づく欠員補充をしなかったことは組合の弱体化を企図して行われたものということはできず、この会社の対応をもって組合に対する支配介入であると評価することはできない。 イ9年3月18日付け確認書について、会社が17年8月11日付け書面で優先雇用協定の解約通知をしたことは労組法7条3号の不当労働行為に該当するか 17年8月当時においても優先雇用協定の有効期間に関する労使の主張は対立し、この先の歩み寄りは難しい状況にあった 中で、会社は改めて同協定の解約を申し入れる旨の通知を行っていることから、会社が同協定の解約通知をしたのは、同協定は失効していることを改めて明確にすることを目的として行ったものとみるのが相当である。したがって、会社が17年8月11日付け文書で優先雇用協定の解約通知をしたことは不当労働行為に該当しない。 ウ17年6月20日の団体交渉において、会社が交渉を打ち切ったことは労組法7条2号の不当労働行為に該当するか 組合が、組合員の欠員補充に関し必ずしも正社員としての採用にはこだわらないとして譲歩の姿勢を見せていることを考慮すれば、人員補充はしない旨発言して15分程度で席を立ち団体交渉を終了させるという会社の性急な態度は、誠実に交渉する姿勢に欠けたものといわざるを得ず、労組法7条2号の不当労働行為に当たる。 エ17年10月26日に、組合が18年1月15日付けで定年退職となる組合の分会長の再雇用を求めたのに対し、会社が拒否したことは労組法7条1号の不当労働行為に該当するか 会社が理由を説明することなく分会長の再雇用を拒否した点には誠実さに欠ける面はある。しかし、会社はこれまで定年退職者を再雇用したことはなく、日々雇用等の形態で雇用される運転手で会社の従業員であった者はいない。また、関連会社の運転手や会社のアルバイト運転手等は会社の定年退職者ではないから、会社の定年退職者である分会長と同列に比較することは相当でなく、会社が分会長に対し他の従業員と比較して差別的な取扱いを行ったとはいえない。したがって、分会長の再雇用要求に応じなかったことは同人が組合員であることを理由とする不利益取扱いであるとはいえない。
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掲載文献 |
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