概要情報
事件名 |
福島健康管理センター外3者 |
事件番号 |
中労委平成19年(不再)第45号 |
再審査申立人 |
健康保険病院労働組合福島診療所支部 |
再審査被申立人 |
社会保険庁、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構、社団法人全国社会保険協会連合会、福島健康管理センター |
命令年月日 |
平成20年6月4日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
1 本件は、社保庁らがセンターの廃止・売却及びこれに伴う雇用、労働条件等を交渉事項とする団体交渉に応じなかったこと等が不当労働行為であるとして、申立てがあった事件である。 2 初審大阪府労委は、組合支部の社保庁、整理機構及びセンターに対する申立てを却下し、全社連に対する申立てを棄却する旨の命令を発したところ、組合支部が、再審査を申し立てた。 |
命令主文 |
再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
(1) 社保庁の使用者性の有無について 社保庁と全社連との間の経営委託契約によれば、社保庁はセンターの経営委託者として、全社連に対し、一定の指示、検査、監査等を行うことが認められていたものの、全社連が受託した業務を行うセンター職員は、全社連自身が雇用し、その指揮監督も全社連が行うこととされており、社保庁が直接センター職員の雇用や労働条件を決定したり、その職員を指揮監督下においていたというような事実は認められない。 したがって、社保庁が受託者たる全社連が雇用する労働者の労働条件に対して、現実的かつ具体的な支配力を有していたとはいえないから、労組法上の使用者とまで認めるに足りない。 (2) 整理機構の使用者性の有無について 平成17年10月1日、整理機構は社保庁に代わって全社連と運営委託契約を交わした。当該運営委託契約は、社保庁と全社連が交わしたものとほぼ同様の内容であり、整理機構が直接センター職員の雇用及び労働条件を決定したり、その職員を指揮監督下においていたというような事実は認められない。 したがって、整理機構が受託者たる全社連が雇用する労働者の労働条件に対して、現実的かつ具体的な支配力を有していたとはいえないから、労組法上の使用者とまで認めるに足りない。 (3) センターの使用者性の有無について センターは全社連が整理機構(平成17年9月31日以前は社保庁)から経営委託を受けている施設の一つにすぎず、独立した権利義務の帰属主体ではないことが明らかであるから、使用者には当たらない。 (4) 全社連の対応が労組法第7条第2号の団交拒否に当たるか 使用者は、従来の労使慣行に反する団交申入れについては、当該労使慣行に従うことが著しく不合理である等の特段の事情がない限り、従来の労使慣行を理由として、上記団交申入れを拒否しうるものと解される。 この点、全社連では、各支部が組合本部を通さずに直接全社連との間で団交を行うことはなかったという労使慣行が存在しており、当該労使慣行に従うことが著しく不合理であるという事実も認められない。 したがって、全社連が、組合支部の17年9月15日付け団交申入れに応じなかったことが、労組法第7条2号の団交拒否に当たるということはできない。 (5) センターの対応が労組法第7条第2号の不誠実団交に当たるか 支部団交(平成17年6月9日、同月17日、7月21日及び8月3日の団交)におけるセンターの対応は全社連の一機関としての対応と評価されるところ、センター事務長の対応は、実際に情報を有していないことをそのまま述べていたにすぎないといえ、何らかの情報を持ちながら意図的にこれを明らかにしなかったと評価することはできない。 したがって、本件団交における全社連(センター)の対応が不誠実であり、実質的に労組法第7条第2号の団交拒否に当たると評価することはできない。 (6) 結論 以上より、組合支部の申立てはいずれも理由がないから、再審査申立てを棄却する。
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掲載文献 |
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