労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名 近畿生コン
事件番号 中労委平成19年(不再)第18号
再審査申立人 近畿生コン株式会社
再審査被申立人 全日本建設交運一般労働組合関西支部
命令年月日 平成20年4月2日
命令区分 棄却
重要度  
事件概要  本件は、会社が組合に対し、職業安定法第45条の労働者供給事業による労働者の供給依頼を停止し続けていることが、組合員に対する労組法第7条第1号の不利益取扱いであり、組合に対する同条第3号の支配介入に該当するとして救済申立てのあった事件である。
 初審京都府労働委員会は、会社が供給依頼を停止し続けていることは、同条第1号に該当しないが、同条第3号の支配介入に該当するとして、会社に対し文書手交を命じたが、会社はこれを不服として再審査を申し立てた。
命令主文 本件再審査申立てを棄却する。
判断の要旨 (1) 会社は労組法第7条の「使用者」といえるか(争点1)
会社と組合は、有給の組合活動保障などの待遇及び賃金等について団体交渉(以下「団交」)を行い、日々雇用労働者について、7年12月に組合がその日当をY組合(労働者供給事業を主な活動とするもので会社にも労働者を供給している。)並に引き下げる旨の協定書(以下「7年協定書」)を締結したり、9年5月には日々雇用労働者の件につき労組間で差別をしない旨の確認書(以下「9年確認書」)を締結するなど、近い将来の雇用を前提に団交を行っている。会社と組合の関係は、単に事業者間の関係にとどまるものではなく、会社は組合に対し、労組法第7条の使用者の立場に立つものである。 
(2) 本件労働者供給事業は、労組法第7条第3号の「労働組合の結成・運営」に当たるか(争点2)
上記事業は、組合の経済的基盤の形成に寄与し、組合員の経済的地位の向上に資する活動といえる上、組合は同事業以外にも組合活動を行い、前記7年協定書・9年確認書を締結して 同事業を行う機会を与えられていたから、同事業は「組合の運営」に含まれると解すべきである。 
(3) 会社が組合に対し労働者供給依頼を停止していることが労組法第7条第3号の支配介入に 該当するか(争点3)
ア 会社と組合の間には、会社が組合との団交を拒否するなどしたため、度々不当労働行為事件が生じていた。そうした状況の下、前記7年協定書及び9年確認書が締結されたが、会社は、15年8月のZ組合への依頼停止に続いて9月の組合への依頼停止の後、組合に対しては再三の再開要求にもかかわらず停止し続ける一方、Z組合には16年1月、会社内のZ組合ストライキの解決策として、請負会社を介して同組合の日々雇用労働者を会社業務に従事させることと して事実上の依頼を再開し、18年12月には同組合の日々雇用労働者を直接雇用するまでに至った。これら一連の外形的事実及び会社社長の証言からして、会社には前記協定書などに基づく組合に対する義務を無視して構わない旨の見解を有しているといわざるを得ないものがある。 
イ 会社が組合への依頼を停止をした理由は、分会員の正規職員Aが終業時刻以降残業せず、組合活動をしていたことと認められるが、Aの活動は会社の命令に背くものではなく、それを理由に依頼停止すること自体、組合活動に干渉するものである。会社はAの上記活動に伴う人員補充のために組合の日々雇用労働者を採用することは会社に無理を強いるものであり、組合が供給する日々雇用労働者の労働の質に問題があること、Z組合と同じ扱いをして同労組からの非難・攻撃を避けたことを挙げるが、いずれも具体的根拠がない。よって、会社が15年9月に組合に供給依頼を停止した行為は、組合弱体化の意思の下に行われたものといえる。 
ウ 会社が、組合に対する依頼停止を続ける一方、事実上Z組合には依頼再開などしていることは、供給依頼に関し平等扱いを定めた9年確認書に反するものであり、また、組合からの再三の依頼再開要求や団交申入に回答しないことは、組合の日々雇用労働者の雇用機会増加の努力を定めた7年協定書等の合意を無視するもので組合弱体化の意図が強く推認される。会社が主張する組合とZ組合の対立・衝突による会社内の秩序維持の必要性は根拠に乏しく、会社の組合弱体化の推認を覆す事情には当たらない。

掲載文献  

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
京都府労委平成18年(不)第2号 一部救済 平成19年3月22日
東京地裁平成20年(行ウ)第331号 棄却 平成21年9月14日
 
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