労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名 福島健康管理センター外2者
事件番号 中労委平成19年(不再)第22号
再審査申立人 健康保険病院労働組合福島診療所支部
再審査被申立人 社会保険庁、社団法人全国社会保険協会連合会、福島健康管理センター
命令年月日 平成20年3月5日
命令区分 棄却
重要度  
事件概要 1 本件は、組合支部が、大阪府労委に対し、再審査被申立人らが一体となって、(1)一方的に勤務時間の変更を通告したこと及びこれらの事項について誠実に団体交渉をしなかったこと、(2)組合員5名に対し不利益な取扱いを継続して行っていること、(3)平成14年度及び15年度において、一方的に賃下げ、一時金の支給割合の引下げを行ったこと及びこれらの事項について誠実に団交をしなかったことが不当労働行為に該当するとして、それぞれ救済申立てをした事案である。
2  初審大阪府労委は、組合支部の社保庁及びセンターに対する申立てを却下し、全社連に対する申立てを棄却する旨の命令を発したことから、組合支部は、(2)のうちA組合員に対する不利益な取扱い及び(3)の事実に限って、再審査を申し立てた。

命令主文 再審査申立てを棄却する。
判断の要旨 (1) 社保庁及びセンターの使用者性(被申立人適格)について
 社保庁は、受託者たる全社連の雇用する労働者の労働条件に対して、現実的かつ具体的な支配力を有しているとはいえないから、労組法上の使用者と認めるには足らない。センターは全社連が経営委託を受けて経営している施設の一つにすぎず、独立した権利義務の帰属主体でないから、使用者には当たらない。
(2) A組合員に対する嫌がらせ等について
 A組合員の降格、検尿業務への固定、センター上司らのA組合員に対する対応については、いずれも同人にとって不利益な取扱いと認められるが、同人の組合加入前の行為であったり、その個人的言動に対する他の職員の反感が原因というべきであるから、A組合員の組合活動又は同人が組合員であることを理由としてされたものと認められない。よって、同人に対する嫌がらせ等について、これを不当労働行為と評価できない。
(3) 14、15年度給与改定及び14年度年末、15年度夏期一時金について
ア 不誠実団交該当性
 14、15年度給与改定については、組合本部と全社連の間で、いずれも相当回数の団交が開催されており、相応の協議がされていることが窺われる。14年度給与改定については、それまで準拠してきた人事院勧告に基づくもので、15年度給与改定については、社会保険病院等の経営状態の改善が急務であった状況下で提案されたものであり、証拠上、全社連から、給与の減額改定が必要な根拠について相応の説明がされたことが窺われるから、全社連の対応が不誠実であったと評価できない。
 14年度年末、15年度夏期一時金については、組合支部とセンターとの団交においてセンターから示された回答は、いずれも前年度の支給割合を減額し、14年度年末一時金について人事院勧告に準拠して所要の調整を行うとの内容であったが、当時のセンターの財務状況や社会保険病院等をめぐる環境に照らせば、明らかに不合理な提案であったといえない。また、いずれの団交においても相応の時間をかけて協議されており、センターの対応が不誠実であったとはいえない。
イ 不利益取扱い及び支配介入該当性について
 14年度給与改定及び年末一時金について、人事院勧告に基づいて減額改定することが不合理であるとはいえず、全社連の対応が、組合本部との協定に反すると断ずることもできない。また、年末一時金において調整措置をとることが明らかに労基法に違反するとも解されず、14年度の月次賃金の減額改定及び年末一時金による調整措置が、支部組合員のみならずセンターの全職員を対象とするものであることに照らすと、14年度給与改定及び年末一時金の支給が不利益取扱いないし支配介入に当たるとはいえない。
 15年度夏期一時金及び給与改定について、団交における全社連ないしセンターの対応が不誠実とは認められず、いずれも支部組合員のみならずセンターないしは全社連の全職員について一律に実施されていることに照らすと、これらが不利益取扱いないし支配介入に当たるとはいえない。
(4) 結論
 以上より、組合支部の申立てはいずれも理由がないから、棄却する。

掲載文献  

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成15年(不)第15号・平成15年(不)第22号・平成15年(不)第55号・平成15年(不)77号 棄却 平成19年4月9日
 
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