労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]   [顛末情報]
概要情報
事件名 大成学園
事件番号 中労委平成18年(不再)第10・14号
再審査申立人 (10号)学校法人大成学園・(14号)東京私立学校教職員組合
再審査被申立人 (10号)東京私立学校教職員組合・(14号)学校法人大成学園
命令年月日 平成19年10月3日
命令区分 棄却
重要度  
事件概要 1 本件は、学園が、[1]副執行委員長のX1を平成15年9月1日付け(以下元号省略)で普通解雇したこと(以下「本件解雇」)、[2]組合員を15年10月から同年12月にかけての学園の生徒募集業務、16年度入試問題作成業務及び入試委員業務(以下、これらの業務を合わせて「本件入試業務等」)に就かせなかったこと、[3]組合員に対して、学園の入試日程等に当たる16年1月22日、同年2月10日、同月12日及び同月13日の4日間を指定して自宅研修を命じたこと(以下「本件自宅研修命令」)が不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
2 初審東京都労委は、上記1の[1]については不当労働行為の成立を認め、X1に対する本件解雇がなかったものとしての取扱い並びに現職復帰及びバックペイを命じ、同1の[2]及び[3]についての救済申立ては棄却したところ、学園並びに東京私立学校教職員組合及び組合はこれを不服として、再審査を申し立てた。
命令主文 本件各再審査申立てを棄却する。
判断の要旨 (1) 本件解雇について
 本件解雇は、教員を解雇するという重大な問題について、過去の体罰に対する処分等について調査もせず、また、理事会等の学園の機関などに諮ることもなく、しかも、校長が責任を問えないとして表明していた過去の事実をも理由に行われており、手続的にみた場合、相当性が疑わしい。また、本件解雇の理由として事実を認定し難い非違行為が含まれ、処分としての均衡を明らかに欠いており、この点でも不相応なものであったといわざるを得ない。さらに、学園が過去の体罰の事実についての処分を前提とした調査であることを明らかにしたことなどから、学園との面談の際にX1が体罰の事実を否定する対応をするようになったことには、同人の心情からすれば無理からぬ側面もあったと考えられ、X1の面談における対応をもって、学園が解雇をもって対応するほど、X1が教員としての資質を欠き、X1と学園との間の信頼関係が破壊されたということまではできない。以上のことと、当時、生徒指導のあり方など学園の根本問題をめぐって労使が激しく対立していた状況を合わせて考慮すると、組合の学園運営に関わる活動を嫌忌していた学園が、組合の要職である副執行委員長に就いていたX1に関する体罰の事実とそれに関する学園の面談におけるX1の態度に藉口して、普通解雇という過去に例もなく通常では考えられない重い処分に付することにより、組合を弱体化させるべく同人を学園から放逐したものと思料され、労組法第7条第1号及び同条第3号の不当労働行為に該当する。
(2) 組合員の本件入試業務等からの排除及び本件自宅研修命令について
ア 組合員を生徒募集業務に就かせなかったことについて
 教員でもある組合員は、赤腕章等を着用して卒業アルバム用の写真に写ったり、さらに、ストライキ中ではあったが、授業中に廊下を練り歩いたりするなど生徒を巻き込んで激しい組合活動を行ったり、学園が行った学校説明会の場に赤腕章を着用して傍聴するなどしていた。これらの組合活動は、X1の解雇撤回を求めるという目的等を考慮に入れても、手段・態様上の相当性を超えており、正当な組合活動の範囲を逸脱したものといわざるを得ない。組合がこのような激しい抗議活動を行っていたことからすれば、学園が、組合員を生徒募集業務に就かせなかったのは、上記のような組合の活動により生徒募集業務に深刻な影響を受けるとの懸念を抱き、業務上の必要性から行った措置であるといえるから、不当労働行為には当たらない。
イ 組合員を16年度入試問題作成業務に就かせなかったことについて
 第1回及び第2回入試問題作成会議において教頭が期日までに入試問題の作成を間に合わせることができるか確認した際や、校長が入試問題を責任を持って作ってくれるかを確認した際に、組合員は入試問題作成という学園運営上の重要な業務について、担当教員として積極的に協力する姿勢を示さなかった。これらの事情からすれば、学園が組合員を16年度入試問題作成業務に就かせなかった行為をもって、不当労働行為に当たるということはできない。

ウ 組合員を入試委員に就かせなかったことについて
 学園が16年度入試委員を選任する直前の15年11月当時の状況をみると、組合は同月4日から同月15日までの間、ほぼ1日おきに半日ストライキを行い、休み時間中に校内でシュプレヒコールを行ったほか、職員室内のドアや窓ガラスにビラを合成接着剤で貼付したり、同月16日には学園において学校説明会が開始される時刻に、JR中央線三鷹駅から大成高等学校に至る三鷹通をシュプレヒコールを繰り返しながらデモ行進を行っていた。このような状況では、入試委員に関する文書を組合に交付した同月21日の時点で、組合による入試妨害を懸念する状況にはなかったとはいえず、学園が組合員を入試委員に就かせなかったことは、業務上の必要性に基づく判断によるものであったといえるから、不当労働行為には当たらない。
エ 本件自宅研修命令について
 組合は、15年12月8日に学校敷地ないし施設内でのビラ配布、赤腕章等の着用の停止などを決定してその旨を学園に通知しており、この時期、従前のような激しい組合活動をしていなかったことが認められる。しかしながら、上記アのような激しい組合活動を行っていた中で、同年11月14日に東京地裁八王子支部が発出した仮処分決定の内容に抵触するデモ行進を同月16日に組合が行っていたことなどからすれば、本件自宅研修命令は、学園がなお組合員による妨害的行為がなされるかもしれないとの懸念を抱き、入試業務を円滑に進めるという学校運営上の不可欠の要請に応じるため、業務上の理由からやむを得ず採った措置と考えるのが相当であるから、不当労働行為には当たらない。
掲載文献  

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京都労委平成15年(不)第110号・東京都労委平成16年(不)第11号 一部救済 平成18年2月7日
 
[全文情報] この事件の全文情報は約374KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。