労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名 南労会(不誠実団交)
事件番号 中労委平成13年(不再)第52号・同第53号
再審査申立人 (52号)医療法人南労会・(53号)全国金属機械労働組合港合同、同南労会支部
再審査申立人  
再審査被申立人 (52号)全国金属機械労働組合港合同、同南労会支部・(53号)医療法人南労会
再審査被申立人  
命令年月日 平成19年7月18日
命令区分 棄却
重要度  
事件概要 1 本件は、南労会が、(1)平成11年11月19日、組合員Aに対し、現在の職員給食担当から介護職に変更する旨の業務指示を行ったこと(「本件業務指示」)、(2)これに抗議して、同年12月1日から平成12年6月20日の間ストライキを行った同人の賃金及び一時金をカットしたこと(「本件賃金カット」)、(3)本件業務指示に関して支部と誠実な団体交渉を行わなかったことが不当労働行為であるとして、大阪府労委に救済申立てがあった事件である。
2 初審大阪府労委は、上記1のうち、南労会が本件業務指示に関して組合らと誠実な団交を行わなかったことは労組法7条2号に該当する不当労働行為であるとして、南労会に対し文書手交を命じ、その余の救済申立てを棄却したところ、南労会及び組合らはこれを不服として、それぞれ再審査を申し立てた。
命令主文 本件各再審査申立てを棄却する。
判断の要旨 (1)  本件業務指示について(救済申立てを棄却)
ア 南労会がデイケア事業開始に伴って患者給食を外注化し、併せて、この機会に職員給食を外注化したことには相当な理由があるといえる。そうすると、それまで組合員Aの行っていた職員給食業務を南労会の職員が行う必要は なくなるのであるから、同人の業務が変更されることはやむを得ない。したがって、本件業務指示は、南労会において 新規事業の実施や給食業務の効率化の観点から人員の再配置を行うものであり、その必要性は存在したというべきである。 さらに、南労会は、組合員Aの担当業務を外注するに際し、使用者の責務として同人の雇用を確保すべく、団交において 「雇用は守る」と表明しつつ、本件業務指示によりデイケア事業開始に必要な介護職への変更を命じたといえることからすると、 本件業務指示には合理性があるといえる。 
イ また、本件業務指示は仕事上の不利益等を伴うものであり、同指示に関する説明・協議は必ずしも 十分であったとはいえない面はみられたものの、南労会としては、本件業務指示に当たって組合員Aにホームヘルパー2級の資格を南労会の負担で取得させる等の必要な措置を講ずるなど一定の配慮を行っていたと認められる。 
ウ 以上のとおりであるから、本件業務指示は、組合員Aが組合員であることを理由とした不利益な取扱いであるとはいえず、また、組合らの弱体化を企図したものであるということもできない。したがって、本件業務指示は 不当労働行為に該当しないとした初審判断は相当である。 
(2)  本件賃金カットについて(救済申立てを棄却)
 初審命令の判断と同一の理由(ストライキ期間中は自らの意思で労務の提供を停止したのであるから、 同期間中の賃金請求権を有しない。)により、当委員会も本件賃金カットは不当労働行為に該当しないと判断する。
(3)  本件団交拒否について(労組法7条2号の不当労働行為に該当)
ア 本件のデイケア事業の実施については、少なくとも組合員の労働条件に関連する限りにおいて 義務的団交事項であるから、南労会は、支部の資料提示要求に対しては、組合員Aの労働条件に関連する資料を提示するなどの 誠実な対応を行うべきであったといえる。
 それにもかかわらず、南労会は、本件業務指示に関する団交において、支部が求める資料の提示に一切応じなかったもので、 少なくとも組合員Aの労働条件に直接関連する資料については、支部の要求に応じて提示する必要があったというべきである。 
イ 以上のとおりであるから、南労会が支部に求められたデイケア事業等に関する資料の提示を拒否した ことに正当な理由はなく、このような南労会の対応は、支部との団交に誠実に対応したものということはできない。 したがって、本件業務指示に関する団交における南労会の対応を労組法7条2号に該当する不当労働行為であるとした 初審判断は相当である。 
掲載文献  

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成11年(不)第99号 一部救済 平成13年10月25日
 
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