労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名 田中酸素
事件番号 中労委平成18年(不再)第44号
再審査申立人 田中酸素労働組合
再審査被申立人 田中酸素株式会社
命令年月日 平成19年5月23日
命令区分 棄却
重要度  
事件概要 1 本件は、会社が、組合から平成17年6月28日付けで申し入れられた団交に応じなかったことなどが不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件である。
2 初審山口県労委は、会社に対し、(1)労使双方で締結した団体交渉に関する協定書(「協定書」)を厳守して速やかに団交に応ずること(「初審命令主文(1)」)、(2)団交においては、資料を示すなどにより十分な説明をすること(「初審命令主文(2)」)を命じ、その余の申立てを棄却したところ、組合は、初審命令主文では不十分であるとして、会社に対し、[1]協定書を厳守して誠意を持って団交に応じること、[2]客観的に不能な場合を除き、団交を中断あるいは拒否しないこと、[3]「団体交渉においてウソやでたらめな回答をしたこと、及び、団体交渉を正当な理由なく中断、拒否したことを謝罪する」旨の文書の交付、[4]会社代理人が「団体交渉において交渉を妨害する言動を繰り返して交渉を中断、拒否したことを謝罪する」旨の文書の交付を命ずること(以上「請求[1]ないし[4]」)を求めて、再審査を申し立てた。

命令主文 本件再審査申立てを棄却する。
判断の要旨 (1)  請求[1]、[2]を命ずることの適否について
組合は、初審命令主文(1)は救済方法として不十分であるから、請求[1]、[2]のとおり命ずるべきである旨主張する。しかしながら、請求[1]については、会社が当委員会の命令発出後も同様の団交拒否を繰り返す蓋然性が高い場合には、初審命令主文(1)にとどまらず、組合の求めるような将来にわたる命令を発する必要があるとも考えられるが、初審命令後、会社が自ら団交を申し入れ又は応諾し、現に団交を実施していることなどの諸事情に照らすと、本件において上記蓋然性が高いとは認められず、初審命令主文(1)を超えて、将来にわたる命令を発する必要があるとはいえない。請求[2]については、会社に対し、労組法第7条第2号が規定する団交応諾義務の内容を超える義務を一般的に命じるものであり、また、 「客観的に不能な場合」、「中断」の部分について、その文意や概念が曖昧であることから、従前の会社と組合との団交状況に照らし、かかる命令を発した場合、かえって「客観的に不能な場合」や「団交の中断」の解釈をめぐって新たなかつ無用な紛争を招くことが予測され、本件の具体的事情に照らしても、かかる命令を発することは相当でない。
 組合は、過去の申入れのみに限定した初審命令はさして効力がないと主張するが、組合が平成17年6月28日付けで申し入れた団交の交渉事項について、組合と会社との間で実質的な交渉は行われておらず、現時点においてもなお未解決であることに照らすと、会社に対し、上記申入れに係る団交に誠実に応じるように命ずることは、十分に意味のあるものと認められる。
 よって、初審命令主文(1)が、本件の救済として不十分であるとはいえず、また、これを変更して請求[1]、[2]の命令を発することは相当ではない。
(2) 請求[3]、[4]を命ずることの適否について
組合は、初審命令主文(1)、(2)のみでは、今後の誠実な団交の実現等の見地からなお不足であるから、会社及び会社代理人に対し、謝罪文交付を命じるべきである旨主張する。
 この点、確かに、あっせん前団交が必ずしも円滑に行われず、協定書による開催期日の原則を守らないなど、会社の対応に不適切な点があったことは認められるものの、組合が主張するように、会社が明らかに嘘やでたらめの回答をしたと認めるに足る証拠はない。また、組合は、あっせん前団交に係る紛争について、争議調整機関たる山口県労委にあっせんを申請し、会社、組合のいずれも山口県労委の提示したあっせん案を受諾したことが認められ、これにより組合と会社は、任意に、かつ双方の合意により、それまでの紛争を解決し、労使関係秩序の回復を図ったものといえる。加えて、本件初審命令後、会社が自ら団交を申し入れ又は応諾していることなどの事情も考慮すれば、本件において、あえて会社に謝罪まで命じる必要性があるとはいえない。
 よって、初審命令主文(1)、(2)に加えて、さらに請求[3]、[4]の命令を発する必要はない。
(3) 結論
以上のとおり、本件再審査申立てについては理由がないから棄却することとする。なお、本件は、初審判断のとおり、会社に団交拒否の不当労働行為が成立するものであり、この点会社に責任があることは明らかであるが、その後の一連の団交をめぐる状況を見ると、組合が必要以上に手続的、形式的事項にこだわりすぎたため、団交事項についての実質的交渉に入ることを困難にした側面があったことも確かである。当委員会は、今後、会社及び組合が、相互の立場を尊重し合いつつ、団交そのものをより実益あるものとし、労使の信頼関係の構築を図ることを強く要望する。
掲載文献  

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
山口県労委平成17年(不)第3号 一部救済 平成18年6月22日
 
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