概要情報
事件名 |
サクション瓦斯機関製作所 |
事件番号 |
中労委平成16年(不再)第62号 |
再審査申立人 |
産業別労働組合ジェイ・エイ・エム東京 、産業別労働組合ジェイエイエム |
再審査申立人 |
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再審査被申立人 |
株式会社サクション瓦斯機関製作所 |
再審査被申立人 |
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命令年月日 |
平成18年11月1日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
株式会社サクション瓦斯機関製作所(以下「会社」)が、就業時間内組合活動及び組合業務による会社施設使用に関する労働協約(以下「57年協約」)の解約を通知したところ、産業別労働組合ジェイエイエムサクション瓦斯機関製作所労働組合(以下「組合」)は、この解約は不当労働行為意思に基づくもので無効であるとして、その存続を主張してその後も57年協約に従って時間内組合業務に参加し、また、組合業務による会社施設(食堂)使用の申入れを行った。これに対し、会社は、時間内組合業務時間分を組合員の月例賃金から控除したほか、組合業務による会社施設(食堂)の昼休みの使用について不許可とした。 本件は、会社が行った上記組合員の月例賃金からの控除が不利益取扱い及び組合に対する支配介入に、また、上記組合業務よる会社施設(食堂)使用の不許可が支配介入に当たり、不当労働行為であるとして申立てがあった事件である。 初審東京都労委は、申立てを棄却したところ、平成16年11月5日、組合はこれを不服として再審査を申し立てた。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
当委員会も、初審命令と同じく、会社が行った57年協約の解約については相当であると判断し、組合員の月例賃金からの控除及び組合業務による会社施設(食堂)使用の不許可については不当労働行為に該当しないと判断する。その理由については、次のとおりである。 (1) 57年協約の解約の相当性について 57年協約に係る具体的な問題が生じていた最中にこれを解約することの労使関係上の配慮に問題がないとはいえないものの、会社としても57年協約の内容の一部を削除するなど譲歩となる条件を提示する交渉を行っていたにもかかわらず、労使間の和解が不調となったことから57年協約の解約に連なっていったものといえ、57年協約の解約は必ずしも不当なものとまではいえない。また、本件解約通知をもって、組合が主張するような専ら組合の財政基盤の破壊を意図したものと解するには無理があるというべきであり、団体交渉と同様に評価することができる都労委及び中労委における和解作業によっても57年協約改定の合意には達しなかったのであるから、組合が主張するような会社による57年協約の一方的な解約とまではいえない。そして、会社は、代表取締役の記名押印のある文書により、57年協約を解約すると通知したのであるから、労働組合法第15条第3項及び第4項に定める労働協約解約手続を履践しているとみることができる。以上を併せ考慮すれば、会社が57年協約は失効したと考えることには相当の理由があるというべく、これを労使関係上、不公正なものということはできない。 (2) 月例賃金からの控除について 上記のとおり、会社が57年協約は適法に解約され、失効しているものと考えたことには相当の理由があるのであるから、時間内組合業務従事時間について会社が行った組合員の月例賃金からの欠勤控除は、専ら組合に打撃を与える目的で行われたとまでの事情は窺えない以上、不当労働行為に該当するとまではいえない。
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(3) 組合業務による会社施設(食堂)使用の不許可について 組合は、昼休みの食堂使用が許可されなくなったことによる組合活動の支障について具体的に疎明していない上、会社が、就業時間後においては、従来どおり使用を許可している事情が認められることからすれば、あながち不適切な取扱いとはいえない。加えて、組合は、広さが不十分であるとしても、会社から組合事務所を貸与されており、食堂に代わる場所で集会等を行う工夫をする余地があったものと考えられる。したがって、会社が57年協約は失効していると考えたことに理由があることも併せ考えれば、昼休みの食堂使用の不許可が57年協約解約前と異なることをもって直ちに合理的理由が無く、組合嫌悪の不当労働行為意思に基づく支配介入になるとまではいえない。 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集136集《18年9月~12月》1134頁 |