労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名 エッソ石油(業務共同化及び退職者募集)
事件番号 中労委平成13年(不再)第33号
再審査申立人 スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合
再審査被申立人 エクソンモービル有限会社
命令年月日 平成18年10月4日
命令区分 棄却
重要度  
事件概要  本件は、会社が、(1)申立外ゼネラル石油との間で一定のサービス及び関連する設備の利用を相互に提供し合うサービス相互提供契約(以下「MSA」)並びに(2)MSAに基づく早期退職者募集/セカンド・キャリア支援制度(以下「ERP」)について、組合と誠意をもって協議しなかったことが労働組合法第7条第2号の団体交渉拒否の不当労働行為に当たるとして、大阪府労働委員会に申立てがあった事件である。
 初審大阪府労働委員会は、この申立てを棄却したところ、組合はこれを不服として、中央労働委員会に再審査を申し立てた。
命令主文 本件再審査申立てを棄却する。
判断の要旨 (1)  MSA及びERPの労働条件への影響について
 MSAの下では、事業共同化のための各種方策に加えて、労働条件等についての方針も含まれているものの、MSAの契約締結自体によって直ちに従業員の身分、指揮命令系統、賃金等の労働条件に具体的な影響をもたらすものとはいえないから、MSAの契約締結そのものは、会社の経営判断に基づいて行うことができる事項として、組合に対する義務的団交事項には当たらないが、MSAにおいては、両社間で人事制度や労働条件に関する諸規定に差があることは不都合であることから、早急に労働組合と協議の上、就業規則等を整合化することが予定されていたこと、雇用や労働条件に関係することが明らかなERPと一体となった企画であったことからすると、会社は、その実施について、労働条件に関わる問題として、組合の求める団交に応じる義務があったというべきである。
 また、ERPは、全従業員を対象として早期退職者を募集し、従業員本人の自主的選択によって応募する制度であるから、実質的な退職強制とはいえないが、雇用及び広く労働条件に影響のある問題として、義務的団交事項に当たることは明らかである。 
(2)  MSA及びERPに関する団交について
 会社と申立外ゼネラル石油とが、両社の部門の協力関係を検討する共同検討チームを発足させ、その規模を拡大させた組織を立ち上げて以来、会社と組合は、この問題を巡って団交を行っており、上記組織の検討結果に基づき、会社は、ゼネラル石油との間でMSAに関する契約を締結し、更にMSAに基づく最適規模の人員体制を確立し、従業員の可能性へのチャレンジを支援するため、MSAと一体のものとしてERPを策定した。
そのような中で、会社は、組合に対して、事務折衝の中でMSAとERPの内容を通知し、その概要を説明するとともに、MSA及びERPに関する組合本部との団交(以下「本部団交」)を2回、下部組織との団交を1回開催していた。これらの団交の状況を見ると、第1回目の本部団交では、会社は、説明資料を組合に交付し、それによって具体的かつ詳細に説明を行っていたが、組合は、事業の共同化は絶対反対であるなどと主張しており、第2回目の本部団交でも、会社は、共同化が組合員の労働条件にどのように影響するかについて説明するとともに、組合からの質問に対しても具体的に回答していたが、組合は、MSAは人減らしと労働条件の抜本的変更につながり、ERPも指名解雇に通じると主張し、ERPそのものを拒否する旨の意思を表明し、結局双方の主張は平行線のままで合意に至らなかった。さらに、組合の下部組織との団交も平行線のまま終了している。このように、組合は、共同化について絶対反対とし、ERPについても拒否の姿勢を明確に表明している以上、これらの件について、団交の中では解決できない状況にあった。 
(3)  結論
 以上のとおり会社は、MSAやERPについての団交において、組合の理解や協力を得るよう相当な努力を行っていたとみることができる一方、組合はこれらについて反対の意思を明確にしている以上、もはやこの問題については、両者の主張が対立し団交の余地はなかったというべきであるから、組合にとって会社の対応が納得のいかないものであったとしても、会社の対応が不誠実ということはできず、組合が主張するような労働組合法第7条第2号の不当労働行為には当たらない。 
掲載文献 不当労働行為事件命令集136集《18年9月~12月》1047頁

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委11年(不)第18号 棄却 平成13年6月22日
 
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