概要情報
事件名 |
エイアイジー・スター生命保険 |
事件番号 |
中労委平成17年(不再)第31号 |
再審査申立人 |
エイアイジー・スター生命保険株式会社 |
再審査被申立人 |
全国銀行労働組合連合会、銀行産業労働組合 |
命令年月日 |
平成18年6月21日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
|
事件概要 |
1 本件は、会社が、顧客サービス本部の移転に伴い同本部の嘱託事務員4名を雇止めとしたことに関して、同嘱託事務員が加入した組合との団体交渉に誠実に対応しなかったことが不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件である。 2 初審東京都労働委員会は、会社に対して、上記団体交渉における会社の対応は不誠実であったとして、(1)団体交渉において組合からの質問に対して回答の根拠を裏付けるに足りる資料を示すなどして誠実に応じること、(2)謝罪文の掲示を命じたところ、会社は、これを不服として、再審査を申し立てたものである。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
(1) 雇用継続要求等に係る交渉について 嘱託事務員4名の雇用継続要求等に係る交渉について、(1)会社の基本的態度は、団体交渉を拒否すること自体はなかったものの、雇用継続要求について、会社の最高意思決定が出ている、故に雇止めの撤回はあり得ないなどと繰り返し回答しているのであり、その交渉態度に合意達成に向けて努力する意思のあったかについて疑問の残るところであり、(2)会社から60歳まで勤められると言われた等の具体的事項を組合が摘示したことに関して、会社は事実関係を確認しないで調査の必要もないと回答するなど、その交渉態度には問題があったといわざるを得ない。 (2) 新規雇用契約の提案等に係る交渉について 嘱託事務員4名の新規雇用契約提案等に係る交渉について、会社が提案を行ったこと自体は評価できるものの、その後の会社の対応は、(1)新規雇用先に関する調査結果及び調査方法に関するいずれの回答・説明等もその根拠を具体的に説明せず、裏付けとなる客観的な資料も提供していないものであって、組合の要求・主張に対する対応として適切なものといえないこと、(2)新規雇用契約締結の方向に向けた提案について、その提案が実現するよう真摯に検討した形跡は認められず、当初から合意達成の意思が欠如していたといわざるを得ないものである。 (3) 不当労働行為の成否 そうすると、本件団体交渉における会社の一連の対応は誠実なものであるとはいえず、使用者としての誠実団体交渉義務に反するというべきである。よって、本件団体交渉における会社の一連の対応は、不誠実団体交渉に当たる。 本件においては、会社は、組合員である嘱託事務員の継続雇用あるいは新規雇用問題について、会社の決定に変更の余地はないなどとする主張に固執することなく、本件労使間の合意達成に向けてさらに組合と交渉を尽くすべきである。特に、会社は、組合員である嘱託事務員の通勤圏に所在する本社、支社、営業所における配置可能性について、的確な調査を行い、確かな資料の裏付けをもって団体交渉に臨むべきである。 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集135集《18年5月~8月》877頁 |