概要情報
事件名 |
渡島信用金庫 |
事件番号 |
北海道労委平成16年(不)第8号
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申立人 |
渡島信用金庫労働組合 |
被申立人 |
渡島信用金庫 |
命令年月日 |
平成17年 6月 6日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)組合員1名を、別件民事訴訟において函館支店勤務との判決が確定したにもかかわらず、組合と事前に協議することなく一方的に五稜郭支店に異動させたこと、(2)女性組合員1名の異動に関するあっせん申請について、同組合員を非難し申請を取り下げるよう圧力をかけたこと、(3)新たな就業規則を組合と協議せず一方的に制定したこと等が不当労働行為であるとして、争われた事件で、会社に対し、(1)組合との誠意ある協議なく、組合員1名を一方的に五稜郭支店に異動させるなどによる支配介入の禁止、(2)女性組合員1名の異動 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人の組合員X1が被申立人の函館支店において勤務する地位にあるとい う判決が確定したにもかかわらず、同組合員を形式的に同支店に配置しただけで、申立人と 誠意ある協議を経ることなく、一方的に同組合員を五稜郭支店に異動させるなどして、申立 人の運営に支配介入してはならない。
2 被申立人は、申立人が、申立人の女性組合員の今金支店への異動に関するあっせんを北海 道労働委員会に申請したことについて、同組合員に対してこれを批判し、圧力をかけるなど して申立人の運営に支配介入してはならない。
3 被申立人は、申立人が申し入れた従業員の定期昇給停止などを内容とする就業規則変更に 係る団体交渉において、同規則の変更内容や実施時期、被申立人の経営状態などの説明に不 誠実な対応をすることなく、誠実に交渉しなければならない。
4 被申立人は、上記団体交渉において、申立人と誠意ある交渉を行わないまま就業規則を変 更することにより、申立人の運営に支配介入してはならない。
5 被申立人は、下記内容の文書を、縦1.4メートル、横1メートルの白紙にかい書で明瞭に 記載し、被申立人本店及び各支店の正面玄関の見やすい場所に、本命令書写し交付の日から 1週間以内に掲示し、10日間掲示を継続しなければならない。
記
当金庫が行った次の行為は、北海道労働委員会において、労働組合法第7条第2項、第3号及び第4号に該当する不当労働行為であると認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないようにします。
1 当金庫が、貴組合の組合員X1氏が、当金庫の函館支店に勤務する地位を有するという判 決が確定したにもかかわらず、X1氏を形成的に同支店に配置しただけで、貴組合と誠意あ る競技を経ることなく同氏を五稜郭支店に配置転換することによって、貴組合の運営に支配 介入したこと。
2 貴組合が、貴組合の女性組合員の今金支店への異動に関するあっせんを北海道労働委員会 に申請したことについて、当金庫が、同組合員に対してこれを批判し、圧力をかけるなどし て貴組合の運営に支配介入したこと。
3 当金庫が、貴組合から申し入れられた従業員の定期昇給停止などを内容とする就業規則変 更に係る団体交渉において、同規則の変更内容や実施時期、当金庫の経営状態などの説明に 不誠実な対応をしたこと。
4 当金庫が、上記団体交渉において、貴組合と誠意ある交渉を行わないまま就業規則を変更 することによって、貴組合の運営に支配介入したこと。
平成 年 月 日 (掲示する初日を記載すること)
渡島信用金庫労働組合
執行委員長 X3様 渡島信用金庫
理事長 Y1 |
判定の要旨 |
2901 組合無視
組合員X1が函館支店において勤務する地位にあるという判決が確定したにもかかわらず、金庫が同人を形式的に約1か月間同支店に配置しただけで、五稜郭支店に異動したことは、確定判決の履行措置としては不十分であり、また、組合と誠意ある協議を経ることなく異動しており、このような金庫の対応はことさら組合を無視し、一方的に勤務地を決定するものであって、これらは組合の運営に支配介入する行為であり、労組法7条3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2620 反組合的言動
3200 不当労働行為とされた例
元組合員X2に対する配置転換をめぐって労委にあっせんを申請した直後に、X2の上司である支店長Eが、組合を通さずにあっせん申請したことを批判し、圧力をかける言動をしたことは、たとえそれがX2の真意をただす目的であったとしても、あっせん申請を理由とする報復的不利益取扱いであるとともに、組合活動に対する支配介入であって、これらは労組法7条3号及び4号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2240 説明・説得の程度
2901 組合無視
就業規則改訂問題について、組合から団交申入れを受けながら、金庫は、従業員への説明会を行って従業員代表者の同意をとりつけてから団体交渉に応じ、その交渉において昇給停止・逓減措置という組合員にとっては重大な労働条件の不利益変更であるにもかかわらず、就業規則の変更内容や実施時期、金庫の経営状態について具体的な資料に基づく説明が不十分であるなど、組合と誠実に交渉したとはいえず、また組合の存在を無視することによってその運営に支配介入するものであって、労組法7条2号及び3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
金融業、保険業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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