概要情報
事件名 |
日本貨物鉄道 |
事件番号 |
静岡県労委平成14年(不)第5号
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申立人 |
全日本建設交運一般労働組合東海鉄道本部 |
被申立人 |
日本貨物鉄道株式会社 |
命令年月日 |
平成17年 4月28日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、平成14年度の定年退職後の嘱託職員の採用試験において、組合員である静岡総合鉄道部のX1を不合格とし、採用しなかったことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、会社に対し、(1)組合員X1を平成14年度に嘱託職員として採用したものとしての取扱い、(2)組合員X1に対する、同人が受けるはずであった賃金相当額の支払(年5分加算)を命じ、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員のX1を、平成14年度に被申立人の静岡総合鉄道部で募集し た嘱託職員に採用したものとして取り扱わなければならない。 2 被申立人は、申立人組合員のX1に対し、前項の措置を講じることにより、同人が受ける はずであった賃金相当額(期末手当等を含む。)及びこれに対する年5分の割合による金額 を支払わなければならない。 3 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1500 不採用
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
定年退職後の嘱託社員採用試験において、組合所属組合員X1を不合格としたことは、(1)嘱託社員制度は別組合と会社の協議により導入されているところ、交渉において別組合は所属組合員以外は「悪貨」であるとして排除するよう求めていたこと、(2)会社は嘱託社員採用にあたって悪貨対策に沿った採用方法をとり、その意を理解している試験官に恣意的に運用させていること、(3)別組合所属の希望者全員を嘱託社員に採用しながら、X1を不採用としたことは、労働組合間差別による不利益取扱いであって、かつ、その不採用をもって組合弱体化を図った労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為とされた例。
1500 不採用
嘱託社員採用は新規採用と同一視できるものではなく、その選考も別組合以外の労働組合の組合員を排除する手段としてとられたものであって、試験で選考していることをもって新規採用であるので不当労働行為の成立の余地はないとの会社の主張が採用できないとされた例。
4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
嘱託社員採用は、純然たる新規採用ではなく定年延長に近い再雇用制度であり、X1を嘱託社員として採用しなかったことは不当労働行為であるから、その救済としては、X1を平成14年度に会社の静岡総合鉄道部で募集した嘱託社員として、X1が定年退職した日の翌日から1年間(年金満額支給開始年齢に達する日の属する月の末日まで)採用したものとして取扱い、これによって同人が受けるはずであった 賃金相当額及びこれに対する民事法定利率年5分の割合の遅延損害金額を支払うことを命ずるとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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