労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本交通 
事件番号  鳥取地労委 平成15年(不)第3号 
申立人  X1 
被申立人  日本交通株式会社 
命令年月日  平成16年 8月10日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、申立外組合を批判する活動を行っていた組合員X1に対し、(1)X1が組合役員選挙立候補時に会社施設内でビラを配布したこと及び勤務中に乗客に対して就業規則等に抵触する言動をしたこと等を理由に、4回にわたって懲戒処分に付したこと、(2)ハイヤー乗務員であるX1の定年延長に際し、本人の意向や前例に反して、職種を変更してバス営業所雇傭員に配置転換したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、(1)X1に対する4回の懲戒処分のなかったものとしての取扱い、諸給与の差額相当額の支払い、(2)X1の配転のなかったものとしての取扱い、原職復帰及び諸給与の差額相当額の支払、(3)(1)・(2)に関する文書手交を命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人日本交通株式会社は、申立人X1に対して行った下表の懲戒処分をなかったものとして取り扱うとともに、同処分がなされなかったなら得られたであろう諸給与相当額と、同人が既に得た諸給与額との差額を同人に支払わなければならない。
(下表略)
2 被申立人日本交通株式会社は、申立人X1に対して行った、平成15年9月21日以降バス営業所雇傭員とする配置転換命令をなかったものとして取り扱い、同人をハイヤー乗務員に復帰させるとともに、当該配置転換の日から原職に復帰するまでの間に同人が受けるはずであった諸給与相当額と、同人が既に得た諸給与額との差額を支払わなければならない。
3 被申立人日本交通株式会社は、本命令書写し交付後速やかに、下記文書(A4判とする。)を申立人X1に手交するとともに、A3判の大きさの白紙に楷書で明瞭に記載して、本社及び県内各営業所の会社掲示板に30日間掲示しなければならない。
 (文書に記載する日付は、手交、掲示した日とすること。)
    記
       年 月 日
   X1様
         日本交通株式会社
          代表取締役 Y1
 当社があなたに対して行った下記の表に掲げる懲戒処分及び平成15年7月3日付懲戒処分に併せて実施した無線配車停止措置並びに平成15年9月21日以降におけるバス営業所雇傭員への配置転換は、鳥取県地方労働委員会において労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であると認定されました。
 ついては、当社は当該懲戒処分及び配置転換をそれぞれなかったものとして取り扱い、あなたをハイヤー乗務員に復帰させるなど原状回復に必要な措置をとるとともに、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
(下記略)
4 申立人のその余の本件救済申立てを棄却する。 
判定の要旨  0200 宣伝活動
0202 会社施設の利用
組合員X1のビラ配布及び職場における組合員との意見交換等の活動が労働条件の維持改善を図るための正当な組合活動と認められた例。

0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
0202 会社施設の利用
1400 制裁処分
組合員X1のビラ配布は会社施設内で行われているものの、いずれも休日あるいは就業時間外や待機時間中に行われていて、業務に支障をきたした事実はなく、また、他の従業員が同様のビラを配布したか否かの確認もせず、敢えてX1の行為のみを問題として懲戒処分を行っていることからすると、X1の懲戒処分には合理性、相当性が認められず、労組法7条1号の不当労働行為とされた例。

1400 制裁処分
会社は、組合員X1が乗客の同意なく高額なコースを選択したり、コーヒーをこぼした客からクリーニング代を受け取った等の苦情を理由に懲戒処分を行っているが、これらを懲戒処分の理由とすることに合理性がなく、また、出勤停止14日間という懲戒処分は他の事例と比較しても著しく均衡を失し、相当性を欠くものであって、労組法7条1号の不当労働行為であるとされた例。

1400 制裁処分
会社が組合員X1の荷物扱い方、ドアサービスの方法、インターホンによる挨拶の方法が乱暴であったこと等を理由に懲戒処分を行っているが、これらの理由が懲戒処分を相当と認めることはできないから、これらの処分は労組法7条1号の不当労働行為であるとされた例。

1300 転勤・配転
組合員X1に対して定年延長の際にハイヤー乗務員からバス営業所雇傭員の業務に配置転換したことは、X1がハイヤー乗務員としての適性を欠くとまでいえないこと、会社が配置転換の基準を明らかにしていないこと、定年延長に際して本人の意向に反する職種変更を伴う配置転換がなされた事例が認められないことからすると、本件配置転換は労組法7条1号の不当労働行為であるとされた例。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献   
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成16年(不再)第46号 一部変更 平成18年7月19日
東京地裁平成18年(行ウ)第503号 棄却 平成19年5月17日
 
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