労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 日本交通株式会社
事件番号 東京地裁平成18年(行ウ)第503号
原告 日本交通株式会社
被告 国(処分行政庁 中央労働委員会)
判決年月日 平成19年5月17日
判決区分 棄却
重要度  
事件概要  本件は、会社が、組合員Xに対し、①組合役員選挙の際に立候補の趣意書を会社施設内で許可なく配布したこと及び乗客への言動が就業規則等に抵触するとして、数次の懲戒処分等をしたこと、②定年延長年齢を迎えた際にハイヤー乗務員からバス営業所雇傭員への配属を命じたことが不当労働行為であるとして、申立てがあった事件である。
 初審鳥取県労委は、会社に対し、Xへの数次の懲戒処分及び雇傭員への配属の取消し等を命じ、その余の申立てを棄却したところ、これを不服として会社から再審査の申立てがなされ、中労委は、初審命令を一部変更し、趣意書配布に係る懲戒処分のみ取り消した。会社はこれを不服として東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、会社の請求を棄却した。
判決主文 1.原告の請求を棄却する。
2.訴訟費用は原告の負担とする。
判決の要旨 (争点)
 本件処分が労働組合法7条1号の不当労働行為に当たるか。具体的には、ビラ配布が就業規則違反となるか、正当な組合活動として保護されるか、会社に不当労働行為意思が認められるかという点である。
① Xによる本件ビラ配布は、無許可であるから、形式的には会社の就業規則違反となる。しかしながら、本件ビラの配布は単に無線配車の指示があるまでの待機時間中のハイヤー乗務員に対して配布したというにすぎないのであり、配布を巡って職場に混乱が生じたり、業務に支障を来したりした事情は全く窺われない。また、本件ビラの内容は、ことさら違法なことをそそのかすものではなく、言論の自由を逸脱するものとは認められない。そうすると、本件ビラ配布は職場環境の適正保持や職場秩序を乱すおそれがない特別の事情が認められるということができ、会社の就業規則に違反するものではなく、正当な組合活動というべきであるとされた例。
② 右記のとおり本件ビラの配布は、会社の就業規則に違反せず、正当な組合活動と認められるところ、会社は、Xが本件ビラ配布をしたことを理由に出勤停止7日を命じる懲戒処分を行ったものであるから、同人に対して労働組合の正当な行為をしたことの故をもって不利益取扱いをしたことにほかならず、特段の事情がない限り不当労働行為意思が認められるところ、本件においては特段の事情があるとは認められないとされた例。

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
鳥取地労委平成15年(不)第3号 一部救済 平成16年8月10日
中労委平成16年(不再)第46号 一部変更 平成18年7月19日
 
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