労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東西物流・緑運送 
事件番号  埼玉地労委 平成13年(不)第7号 
申立人  全日本運輸産業労働組合埼玉県連合会 
申立人  緑運送労働組合 
被申立人  緑運送株式会社 
被申立人  東西物流株式会社 
命令年月日  平成16年 1月28日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、(1)組合の委員長を業務命令違反等を理由として懲戒解雇したこと、(2)新会社を設立のうえ、会社を計画倒産させて組合員14名を整理解雇したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、会社に対し、(1)組合委員長及び組合員14名を新会社で就労させること及び文書手交を命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人東西物流株式会社は、申立人緑運送労働組合執行委員長X2、同組合員X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15及びX16を運転手として就労させなければならない。
2 被申立人緑運送株式会社は、申立人らに対し、下記の文書を本命令書受領の日から5日以内に交付しなければならない(下記文書の中の年月日は、交付する日を記載すること。)。
            記
                 平成 年 月 日
全日本運輸産業労働組合埼玉県連合会
 執行委員長 X1 様
緑運送労働組合
 執行委員長 X2 様
緑運送株式会社
 代表取締役 Y1
 緑運送株式会社が平成13年3月5日に緑運送労働組合執行委員長X2を懲戒解雇し、並びに同年8月29日に同組合員X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15及びX16を整理解雇したことは、埼玉県地方労働委員会において不当労働行為と認定されました。今後、このような行為を繰り返さないよう誓約します。
3 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1700 偽装解散
2000 人員整理
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
本件整理解雇は、組合結成後、組合からの様々な要求や執行委員長の言動などから、組合に対する不信感を募らせた緑運送会社の社長が、組合嫌悪の意識の下に、東西物流会社の設立後、両社の事実上の経営者として東西物流会社の社長を自己の支配下に置き、緑運送会社の従業員、主要な取引先、車両などを順次組合の影響力の及ばない東西物流会社に移管し、緑運送会社を事実上の倒産に至らしめ、同社に残った組合員である従業員全員を解雇したものと認められ、労組法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

1900 営業譲渡・合併
4910 事業廃止に伴う新経営者
緑運送会社と東西物流会社の関係についてみると、東西物流会社は、役員、資本は全て緑運送会社社長の支配下にあり、その業務、従業員、車両、施設、取引先の大部分が緑運送会社から順次引き継がれており、本件労働関係においては、緑運送会社と東西物流会社は、形式上は法人格を異にしているけれども、その実質において同一性を有するとされた例。

1102 業務命令違反
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合執行委員長X2が配車表を威圧的な言動により変更させたり、配車係からの業務指示を拒否したと認めることができるが、これらのことをもってX2を懲戒解雇とするまでの理由があったとは認められず、むしろ緑運送会社社長が組合活動の中心的存在であったX2がいなくなれば、組合は弱体化すると考え、X2を懲戒解雇し、緑運送会社から排除したとみるのが相当であり、かかる行為は、労組法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

1800 会社解散・事業閉鎖
2000 人員整理
4402 企業閉鎖・偽装解散と救済
4421 文書掲示等を命じた例
4910 事業廃止に伴う新経営者
緑運送会社は、既に事業を休止し、事実上の倒産状態にあることを考慮すると、組合らの救済については、東西物流会社に対して組合員の就労を命じ、緑運送会社に対して文書の交付を命じることが相当であり、こられをもって救済の目的を達するものと判断するとされた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献   
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成16年(不再)第16号 /他 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成17年10月19日 決定 
 
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