労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  株式会社丸都運輸 
事件番号  中労委 平成15年(不再)第7号 
再審査申立人  株式会社丸都運輸 
再審査被申立人  全日本建設交運一般労働組合北九州合同支部 
命令年月日  平成16年 3月17日 
命令区分  再審査棄却(初審命令をそのまま維持) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)年末一時金の団体交渉申入れに関し、具体的な財務資料を開示し十分な説明を行うようにとの要求に応えず、同一の回答を繰り返すなどの対応をしたこと、(2)腕章闘争に対して、配車せず乗務させなかったこと、(3)組合員に対し長距離運行の配車を減少させたこと、(4)組合に対して腕章着用の中止を求める厳重申入れ等を行ったこと、(5)年末一時金の交渉中に会社の従業員に対し下級職制を使って一時金支給要請書記載工作を行ったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、福岡地労委は、会社に対し、団体交渉に誠実に応じなかったこと及び腕章を着用した組合員に対して配車をせず組合の運営に支配介入したことに関する文書手交を命じ、その余の申立ては棄却した。会社は、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、本件再審査申立てを棄却した。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  2249 その他使用者の態度
 会社は、組合からの年末一時金の団体交渉の申入れに形式的には応じているものの、団体交渉申入れ段階及び団体交渉の全過程における会社の態度は、合意を求める組合の努力に対して団体交渉における誠実な対応を通じて合意達成の可能性を模索する使用者の義務を尽くしているとは認められず、団体交渉を正当な理由なく拒否したものであって、労組法第7条第2号の不当労働行為に該当するとされた例。

2620 反組合的言動
3607 労働者の行為と不利益取扱の程度との関連
 会社は、腕章闘争を行わないよう組合に申し入れていること、腕章着用を容認するような規定等はないこと、最大の取引先より、腕章闘争の中止を求められ、会社の業務運営に支障が生じるおそれがあったが、会社が中止を求めたのに腕書着用闘争を実施していること等から、本件腕章闘争は労働組合の行為として正当性に疑問があり、本件配車停止は無理からぬものであったが、同措置は、事前に通告することなく実行したものであること、乗務員に乗務を事実上拒否するもので重大な影響をもたらすものであること等、その態様及び手続において相当性を欠くものであり、取引先への対応上必要であったという以上に本件腕章闘争に対抗して組合に打撃を与えることを意図したものであるから、労組法第7条第3号の不当労働行為に該当するとされた例。

4617 その他
 会社は年末一時金は組合の同意を得て妥結しその支払を完了しており、文書手交を命じる必要はない等とするが、会社が団体交渉において誠実交渉義務を果たしたことは明らかでなく、将来において同種の不当労働行為の再発の可能性が否定できない以上、会社の主張は採用しがたく、今後の健全な労使関係の確立を促進する観点から救済方法として文書手交を命じることが相当であるとされた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献   
評釈等情報  中央労働時報 2004年8月10日 1031号 19頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
福岡地労委 平成13年(不)第1号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  平成15年 1月24日 決定 
 
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