労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  丸都運輸 
事件番号  福岡地労委 平成13年(不)第1号 
申立人  全日本建設交運一般労働組合北九州合同支部 
被申立人  株式会社丸都運輸 
命令年月日  平成15年 1月24日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、平成12年末一時金の団体交渉において、交渉権限のある者を出席させず、また、財務資料も提出しない等不誠実な対応をしたこと、組合に対して、腕章着用闘争の中止を求める「厳重申入れ」等を行ったこと、腕章着用を理由として組合員への配車を行わなかったこと、腕章着用闘争の解除後も組合員への長距離運行の配車を減少させたこと、平成12年年末一時金交渉中に、会社回答に同意する従業員を募り、「支給願書」を提出するよう求めたことが、不当労働行為であるとして争われた事件で、文書手交を命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、本命令書写しの交付の日から7日以内に、次の文書を申立人に手交しなけれ ばならない。
  株式会社丸都運輸が行った下記の行為は、福岡県地方労働委員会によって不当労働行為と 判断されました。
  今後、このようなことを行わないよう留意します。
                     記
 (1)平成12年年末一時金要求に関する貴組合との団体交渉において、回答の根拠を十分に検   討できる資料を提示して具体的な説明を行わないなど、誠実な対応をしなかったこと。
  (2)平成12年11月21日から同年12月2日までの間貴組合が実施した腕章闘争に対し、腕章闘   争を回避させるための十分な説明や交渉を行わないまま、腕章を着用した貴組合員に対   する配車を直ちに停止し、貴組合の運営に支配介入したこと。
                              平成  年  月  日
   全日本建設交運一般労働組合
    北九州合同支部
     執行委員長  X1  殿
                            株式会社丸都運輸
                             代表取締役  Y1
2 その余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  2240 説明・説得の程度
会社は、年末一時金の支給額が昨年同期より低額回答となった根拠について、口頭で説明したのみで、組合の財務資料等を示し数字を上げて具体的に説明して欲しい旨の要求には一切こたえなかったこと、組合の上積み要求に対しても、従前の説明を繰り返し、回答の根拠や上積み要求は受け入れられない理由を必要かつ可能な範囲で資料等を示して的確に説明しなかったこと等、会社の態度は、組合に十分説明し、理解、納得してもらうよう誠実に努力する義務を怠ったと評価せざるをえず、7条2号に該当する不当労働行為であるとされた例。

0203 職場闘争と業務妨害
0210 リボン・ワッペン等の着用
会社が取引先会社から抗議を受けた組合の腕章着用闘争の中止を求める「厳重申入れ」を行ったことは、本件腕章着用闘争が継続された場合、最大の取引先会社の業務が阻害され、ひいては同社からの信用が低下するなど、会社の業務を阻害するおそれに繋がり、会社はそれを回避する必要があったものと認められ、7条3号の支配介入には該当しないとされた例。

0203 職場闘争と業務妨害
0210 リボン・ワッペン等の着用
1302 就業上の差別
会社が、業務依存率が高く極めて重要な取引先会社との信頼関係を維持し、今後も安定的に受注を確保し業務を円滑に遂行するためにやむを得ず腕章着用した組合員に対する配車を停止するという措置をとったことは無理からぬところであり、会社のこのような措置は、反組合的意図ないし動機に基づく報復的なものとまでは評価できず、7条1号の不利益取扱いには当たらないとされた例。

0203 職場闘争と業務妨害
0210 リボン・ワッペン等の着用
1302 就業上の差別
2620 反組合的言動
会社は、配車停止によって分会員が経済的打撃を受け組合が弱体化する結果となることを予見し得るのに、あえて組合に対する十分な説明をすることも更なる真摯な交渉によって腕章闘争を回避ないし解決しようと努めることもなく、腕章着用した組合員に対する配車停止を即座に実行に移したものと認めることができ、このような会社の行為は、不利益取扱いとまではいえないものの、7条3号の支配介入に当たるとされた例。

1302 就業上の差別
2900 非組合員の優遇
会社は、本件腕章闘争が無期限である旨の通告を受けており、その後の交渉において年末一時金問題が早期に妥結する目処もついておらず、本件腕章闘争解除通知を予測し得なかったと認められること、腕章闘争中は配車の停止をする組合員の数が多数であることから、配車計画を非組合員中心に通常より長めに組んでいたものと推認され、これを腕章闘争解除通知を受けた後に変更することは困難だったこと等が認められ、長距離運行の配車回数について、組合員と非組合員に格差があったとしても、これから会社が組合員を差別的に取り扱ったとまでは認めることはできず、長距離運行の配車差別があったとは認められないとされた例。

2625 非組合員化の言動
会社は、年末一時金の支給願書の提出を求める「お知らせ」を掲示したが、この「お知らせ」は非組合員にあてて掲示されたものであり、組合員との関係では「組合員については妥結後に支給する」旨記載されており、「お知らせ」の掲示は組合の意向に反して個々の組合員に妥結前に支給しようとした行為とは評価できず、組合運営に対する支配介入とはいえないとされた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集125集320頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成15年(不再)第7号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  平成16年 3月17日 決定 
 
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