労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  明和運輸(支配介入) 
事件番号  福岡地労委 平成13年(不)第6号 
申立人  全国一般労働組合全国協議会北九州合同労働組合(ユニオン北九州) 
被申立人  明和運輸有限会社 
命令年月日  平成15年 8月 8日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、(1)分会長ら3名を、運転日報の不正記入、業務妨害言動、始末書の未提出等を理由として、出勤停止処分としたこと、(2)組合情宣看板を搭載した分会長の自家用車の構内乗入れについて、警告書を発したこと、(3)(1)及び(2)の撤回を求めて腕章着用就労した分会員に対し、警告書を発したことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、会社に対し、分会長らに3名に対する出勤停止処分の撤回及びバック・ペイを命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員X1に対する平成13年6月15日付出勤停止処分及び同年11月13 日付出勤停止処分、同X2に対する同年5月31日付出勤停止処分並びに同X3に対する同年 7月9日付出勤停止処分をそれぞれ撤回し、同人らに対し、出勤停止期間中の賃金相当額を 支払わなければならない。
2 その余の申立ては、棄却する。 
判定の要旨  1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
本件分会長ら3名に対する出勤停止処分は、その根拠とされる行為に処分対象該当性を欠くものが掲げられ、あるいは対象となる事実の摘示に誤りがある等、根拠が薄弱で杜撰なものであること、日報等の提出遅延等に対する会社の態度は3名以外はけん責・始末書提出に止めており、その取扱いは大きく異なっていることからすると、本件懲戒処分は会社の集会室の使用手続をめぐる紛糾が続いていた中で中心的役割を担っていた組合員らに対する反撃・報復手段として行われたものと解され、労働組合法第7条第1号及び第3号の不当労働行為とされた例。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会長X1に対する第二回出勤停止処分は、X1の始末書未提出を理由とするものであるが、会社が提出を求めている始末書は、単なる事故の事実てん末書ではなく、自らの非を認めて反省の意を示す趣旨のものであり、始末書の記載内容如何では、会社から損害賠償の請求がなされるおそれがあること等から、X1が始末書を提出しなかったことは無理からぬところがあり、このことを理由として処分を行うことは相当ではなく組合が就業時間中の腕章着用や、有給休暇届出の取扱いについて監督署に告発等していた状況下で、会社が組合に対し嫌悪感を強めたことは容易に推認できるから、本件X1に対する処分は、労働組合法第7条第1号及び第3号の不当労働行為とされた例。

1400 制裁処分
分会長が通勤に利用している自家用車の上に組合看板を搭載し、会社事務所玄関前等会社構内に駐車することについて、会社がこれを好ましくないものとして駐車場所の変更を求め、警告書を発したことは、使用者の施設管理権の行使として相応に理解できることであり、また警告書の記載には、処分等を示唆するような威嚇的内容は含まれていないこと等から、このことをもって、組合活動を不当に抑制するものとは言えず、不当労働行為とは認められないとされた例。

1400 制裁処分
X2が腕章を付けたまま作業を行ったことについて、荷主から苦情が寄せられたことがあり、同様のことが起こるのを危惧し、会社が警告書を発したことについては相応に理解できるところであり、また警告書には処分等を示唆するような威嚇的内容は含まれていないのであるから、会社が警告書を発したことをもって、腕章着用の組合活動を不当に抑制するものとは評価できず、不当労働行為とは認められないとされた例。

4411 配転・転勤・出勤停止・下車勤等の場合
X1ら3名の出勤停止処分の救済として、組合は、懲戒処分による支配介入の禁止、損害金の支払及びポスト・ノーティス等をも求めているが、各出勤停止処分の撤回、出勤停止期間中の賃金相当額の支払を命じる救済で十分とされた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集126集569頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成15年(不再)第41号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  平成17年 7月20日 決定 
 
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