概要情報
事件名 |
ノテ福祉会 |
事件番号 |
北海道地労委 平成13年(不)第25号
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申立人 |
北海道福祉ユニオン |
申立人 |
札幌中小労連・地域労働組合 |
被申立人 |
社会福祉法人ノテ福祉会 |
命令年月日 |
平成15年 8月 4日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、法人が、(1)組合を誹謗中傷する文書を回覧、掲示したこと、(2)別組合の組織拡大の支援、別組合の美化宣伝、別組合役員による職務上の立場を利用した組合勧誘の容認等をしたこと、(3)組合員の些細なミスに対し過重な処分を科すと脅し、同組合員に心理的動揺を与えたこと、(4)別組合結成直後に別組合とユ・シ協定を締結したことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、法人に対し、(1)組合を誹謗中傷する文書の回覧、掲示等の禁止、(2)別組合への組織拡大支援、別組合の美化宣伝、別組合役員による職務上の立場を利用した組合勧誘の容認等の禁止、(3)組合員の些細なミスに対し、過重な処分を科す旨をほのめかす等の組合員の心理的動揺を与える言動の禁止、(4)ポスト・ノーティスを命じ、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人らの正当な組合活動を批判したり抑制する内容の「法人本部ニュー ス」を施設内に回覧・掲示するなどして申立人らの弱体化を図り、その運営に支配介入して はならない。 2 被申立人は、UIゼンセン同盟オール・ノテ・ユニオンの組織拡大を支援したり、法人本 部ニュースなどの媒体を使って同組合を美化したり、また、同組合の役員が職務上の立場を 利用して、職員を同組合へ加入させる行為を容認するなどして、申立人らの弱体化を図り、 その運営に支配介入してはならない。 3 被申立人は、申立人組合員の重大ではない業務上のミスをとらえて、ことさら重い処分を 科すといって脅し、同組合員の心理的動揺をねらうなどして、申立人らの弱体化を図り、そ の運営に支配介入してはならない。 4 被申立人は、次の内容の文書を縦1.3m×横1mの大きさの白紙にかい書で明瞭に記載し、 被申立人の経営する老人保健施設「げんきのでる里」及び特別養護老人ホーム「幸栄の里」 の、いずれも従業員出入口の見やすい場所に、それぞれ本命令書の写し交付の日から7日以 内に掲示し、10日間掲示を継続しなければならない。 記 当法人が、貴組合に対して行った次の行為は、北海道地方労働委員会において、労働組合 法第7条第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないようにします。 記 (1)貴組合の正当な組合活動を批判したり抑制する内容の「法人本部ニュース」を、施設内 に回覧や掲示などして貴組合の弱体化を図り、その運営に支配介入したこと (2)UIゼンセン同盟オール・ノテ・ユニオンの組織拡大を支援したり、法人本部ニュース などの媒体を使って同組合を美化したり、また、同組合の役員が職務上の立場を利用し て、職員を同組合へ加入させる行為を容認するなどして、貴組合の弱体化を図り、その 運営に支配介入したこと (3)貴組合員の重大ではない業務上のミスをとらえて、ことさら重い処分を科すといって脅 し、同組合員の心理的動揺をねらうなどして貴組合の弱体化を図り、その運営に支配介 入したこと 平成 年 月 日 北海道福祉ユニオン 執行委員長 X1様 札幌中小労連・地域労働組合 執行委員長 X2様 社会福祉法人ノテ福祉会 理事長 Y1 5 申立人らのその余の申立ては、棄却する。 |
判定の要旨 |
2620 反組合的言動
事実と異なる組合の主張、要求や組合を誹謗、中傷する内容等を掲載した法人本部ニュースを法人の施設内に回覧したり掲示板に掲示したことは、団体交渉に参加しなかった職員にその様子を知らせるとの名目の下に、一見すると中立・公平を装っているかのように思われる媒体を使って、その実は、申立人ら嫌悪の方針を露骨に表明し、その弱体化をねらって支配介入したものであって、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為とされた例。
2500 別組合の結成・援助
2620 反組合的言動
法人が、別組合の組織拡大を支援したり、法人本部ニュースなどの媒体を使って同組合を美化したり、また、同組合の役員が職務上の立場を利用して、職員を同組合へ加入させる行為を容認したことは、申立組合らの弱体化をねらった支配介入であり、労働組合法第7条第3号に該当するされた例。
2500 別組合の結成・援助
法人は、別組合結成後直ちに別組合とユ・シ協定を締結しているが、別組合はゼンセン同盟の指揮の下に結成された独立した労働組合であること、同組合員数は組合員となれる者の過半数に達していること及びこの協定の締結が同組合の上部団体であるゼンセン同盟の主導の下に行われたと認められることなどを考慮すると、この協定を締結したこと自体をもって組合の弱体化を企図した不当労働行為ということができないとされた例。
2700 威嚇・暴力行為
法人は、組合員であるX3ケアワーカーの行為について、懲戒解雇に相当しないことを承知しながら賞罰委員会に懲戒解雇相当の答申をなさしめ、法人として出勤停止10日間の処分を通知し、その後出勤停止1日の処分に変更、通知するとともに、懲戒処分が未だ確定せず、組合と協議中であるにもかかわらず、法人本部ニュースにX3本人を特定し得るかたちで、この経過を記載した上、掲示・回覧に供し、最終的には処分しないとしたが、これら法人のX3に対する懲戒処分の通告とその取下げに至る一連の行為は、組合員の重大ではない業務上のミスをとらえて、ことさら重い処分を科すといって脅し、また、処分未定であるにもかかわらず、交渉経過を公表して組合員に心理的動揺を与えたもので、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為とされた例。
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業種・規模 |
社会保険、社会福祉 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集126集540頁 |
評釈等情報 |
 
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