概要情報
事件名 |
シマダヤ |
事件番号 |
東京地労委 平成10年(不)第83号
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申立人 |
東京西部一般労働組合 |
被申立人 |
シマダヤ株式会社 |
命令年月日 |
平成15年 6月 3日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、子会社である運送会社の従業員の加入する組合から申し入れられた労働条件の変更に関する団交を、使用者でないことを理由に拒否したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、(1)会社の運賃引下げによって生じた子会社従業員である組合員の労働条件の変更に関する団交に誠意をもって応じること、(2)履行報告を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人シマダヤ株式会社は、申立人東京西部一般労働組合が申し入れた、被申立人会社 が平成10年12月から運賃を引き下げたことによって生じた申立外シマダヤ運輸株式会社従業 員である組合員の労働条件の変更に関する団体交渉に誠意をもって応じなければならない。 2 被申立人会社は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければなら ない。 |
判定の要旨 |
2130 雇用主でないことを理由
4916 企業に影響力を持つ者
シマダヤは、シマダヤ運輸に対する関係では「発注者」に過ぎず、シマダヤ運輸は別法人ではあるものの、シマダヤは、シマダヤが運賃を引き下げると、シマダヤ運輸の従業員の賃金が引き下げられることになる結果を予め十分承知していたこと、現に、シマダヤがシマダヤ運輸の従業員の賃金の引下げを実施したことはシマダヤがシマダヤ運輸の従業員の賃金を引き下げたことと同じことになったことから、シマダヤは、運賃の引下げをシマダヤ運輸に提示することによって、シマダヤ運輸の従業員の賃金等の労働条件を実質的に規制し、これを支配、決定しているといえ、組合がシマダヤと交渉しない限り、本件組合員らの労働条件問題の具体的かつ現実的な解決をすることは困難であるから、シマダヤを本件団体交渉における使用者と解するのが相当とされた例。
2307 その他
5200 除斥期間
組合が請求する救済内容に記載された交渉議題の対象となる事実は、発生から一年以上経過しているが、組合は、団体交渉に応じなかったことが不当労働行為に当たると主張するのであって、未解決の懸案を一年以上経過した後に、改めて団体交渉で取りあげて解決を図ることは何ら問題とはならないから、申立期間を徒過した救済申立てに当たらないとされた例。
2130 雇用主でないことを理由
シマダヤは、組合の団体交渉申入れに対し、使用者でないとの理由で一貫して拒否しているが、要旨1のとおり、シマダヤは本件団体交渉における使用者たり得ると解されるから、これが団体交渉を拒否する正当な理由とはならないとされた例。
2247 解決済
2250 未妥結・打切り・決裂
2300 賃金・労働時間
組合が求めた交渉議題には、一見すると義務的団体交渉事項かどうか疑義のある議題も含まれるが、シマダヤのシマダヤ運輸に対する運賃引下げに伴うシマダヤ運輸従業員である組合員の労働条件については、組合がシマダヤと交渉しない限り、本件組合員らの労働条件問題の具体的かつ現実的な解決をすることは困難であり、本件においては、シマダヤは組合に対して、団体交渉において運賃引下げの必要性や根拠等について組合の納得を得るための説明を行い、或いは運賃引下げの変更の可否などについても交渉を行う必要があると考えざるを得ず、一方、シマダヤは、本件審査手続の過程で組合との交渉が十分行われており、改めて団体交渉をする実益がないと主張するが、本件審査手続の過程で団体交渉が行われた事実は認定できないとされた例。
2247 解決済
2304 経営事項
4500 交渉拒否理由または交渉条件に関する指示に触れた例
本件団体交渉申入れの交渉議題のうち、業務委託料の復活にかかる議題は解決済みであること、及び組合がシマダヤと交渉しない限り、本件組合員らの労働条件問題の具体的かつ現実的な解決が困難な、シマダヤが運賃を引き下げたことによって生じたシマダヤ運輸の組合員の労働条件の変更に関する事項に限って、団体交渉を行うのが適当であることを併せ考え、当該組合員の労働条件の変更に関する団体交渉に誠意をもって応じることを命じた例。
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業種・規模 |
食料品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集126集254頁 |
評釈等情報 |
 
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