労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  港高周波工業 
事件番号  中労委 平成13年(不再)第62号 
再審査申立人  全国金属機械労働組合港合同 
再審査申立人  全国金属機械労働組合港合同港高周波支部 
再審査被申立人  Y1 
再審査被申立人  Y3 
再審査被申立人  Y2 
命令年月日  平成15年 6月 4日 
命令区分  再審査棄却(初審命令をそのまま維持) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、(1)組合の支部の壊滅を意図して破産申立てを行ったこと、(2)組合及び支部との事前協議同意約款を無視して破産申立て及び解雇を行ったこと、(3)会社の破産申立てに至った経過などについて組合及び支部の団体交渉の申入れに応じなかったこと、がそれぞれが不当労働行為に当たるとして、組合から、会社、会社の代表Y1社長、同Y2取締役、会社及びY1社長の破産申立ての代理人であるY3弁護士並びに会社の破産管財人Y4弁護士を被申立人として争われた事件で、会社、Y2取締役、Y3弁護士に対する申立てを却下するとともに、Y1社長に対して、会社の破産申立てに至った経過の説明を議題とする団交を行うこと並びに、会社が破産申立てに際して組合及び支部との事前協議を行わなかったこと及び破産申立てに至った経過等に関する団交に応じなかったことについての文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した初審命令を支持して再審査申立てを棄却した。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  1800 会社解散・事業閉鎖
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
本件破産申立てに係る破産原因等が意図的に作出されたものとは考えられないこと、また、支部の結成以降の労使関係については、本件破産申立てが組合に対する嫌悪の念やこれを敵視するが故になされたものとは認められないこと、さらに、本件破産申立てに伴い組合員を含む全従業員が解雇されたが、組合員以外の従業員等を雇用して別企業において従前の事業を継続した事実の疎明もないから、本件破産申立ては、会社の経営内容の悪化や経営の継続が困難な状態になった結果なされたものであり、組合の活動がなければ本件破産申立てがなされなかったであろうと推認されるような事実を見出すことはできず、本件破産申立て自体が不当労働行為に当たらないとした初審判断は相当であるとされた例。

1107 その他
1800 会社解散・事業閉鎖
本件解雇は、本件破産申立ての2日後に会社の門に文書を張り出し、同日付け解雇通知を送付することにより行われたものであるが、本件破産申立ては不当労働行為には当たらないこと、本件解雇は、その方法、時期等の当否は別として、本件破産申立て直後に生産活動を停止し、全従業員を解雇したものであるから、組合員であるが故に不利益に取り扱われたものということはできず、本件解雇を不当労働行為ではないとした初審判断は相当であるとされた例

1800 会社解散・事業閉鎖
2249 その他使用者の態度
2305 労働協約との関係
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
事前協議同意約款を定める協定は、Y1社長が会社の売却を企図したことに端を発した問題の解決の過程で、同社長の会社売却に対する反省と将来の会社の防衛を目的として締結されたものであり、このような特殊事情を考慮すれば、本件破産申立て及び本件解雇に当たり、会社が同協定に基づいて組合と事前協議を行い、同意を得る義務を負っているにもかかわらず、これを無視したことは、労働組合法第7条第3号の不当労働行為に当たるとされた例。

1800 会社解散・事業閉鎖
4912 破産事業における使用者
Y2取締役は、会社株式の保有の割合、役員報酬の決定権等において、Y1社長と同視できるほど会社との一体性は認められないこと、一方、Y3弁護士は、あたかも当事者として主導的役割を果たしているように見える言動等があったことは否定できないが、同人が本件破産申立て後の破産処理手続において、専門家として、Y1社長に代わって主導的に組合を含む関係者との折衝や対応の矢面に立つことは事実上避けられないところであり、このことをもって直ちに代理人としての立場以上の役割を担い、不当労働行為責任を負うと解することはできず、両名は被申立人適格を有しないとした初審判断は相当であるとされた例。

1800 会社解散・事業閉鎖
2241 他の係争事件の存在
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
4912 破産事業における使用者
組合は、破産申立てに至った経過の説明を議題とする団体交渉を命じた初審命令では不十分で、紛争の解決を目的とするものに改めるよう求めているが、会社は既に消滅しており、また、会社と実質的に一体のものとみなされる社長は破産宣告を受けて財産の管理処分権が制約され、さらに、Y1社長の個人破産の手続は、組合員より債権確定訴訟が提起され、再審査審問終結時においてなお係属中である事情を考慮すると不当とまでいえないとされた例。

1800 会社解散・事業閉鎖
2305 労働協約との関係
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
4402 企業閉鎖・偽装解散と救済
4505 その他
4912 破産事業における使用者
組合は、初審命令が命じた手交文書について、事前協議同意約款を定める協定に反して破産申立てを行ったこと及び団体交渉に応じなかったことを陳謝するとともに、紛争解決のための団体交渉に応じることを誓約する旨の内容に改めることを求めているが、同手交文書は、不当労働行為であると判断された同協定違反及び団体交渉拒否に対する救済措置として、その内容自体不当とはいえず、協定に違反した点についても包含されているものと解するので、これを改める必要はないとされた例。

業種・規模  金属製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集126集843頁 
評釈等情報  中央労働時報 2003年8月10日 1016号 11頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪地労委 平成11年(不)第86号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  平成13年11月30日 決定 
 
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