労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  津田電気計器 
事件番号  中労委 平成 8年(不再)第27号 
再審査申立人  津田電気計器株式会社 
再審査被申立人  全大阪金属産業労働組合 
命令年月日  平成15年 3月13日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  会社が、平成5年度の賃上げ、夏季一時金及び年末一時金についての組合分会との団交において不誠実な対応を行ったこと、出張命令に従わずに通常勤務した分会員1名に対して厳重注意を行い、当日分の賃金を支払わなかったこと、出張に行かなかったことに関し、同分会員を誹謗中傷する文書を会社内の掲示板に掲示したこと、念書を提出しないことを理由に分会書記長らに対して出張旅費を出張前に仮払いしなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、大阪地労委は、通常勤務した分会員が当日に就労したものとしての取扱い及びバック・ペイ(年率5分加算)、厳重注意がなかったものとしての取扱い及び文書手交を命じ、その余の申立ては棄却した。会社は、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は初審命令を一部変更し、その余の再審査申立てを棄却した。 
命令主文  1 初審命令主文第1項中「及びこれに同年9月29日以降年率5分を乗じた金額」を削除す  る。
2 初審命令主文第2項を取り消し、同第3項を同第2項と、同第4項を同第3項とする。
3 前記2で改めた初審命令主文第2項の手交文書中、「大阪府地方労働委員会」を「中央労働委員会」に改め、第1項中、「同年9月1日付けで厳重注意し、また、」を削除する。
4 その余の本件再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  1400 制裁処分
分会員X1に対する出張指令書に基づく業務命令は、会社が撤回しない限り、同人が出張期間の一部についてストを行っても、それだけで効力を失うことはなく、同人は、ストが終了し業務に服すべき日以降は、会社の業務命令に従わなければならなかったものであり、業務命令に従わなかったことが分会の方針によるものであったにせよ、出張命令に従わない等として、会社が行った厳重注意処分は不当とはいえず、業務命令に反する勤務についての会社の考え方を明確に示し、今後、業務命令の確実な履行を期するため注意を促したとしても責められる措置とはいえず、本件厳重注意処分を不当労働行為に当たるとした初審判断は採用できないとされた例。

1204 スト・カット
会社は、分会員X1の工場内での就労は債務の本旨に従ったものではないから、賃金支払義務は基本的には発生しないとしているが、X1と同様の副分会長の例では賃金が支払われたこと等の経緯からすれば、会社が、X1の工場内での労務提供に対して拒否するとの明確な意思表示をしていない以上、いわば通常業務を黙示的に受領したに等しく、たとえ本来の債務の本旨に従った労務提供でなくても、その範囲において賃金相当額の支払をすべきものであり、後になって一方的に賃金全額を支払わないとすることは、出張拒否闘争に参加したX1をことさら不利益に取り扱うものであって、7条1号の不当労働行為に当たるとされた例。

2620 反組合的言動
会社が分会の申入文書等に対する回答文書の形で掲示した見解書等には、分会と会社との論争の範囲から逸脱して、X1個人の勤務態度をことさら非難する記載が認められ、X1に注意や指導等をすることなく、いきなり公の場に掲示して非難するものであるから相当とは認められず、また、当該掲示は、分会員であるX1に対する不利益取扱いであるばかりでなく、分会員に、ストに参加すると事後このような不利益を被ると思わせることにより、ストに参加させない効果を及ぼすものといわざるを得ず、正当な組合活動に圧力をかけ、これを萎縮させるものといえ、本件会社見解書等の掲示は、7条1号及び3号の不当労働行為に当たるとした初審判断は相当であるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
2900 非組合員の優遇
分会員が、出張指令書に基づき業務を遅滞なく完遂することを誓う旨の念書を提出しないからといって、出張に行かないあるいは出張先において業務を行わないとの意思表示をしたものとは断定できず、また、会社は、念書不提出についても依然として出張には行かせる意思を持っていたのであるから、念書の不提出を理由とした出張旅費の仮払い拒否に関する会社の主張には合理的な理由はなく、会社が、長年継続してきた出張旅費の出張前の仮払いを合理的な理由もなく、分会との事前の協議もないまま、一方的に不利益に変更したことは、平成5年度賃上げ等を妥結せず出張拒否闘争を行う分会及び分会員に対して財政的かつ心理的に圧力を加えることを企図して、分会の統一方針として念書を提出しない分会員をことさら不利益に取り扱ったものであって、組合への支配介入に当たるものであり、7条1号及び3号の不当労働行為に当たるとされた例。

4407 バックペイの支払い方法
X1に対する賃金カットに係る加算金については、分会の出張拒否闘争の実施方法には労使関係の信頼関係を著しく損なう要素が内包されていることとの均衡を考慮し、その支払を命じないとされた例。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集125集1088頁 
評釈等情報  中央労働時報 2003年6月10日 1014号 13頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪地労委 平成 6年(不)第4号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  平成 8年 6月28日 決定 
 
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