概要情報
事件名 |
柴田学園 |
事件番号 |
中労委 平成12年(不再)第20号
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再審査申立人 |
柴田女子高等学校教職員組合 |
再審査申立人 |
青森県私立学校教職員組合連合 |
再審査被申立人 |
学校法人柴田学園 |
命令年月日 |
平成15年 3月 5日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
学園が、組合員3名に対し、校長の指示に従わなかったこと等を理由に出勤停止等の懲戒処分を行い、同処分に伴い昇給延伸処分を行ったこと、組合員1名に対し、入学式において生徒氏名の読上げの際、投げやりな態度に終始したこと及びこれらに関する始末書の提出を拒否したこと等を理由に出勤停止4日間の懲戒処分を行ったことが、それぞれ不当労働行為であるとして争われた事件で、青森地労委は、申立てを棄却した。組合は、これを不服としてそれぞれ再審査を申し立てたが、中労委は初審命令を一部変更し、上記組合員1名に対する懲戒処分は不当労働行為に該当するとして、文書手交を命じ、その余の再審査申立ては棄却した。 |
命令主文 |
Ⅰ 初審命令主文を次のとおり変更する。 1 再審査被申立人は、再審査申立人らに対し、本命令書受領後、速やかに下記の文書を手 交しなければならない。 記 青森県私立学校教職員組合連合 中央執行委員長 X1 殿 柴田女子高等学校教職員組合 執行委員長 X2 殿 学校法人柴田学園 理事長 Y1 当法人が行った貴組合X3に対する平成10年5月8日付懲戒処分は、中央労働委員会によ って、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であると認定されました。今後この ような行為を繰り返さないようにいたします。 2 その余の申立てを棄却する。 Ⅱ その余の本件申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1400 制裁処分
3604 労働者に落度がある場合
生徒指導部長や生徒指導部員である組合員3名が、校長の度重なる注意・指示にもかかわらず、生徒指導部室の整理整頓を十全に行わず、このことに関する顛末書提出指示から46日後になって顛末書に代え「報告書」を提出したことは、校長の命令・指示に正当な理由なく従わず、職務上の義務に違反したものであり、3名の処分には相当の理由が認められ、校長の職員に対する発言には組合への反感が窺われるものの、他方、本件処分が不当労働行為意思に基づくものであることを示す疎明はなされていないことから、本件懲戒処分が7条1号の不当労働行為に該当しないとした初審命令の判断は相当であるとされた例。
1400 制裁処分
3601 処分の程度
法人は組合の2度目の校長退陣要求を機に、組合への嫌悪感を募らせていったものと推認され、また、本件処分の直前には理事長が組合嫌悪の意思を明らかにする「理事長訓辞」を行い、法人と組合との間に緊張感が高まっていたが、本件処分理由となったX3が入学式において適切な呼名ができなかったこと及び国旗に向かって礼を欠いたことは、いずれも意図して行ったものではなく、就業規則上の懲戒処分理由に該当するような非違行為であるとは認められず、これに対して出勤停止4日という重い懲戒処分を行ったことは、法人が組合嫌悪の意思に基づき、過去に組合執行委員長の役職を経験したり、別件不当労働行為救済申立事件に関与しているX3に対し、組合所属を理由として見せしめ的に不利益な扱いを行ったものと認められ、7条1号に該当する不当労働行為であるとされた例。
4421 文書掲示等を命じた例
上記懲戒処分について、X3が懲戒処分無効確認を求めた訴訟において、同人の請求を全部認容する判決が確定し、それに沿って法人とX3との間では、本件処分についてはすべて処理済みである旨の「覚書」が結ばれ、原状回復がなされていることから、懲戒処分の取消し等に関しては、既に救済する利益は失われているが、本件処分による組合活動に対する抑制的効果について原状回復がなされたとまでは言えないので、法人に対して、今後同種行為を繰り返すことなく、労使関係を正常化するよう求める趣旨を示すものとして、文書手交命ずるのが相当であるとされた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集125集1067頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 2003年5月10日 1013号 13頁 
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