概要情報
事件名 |
九州運送 |
事件番号 |
中労委 平成13年(不再)第6号
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再審査申立人 |
九州運送株式会社 |
再審査被申立人 |
九州運送労働組合 |
命令年月日 |
平成15年 2月19日 |
命令区分 |
再審査棄却(初審命令をそのまま維持) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合からの会社施設利用の申入れを拒否し、その後組合による会社施設の利用を禁止したこと、ワッペン着用の組合員に対して乗務を拒否し、その後組合員の勤務時間中のワッペン着用を禁止したこと、取引先からの取引停止を理由に組合員の賃金を減額したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、大分地労委は、特段の事情がない限り、組合による会社施設の利用を許可するものとし、利用の目的、施設の範囲等については誠実に協議すること、ワッペン着用を理由に組合員の就労を拒否してはならないこと、乗務拒否された組合員らに対し、乗務していれば得られたであろう賃金相当額を支払うことを命じ、その余の申立ては棄却した。会社は、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、初審命令を維持し、再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
0202 会社施設の利用
会社は、組合による会社施設の利用に関する取扱いを変更することについて組合に対し事前に提案することなく、組合からの申入れを突如として拒否するとともに、組合には会社施設を利用させないことを一方的に決定し、組合に通告したもので、会社の対応は手続において相当性を欠いた行為といわざるを得ず、会社が、組合からの大分営業所における食堂の利用申入れを拒否し、更に組合による会社施設の利用を一切禁止することとした行為は、手続に妥当性を欠き、また、合理的な理由が認められず、組合の活動を不当に制約する行為といわざるを得ず、7条3号の不当労働行為に当たるとした初審判断は相当であるとされた例。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
会社における営業所が福岡営業所のみとなっても、組合が会社施設を利用する必要性が皆無となったわけではなく、組合は、会社施設全体の利用について救済を求めているものと考えられることから、救済利益は認められるとされた例。
0210 リボン・ワッペン等の着用
1302 就業上の差別
所長は、組合員X1に対し、突如としてワッペンの着用を理由に乗務を拒否し、X1が同所長の目前でワッペンを取り外したにもかかわらず、今後も着けないという約束が得られなかったことを理由に同人を乗務させることなく帰宅させ、また、ワッペンを着用して就労しようとした4名の運転手に対しても同様に乗務を拒否したもので、所長の一連の措置は手続に相当性を欠いた行為といわざるを得ず、所長がワッペン着用を理由に組合員の乗務を拒否した行為を、組合員に対する不利益取扱いであるとともに組合の活動を不当に妨害した行為であるとして、7条1号及び第3号の不当労働行為に当たるとした初審判断は相当であるとされた例。
4407 バックペイの支払い方法
宮崎営業所において乗務を拒否された組合員X1ほか4名は、乗務していたならば支払われていたであろう職能手当等を受領していないことが認められ、組合員のワッペン着用を理由に乗務を拒否した行為が不当労働行為と認められる以上、当該行為によって受領できなかった金員の支払いを命じることは相当であるとされた例。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集125集1056頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 2003年6月10日 1014号 12頁 
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