事件名 |
九州運送 |
事件番号 |
大分地労委 平成11年(不)第1号
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申立人 |
九州運送労働組合 |
被申立人 |
九州運送株式会社 |
命令年月日 |
平成13年 1月18日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含
む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)組合による会社施設の使用を禁止したこと、(2)
ワッペン着用の組合員に対して乗務拒否したこと、(3)取引先からの取引停止後、組合員の賃金を減額したことが、争われた事
件で、特段の事情がない限り、組合による会社施設の利用を許可するものとし、利用の目的、施設の範囲、利用方法については、
従前の実態を尊重し、誠実に協議すること、ワッペン着用を理由に組合員の就労を拒否しないこと、平成10年11月9日に乗務
拒否された組合員らに対するバックペイを命じ、その余の申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
主 文
1 被申立人は、業務上の支障など特段の事情がない限り、申立人による会社施
設の利用を許可するものとし、利用の目的、施設の範囲及びその利用の具体的
方法については、従前の実態を尊重し、申立人と誠実に協議しなければならな
い。
2 被申立人は、本件ワッペン着用を理由に申立人組合員の就労を拒否してはな
らない。
3 被申立人は、平成10年11月9日に乗務拒否された組合員らが、同日乗務
していれば得られたであろう賃金相当額を、同組合員らにそれぞれ支払わなけ
ればならない。
4 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
0202 会社施設の利用
4602 組合との協議を命じた例
労使が緊張状態にあった中で、施設利用についての特段の支障がないにもかかわらず、合理的理由を示すことなく、一方的に施設
利用を全面的に禁止したことは、組合活動への妨害行為であり、組合の弱体化を図ったものとみられ、労働組合法第7条第3号に
該当する不当労働行為であるとされた例。
0210 リボン・ワッペン等の着用
1302 就業上の差別
ワッペン着用が組合活動の一環としてなされ、業務の阻害性や勤務中の組合活動についてこれまで何ら労使間で議論されることな
く黙認されてきたにもかかわらず、会社がワッペンを着用して就労した組合員に対して、ワッペン着用を理由に、あるいは今後も
着けないとの確約が得られないことを理由に、一方的に乗務を拒否したのは、組合と何ら実質的な協議を経ることなくなされたも
ので手続き的に相当性を欠いていると言わねばならず、一方的な乗務拒否処分は組合員に対する不利益取扱であり、組合活動を妨
害したものと評価され、さらには、労使間に緊張関係がある中でのかかる行為は、組合の弱体化を図ったものとみられ、労働組合
法第7条1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
4408 バックペイが認められなかった例
4411 配転・転勤・出勤停止・下車勤等の場合
運送業務の停止は、荷主が、運行トラブルを理由に取引停止の措置を講じたため生じたものであり、第三者の行った取引停止措置
まで不当労働行為の結果が及ぶものとは認めがたく、11月10日以後の賃金減額が不当労働行為であるとする組合の主張は採用
できないとされた例。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
別冊 中央労働時報1251号3頁 |
評釈等情報 |
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