概要情報
事件名 |
東北美術 |
事件番号 |
中労委 平成11年(不再)第34号
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再審査申立人 |
X1他2名 |
再審査申立人 |
日本民間放送労働組合連合会東北放送労働組合 |
再審査申立人 |
日本民間放送労働組合連合会 |
再審査申立人 |
日本民間放送労働組合連合会東北地方連合会 |
再審査被申立人 |
有限会社東北美術 |
命令年月日 |
平成15年 1月 8日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
組合員X1ら3名に対し、(1)希望退職を募る等により退職勧奨したこと、(2)組合が東北美術問題プロジェクトを発足させたことに対する報復措置として、組合員X2を出勤停止処分とし、X1ら3名の平成7年ないし10年の年末一時金を6年年末一時金に比べ減額し、平成8年ないし10年のベース・アップを行わず定期昇給のみとし、平成8年ないし10年夏期一時金及び10年期末一時金を支給しないことが不当労働行為であるとして争われた事件であり、初審宮城地労委は、いずれの申立ても棄却し、これを不服とする組合ら及びX1ら3名は、本件再審査を申し立て、中労委は初審命令を変更し、(1)組合員3名の平成7年ないし10年の年末一時金、8年ないし10年のベース・アップ及び夏期一時金、10年期末一時金に関し、経理状況を把握することができる資料を掲示する等して、誠実に協議することを命じ、その余の救済申立てを棄却した。 |
命令主文 |
初審命令主文を次のとおり変更する。 1 再審査被申立人有限会社東北美術は、再審査申立人X1、X2及びX3の平成7年ないし 同10年の年末一時金、同8年ないし同10年のベース・アップ及び夏期一時金、同10年の期末 一時金に関し、貸借対照表、損益計算書等経理状況を具体的に把握することができる資料を 提示し、説明する等して、再審査申立人日本民間放送労働組合連合会東北放送労働組合と誠 実に協議しなければならない。 2 その余の救済申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
5200 除斥期間
5201 継続する行為
会社によるX1ら3名の組合員に対する種々の退職勧奨行為等については、組合員らを会社から排除しようとする同一の不当労働行為意思の下に行われたものであったとしても、それぞれの行為はそれ自体一個の行為であって、継続する行為とみることはできないから、除斥期間を経過した行為として救済の対象とはならないとされた例。
2620 反組合的言動
2901 組合無視
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社は、平成7年年末一時金以降の本件ベア、一時金に関する団体交渉に応じなかったり、資料の提出を拒み、形式的な交渉に終始するなど不誠実な態度を取り続け、組合の活動に不快感を露わにしたり、組合加入を非難する発言や組合の団体交渉権を否定する言動を行うなど、組合の活動を嫌悪していたものと認められ、これに派遣社員の導入、退職勧奨行為や東北美術問題プロジェクトに対する対応等を総合すると、会社の本件ベア、一時金にかかる対応は、分会員らを嫌悪する会社が同人らの経済的待遇を低下させ、退職させようとしたものと判断せざるを得ず、これらの行為は団体交渉を形骸化させ、ひいては組合の存在そのものを否定するに等しいものであり、労組法7条3号の不当労働行為に当たるとされた例。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合らは、本件ベア、一時金に関する行為が労組法7条1号の不当労働行為に当たると主張するが、本件ベア、一時金については、交渉が妥結していない状況にあり、会社回答が組合の求める救済の内容に沿った回答ではなかったとしても、この会社回答だけをもって組合員らに対する不利益取扱いということはできないとされた例。
3201 不当労働行為とされなかった例
組合らは、再審査において、会社が平成10年期末一時金を支給しないことが労組法7条4号の不当労働行為に当たると主張するが、この点に関する疎明がないとされた例。
4421 文書掲示等を命じた例
4602 組合との協議を命じた例
組合らは本件の救済としてベアの実施及び一時金の支給を求めるが、本件ベア及び一時金にかかる会社の態度が団体交渉を形骸化させ、ひいては組合の存在そのものを否定するに等しいことから不当労働行為に当たると判断できるとしても、従前の事情からみて、組合員らの一時金及びベアに関し、会社は、貸借対照表、損益計算書等経理状況を具体的に把握することができる資料を提示し説明する等して、組合と協議して決すべきであると思料するので主文のとおり命じることとされた例。
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業種・規模 |
放送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集125集986頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 2003年3月10日 1008号 13頁 
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