労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  箕面自動車教習所 
事件番号  大阪地労委 平成13年(不)第57号 
申立人  全日本港湾労働組合関西地方大阪支部 
被申立人  有限会社箕面自動車教習所 
命令年月日  平成15年 4月18日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)平成13年夏季一時金の支給日を一方的に変更し、非組合員に支給したこと、(2)同一時金に関する団体交渉において、会社の経営状況を示す具体的資料を提示する等の誠意ある対応をしなかったこと、(3)就業時間内の組合活動について、別組合と協定したこと等を理由として年間20時間を超える場合は無断欠勤扱いとする旨、組合に対して一方的に通告するとともに、分会員の給与から年間20時間を超えた部分について賃金カットしたことが不当労働行為であるとして争われた事件で、(1)平成13年夏季一時金に関する誠実団交応諾、(2)就業時間内の組合活動に関する取扱いの一方的変更の禁止、(3)就業時間内の組合活動が年間20時間を超えた部分についての賃金カットがなかったものとしての取扱い、(4)(1)から(3)に係る文書手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人との平成13年夏季一時金に関する団体交渉に、会社の経営状況を示す 具体的資料を提示するなどして、誠意をもって応じなければならない。
2 被申立人は、就業時間内組合活動に関する平成13年6月までの事実上の取扱いを、申立人 との間で誠意をもって協議することなく一方的に変更してはならない。
3 被申立人は、申立人組合分会員の平成14年3月分以降の給与に対して、就業時間内組合活 動が年間20時間を超えたことを理由として行った賃金カットをなかったものとして取り扱わ なければならない。
4 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
                     記
                                  年 月 日
   全日本港湾労働組合関西地方大阪支部
    支部執行委員長 X1 殿
                        有限会社箕面自動車教習所
                         代表取締役 Y1
  当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第2号及 び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。今後このような行為を繰り返さ ないようにいたします。
 (1)組合との統一集団交渉の前に、平成13年夏季一時金の支給額を一方的に決定し、同一時   金の支給日を同年7月10日から6月15日に一方的に変更して、同日非組合員及び管理職   に対し同一時金を支給したこと、及び同一時金に関する団体交渉において会社の経営状   況を示す具体的資料を提示するなどして、誠意ある対応をしなかったこと。
 (2)賃金保障を伴う就業時間内組合活動について、過去に会社に存在した労働組合の平均が   年間20時間であること、及び別組合と年間20時間で協定したことを理由として、組合に   対し同20時間を超える部分は無断欠勤扱いする旨一方的に通告するとともに、分会員の   平成14年3月分の給与から同20時間を超える部分を減額したこと。 
判定の要旨  2240 説明・説得の程度
2251 一方的決定・実施
2901 組合無視
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
会社が、平成11年10.16確認書を締結しながら、本件一時金の支給日を一方的に変更し、同日非組合員及び管理職に一時金を支給した上、その後に組合との団体交渉を行い、本件一時金の金額を提示したことについては、会社の理由に正当性を見出すことはできず、当初から既成事実を先行させることにより、その後の団体交渉において本件一時金の会社提示金額等を組合に押し付けたものであって、団体交渉に際して不誠実な対応であるとともに、団体交渉による合意形成を実質的に制約し、組合を無視ないし軽視したものといわざるを得ず、また、団体交渉において、会社が本件一時金の提示金額を裏付ける具体的な資料を提示するなどして十分な説明をしなかったことは、誠意をもって団体交渉応諾義務を尽くしたものとはいえず、7条2号及び3号の不当労働行為に当たるとされた例。

3020 組合活動への制約
本件時間内組合活動の取扱いについては、会社が組合との十分な協議を行わないまま、従前からの取扱いを別組合との合意に固執して年間20時間に一方的に変更したもので、分会結成以降、労働条件の変更をめぐって労使間で相当の対立が続いていたことを併せ考えると、この変更は、会社が別組合との合意を好機として、十分な協議を経ることなく一方的に時間内組合活動の取扱条件を厳しくすることにより、組合の活動を制約することを企図して行ったものと判断せざるを得ず、7条3号の不当労働行為に当たるとされた例。

4602 組合との協議を命じた例
組合は、年間24時間を超えない時間内組合活動を一方的に欠勤扱いすることの禁止を求めるが、時間内組合活動については、労働組合法7条3号の規定に則って、労使間の自主的な交渉により取り決められることであり、その協議に委ねるべきであると思料するので、会社は、就業時間内組合活動に関する平成13年6月までの事実上の取扱いを、組合との間で誠意をもって協議することなく一方的に変更してはならないことを命じた例。

4612 P.Nに替えて他の措置を命じた例
組合は、謝罪文の掲示を求めているが、文書手交で足りるとされた例。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集125集757頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成15年(不再)第25号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成16年 4月21日 決定 
 
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