概要情報
事件名 |
八戸ノ里ドライビングスクール(平成5年36協定等) |
事件番号 |
中労委 平成10年(不再)第4号
|
再審査申立人 |
全国一般労働組合大阪府本部大阪自動車教習所労働組合 |
再審査被申立人 |
株式会社八戸ノ里ドライビングスクール |
命令年月日 |
平成12年 1月19日 |
命令区分 |
再審査棄却(初審命令をそのまま維持) |
重要度 |
|
事件概要 |
会社が、(1)平成5年の36協定の交渉に際して、組合が同意できないことを承知で、同協定案に所定労働時間が増加した年間カレンダーに基づく運用を明記し、同協定を締結できない状況をつくり、同協定未締結を理由に組合の組合員に時間外労働をさせなかったこと、(2)同協定の交渉の最中に、組合の組合員の一部が提訴していた訴訟の取下げをせまったこと、(3)賃上げ回答と人事考課規定の導入をセットにした給与改訂案を提示し、同6年度及び同7年度給与改訂を実施しなかったこと、(4)同6年度及び同7年度の給与改訂に係る団体交渉に際し、人事考課規定の導入に固執したこと及び決定権限のない者を団体交渉に出席させたことが争われた事件で、大阪地労委は、申立てを棄却した。 組合は、これを不服として、中労委に再審査の申立てを行ったが、中労委は再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1302 就業上の差別
3103 労働協約締結をめぐる行為
会社が、5年36協定案において改訂年間カレンダーに基づく運用を明記したのは、4年36協定が締結され4年カレンダーに基づく勤務が始まった後に、分会員及び職組の一部組合員によって同カレンダーの無効を主張する訴訟が提起されるという事態が発生したため、協定締結後における時間外労働時間の算出を巡る紛争の再発を回避するためであると解されるので、5年36協定案の提示自体を不当とすることはできないとされた例。
1302 就業上の差別
3103 労働協約締結をめぐる行為
時間外労働が指示されなかったのは、労使の主張が対立し団交において合意が得られず、4年36協定が失効した後、会社に有効な36協定が存在しなくなったためであるが、労使合意が得られなかったことについては、会社にその責めを負わせることはできず、また、会社は全従業員に対して時間外労働の指示をしていないのであるから、組合員に対する差別的取扱いがあったとは認められないとされた例。
3103 労働協約締結をめぐる行為
会社が申し入れた確認書案には訴訟の取下げを約束させるかのような文言が記載されていることが認められるが、この文書は5年36協定締結の交渉において会社の考えを示したものであり、会社がこのような考えを示すこと自体不当とすることはできず、また、組合がこの申入れに応じなかったことに対する会社の報復的行為等があった事実も認められないから、会社が確認書案を提示したことは不当労働行為とはいえないとされた例。
1203 その他給与決定上の取扱い
会社が平成6年度給与改訂と同7年度からの人事考課規定の導入とをセットとする協定案を提案したことは、本件において人事考課規定が基本給等の改訂額の決定と密接な関係を持つものであり、また、その内容が他の従業員と比べて、組合員に特段の不利益を課すものとも認められないから、この提案自体を不当ということはできないとされた例。
2244 特定条件の固執
会社が組合からの人事考課規定導入の分離協議要求に応じなかったことは、本件では給与額の決定と人事考課とは密接な関連があることに加えて、組合が過去の給与改訂等においていったん協定を締結しておきながら後になって協定締結が真意でない旨通告している事実が一度ならずあったことからみて、一方的に会社に責任があるとすることはできないから、この点に関する会社の態度を不当とはいえないとされた例。
1203 その他給与決定上の取扱い
2244 特定条件の固執
会社が平成7年度給与改訂に際して再度セット協定を提案したことをもって不当であるとはいえないとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
会社が組合員でない者に対して人事考課を実施せずに平成7年度給与改訂を行ったことは、組合と妥結できなかったためにやむを得ず採った措置であると解するのが相当であって、組合員に対する差別的取扱いであるとは認められないとされた例。
2244 特定条件の固執
会社が平成6年度給与改訂に係る団体交渉において、人事考課規定導入については基本合意でもよいとする譲歩の姿勢を示していることや、人事考課規定の内容について団体交渉の中でより具体的に示してきたこと、及び平成7年度給与改訂に係る団体交渉において、人事考課規定の内容について譲歩する姿勢を示していることが認められ、会社の人事考課規定導入についての交渉態度が不誠実であったとはいえないとされた例。
2248 実質的権限のない交渉担当者
会社の本件団交要員は、平成2年頃から団交に出席し、交渉を行った上協定の締結に当たっていることが認められ、本件においてこれら団交要員の権限が従来と異なるとの事実も認められないから、会社が解決権限のない団交要員を出席させている旨の組合主張は採用できないとされた例。
|
業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集116集828頁 |
評釈等情報 |
 
|