概要情報
事件名 |
神戸相互タクシー |
事件番号 |
兵庫地労委 平成10年(不)第7号
|
申立人 |
神戸相互タクシー乗務員組合 |
被申立人 |
神戸相互タクシー株式会社 |
命令年月日 |
平成12年 3月 7日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
会社が、平成10年度の4回にわたる組合からの団体交渉申入れに応じなかったこと、組合執行委員長に対して、出庫時間を変更する命令及び告示を行ったこと、クラブ活動に対する助成金の申請手続きについて、組合以外の他労組の承諾印を必要とするよう変更したこと、出庫時間後1時間30分、夜勤車乗務員用の休憩所を閉鎖したことが争われた事件で、団交応諾及び団交拒否と助成金に関する会社の措置についてのポスト・ノーティスを命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は申立人が平成10年4月20日、同月30日、同年5月8日及び 同月15日の各日付けで被申立人に対して申し入れた団体交渉に速やかに応じ なければならない。 2 被申立人は、本命令書写し受領後7日以内に、申立人に対して下記文書を手 交しなければならない。 記 平成 年 月 日 神戸相互タクシー乗務員組合 執行委員長 X1 様 神戸相互タクシー株式会社 代表取締役 Y1 当社が、貴組合員貴組合の団体交渉申入れに対しこれに応じなかったこと及 びクラブ活動に対する助成金交付申請手続において貴組合を神戸相互タクシー 労働組合に比べて不利益に取り扱ったことは、兵庫県地方労働委員会において、 不当労働行為であると認定されました。 よって、今後かかる行為を繰り返さないようにいたします。 3 その余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
2114 組合の不存在
別組合とユニオンショップ協定を締結していることを理由に、組合からの4回にわたる団体交渉の申入れに応じなかったことは、正当な理由に基づくものとは認められず、また、乗務員の組合選択に影響を与える支配介入行為でもあることから、労働組合法第七条第二号及び第三号に該当する不当労働行為であるとされた例。
1302 就業上の差別
組合執行委員長X1に対する出庫時間の変更について、X1の水揚げ額が責任水揚げ額を下回り、改善されなかったこと、会社が中型車の出庫時間を変更したのは営業効率を向上させるためであったことがそれぞれ認められ、これらの事実からすれば営業成績が改善されないX1に出庫時間の変更を命じたのは不当とは言えず、変更により必ずしも長時間労働を強いられたとは言えないから不利益とは言えず、出庫時間の変更を告示の形で命じたことは過去にも例があり、その方法において不適切であるとまでは言えず、X1に対する出庫時間変更命令及びその告示については、これを不当労働行為であるとする主張は採用できないとされた例。
2620 反組合的言動
2801 団体運営に関する補助金支給
会社が、組合員が会長を勤める写真倶楽部に対する助成金の交付を拒否し、その後、助成金申請の手続きを別組合の承諾印が必要としたことは、組合と別組合とを差別的に取り扱い、乗務員に対し、組合に加入することにより、不利益を受けることを印象付けるものであって、組合の弱体化を目的として行った支配介入行為であり、労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為であるとされた例。
3020 組合活動への制約
会社が休憩所を閉鎖した措置は、やや唐突なものであった感は否めないが、会社は一貫して出庫直後の休憩を禁止していたことが認められ、出庫直後の休憩の禁止を徹底するために取った措置であること、休憩所の閉鎖により出庫直後の休憩がとれなくなるのは4時台出庫の夜勤乗務員全員であること、かつ休憩所の閉鎖によって組合運営上いかなる不都合が生ずるかの具体的な疎明がないので、組合に対する支配介入であるとする主張は採用できないとされた例。
|
業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集116集462頁 |
評釈等情報 |
 
|