概要情報
事件名 |
エスエムケイ |
事件番号 |
神奈川地労委 平成10年(不)第16号
神奈川地労委 平成 9年(不)第21号
神奈川地労委 平成 8年(不)第18号
神奈川地労委 平成 7年(不)第19号
|
申立人 |
全労連・全国一般労働組合神奈川地方本部 |
被申立人 |
エスエムケイ株式会社 |
命令年月日 |
平成12年 2月25日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
会社が、(1)平成元年11月から2年2月にかけて分会と交わした覚書等の4文書に反して、(ア)申立人組合の分会員2名を平成7年度以降昇格させなかったこと、(イ)分会員の平成7年度以降の昇給及び同年冬季以降の賞与の査定を低く評価したこと、(ウ)分会員2名を関連会社に出向させ、出向を拒否した1名を譴責及び減給の懲戒処分に付したこと、(エ)分会員1名を事業所内で配転したこと、(オ)バスの定期代の支給を打ち切ったこと、(2)団交の開催時期、出席者、回答時期を別組合と差別したこと、(3)平成7年度夏季賞与において分会員のストライキによる欠勤控除を行って、別組合員と差別したことが不当労働行為であるとして申立てのあった事件であり、分会員2名を昇格させなかったこと、分会員の昇給・賞与の査定を低くしたこと、分会員2名に出向を命じ、その拒否を理由に懲戒処分に付したことは不当労働行為であるとして、それぞれの是正と文書掲示を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、申立人組合員X1及び同X2の昇格について、平成7年度以降、 同期、同学歴の従業員の平均的処遇と同等であったものとして取り扱わなければ ならない。 2 被申立人は、平成7年冬季賞与以降の各賞与又は平成7年度以降の昇給に係 る考課査定をC考課とした申立人組合員の当該考課について、同期、同学歴の 従業員の平均的考課と同等であったものとして取り扱わなければならない。 3 被申立人は、第一項又は第二項に記載する申立人組合員に対し、各項による 是正後の賞与又は賃金の額と現に支払った額との差額に相当する額に、年率5 分相当額を加算した額の金員を支払わなければならない。 4 被申立人は、申立人組合員X3に対する出向辞令並びに同X1に対する出向辞令 及び懲戒通知について、それぞれなかったものとして取り扱わなければならない。 5 被申立人は、本命令受領後、速やかに下記の文書を縦1メートル、横1.5 メートルの白紙にかい書で明瞭に大きく記載し、被申立人の本社及び大和事業 所の従業員出入り口付近の見やすい場所に、毀損することなく10日間掲示し なければならない。 記 当社が、貴組合員X1及びX2について、平成7年度以降、昇格させなかった こと、貴組合員に対して平成7年冬季賞与以降の各賞与又は平成7年度以降の昇 給に係る考課を低く査定したこと、貴組合員のX3に対して出向辞令を発し、X 1に対して出向辞令及び懲戒通知を発したことは、神奈川県地方労働委員会にお いて、労働組合法第七条第一号及び第三号に該当する不当労働行為であると認 定されました。 今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 平成 年 月 日 全労連・全国一般労働組合神奈川地方本部 執行委員長 X4 殿 エスエムケイ株式会社 代表取締役 Y1 6 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1200 降格・不昇格
分会員X1及びX2を6級職昇格時期である平成7年度以降試験を不合格として昇格させなかったことは、平成元年11月から2年2月にかけて分会と交わした覚書等の4文書の合意に反して格差を是正しなかったものであり、これは同人らに対する不利益取扱いであるとともに組合に対する支配介入の不当労働行為にあたるとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
1202 考課査定による差別
分会員10名に対する平成7年冬季賞与以降の各賞与及び同年度以降の昇給に係る考課査定は、平成元年11月から2年2月にかけて分会と交わした覚書等の4文書の合意によると、同期同学歴に平均的な処遇に到達するまで是正する合意がなされていたにもかかわらず、これに反して考課査定を低くしたことは、分会員に対する不利益取扱いであるとともに組合に対する支配介入の不当労働行為に当たるとされた例。
1301 出向
1603 組合活動上の不利益
分会の会計担当のX3及び書記次長のX1は関連会社に出向を命じられたことにより組合活動が全くできなくなるわけではないが、日常の組合活動ができなくなるという不利益があるとされた例。
1301 出向
関連会社に出向を命じた分会の会計担当のX3及び書記次長のX1は、出向には合理的な理由がないことと、同人らの組合活動上の不利益があることからすると不利益取扱いであるとともに支配介入の不当労働行為に当たるとされた例。
1400 制裁処分
不当労働行為と判断される関連会社への出向を拒否した分会の書記次長X1に対し、譴責処分及び減給処分に付したことは不利益取扱いであるとともに支配介入の不当労働行為に当たるとされた例。
1300 転勤・配転
生産グループ所属の分会員X5を壁を隔てて4,5メートル離れた技術管理課に配転したことは、就業時間が変化したとはいえ同一事業所内の配転であって、不利益性もなく、不当労働行為とはいえないとされた例。
1601 福利厚生上の差別
バス定期代は実費弁償として支給されるものであるところ、分会員にバス利用者はいないと認められるから、支給打切りに不利益性はなく、不当労働行為に当たらないとされた例。
2120 交渉委任
2245 引き延ばし
2248 実質的権限のない交渉担当者
2249 その他使用者の態度
申立人は、会社が(1)別組合とは労使協議会を開催しながら、申立人分会と団交を開催しなかったこと、(2)別組合との労使協議会には常務取締役を出席させながら、申立人分会との団交には交渉権限を委任しているとして事業所長らを出席させたこと、(3)一時金の有額回答を別組合と同時に行わなかったことは組合間差別であると主張するが、(1)分会が団交出席者にこだわったことから労使協議会開催中に団交が開催されなかったのであり、(2)常務取締役が出席しなくとも全権委任を受けた事業所長が団交に出席すれば足り、(3)分会員が帰宅後に回答したまでであることなど、会社の団交における対応は不当労働行為に当たらないとされた例。
1204 スト・カット
別組合の実施した8時間のストに対して、賞与の勤怠係数軽減措置を適用しながら、申立人分会の行った4時間のストに同措置を適用せず、減額したことは配慮に欠けていたといわなければならないが、分会員のストが時間未満で軽減措置の対象外であったからで、分会員に対する差別取扱いとはいえないとされた例。
4413 給与上の不利益の場合
分会員に対する昇格差別の是正としては、平成7年度から同期同学歴の平均的処遇と同等の取扱いを命ずることが相当とされた例。
4413 給与上の不利益の場合
分会員に対する賞与、昇給の考課査定による差別の是正としては、平成7年度から同期同学歴の平均的考課と同等の取扱いを命ずることが相当とされた例。
4412 出向の場合
分会員X3に対する出向辞令並びに分会員X1に対する出向辞令及び懲戒処分に関する救済としては、それぞれなかったものとして取り扱うことを命ずるのが相当とされた例。
4617 その他
申立人分会員に対する昇格差別等の不当労働行為に対する救済としては、分会員の組合活動の自由を具体的に保障するとともに、本件不当労働行為を他の従業員にも周知せしめることが相当であるとして文書掲示を命じた例。
|
業種・規模 |
精密機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集116集275頁 |
評釈等情報 |
 
|