労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  エスエムケイ 
事件番号  中労委 平成12年(不再)第11号 
再審査申立人  全労連・全国一般労働組合神奈川地方本部 
再審査被申立人  SMK株式会社 
命令年月日  平成14年12月 4日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)組合員2名を昇格させなかったこと、(2)組合員の賞与及び昇給に係る考課を低く査定したこと、(3)組合員2名に対し関連会社への出向を命じ、組合員1名がこれに応じなかったことを理由に懲戒処分を行ったこと、(4)組合員1名に対し配置転換を命じたこと、(5)団体交渉の出席者、開催時期等について別組合と差別的取扱いをしたこと等が争われた事件で、神奈川地労委は、会社に対し、(1)組合員2名の昇格について、同期、同学歴の従業員の平均的処遇と同等であったものとして取り扱うこと、(2)賞与及び昇給に係る交差査定をC考課とした組合員の当該考課について、同期、同学歴の従業員の平均的処遇と同等であったものとして取り扱うこと、(3)上記(1)及び(2)に係るバック・ペイ(年5分加算)、(4)組合員2名に対する出向辞令及び組合員1名に対する懲戒通知がなかったものとして取り扱うこと、(5)文書掲示を命じ、その余の申立てを棄却した。組合及び会社はこれを不服として再審査を申し立てたが、中労委は初審命令の一部を変更し、その余の本件各審査申立てを棄却した。 
命令主文  1 初審命令主文第1項中「平成7年度以降、同期、同学歴の従業員の平均的処
 遇と同等であったものとして」を「平成7年度に6級に昇格したものとして」
 に改める。
2 初審命令主文第2項中「平成7年冬季賞与以降の各賞与又は平成7年度以降」
 を「平成7年冬季賞与以降同10年夏季賞与までの各賞与及び同8年以降同1
 0年まで」に改める。
3 初審命令主文第4項を取り消し、第5項を第4項とし、第6項を第5項とす
 る。
4 上記3で改めた初審命令主文第4項の記以下を次のとおり変更する。
   当社が貴組合員のX1及びX2について、平成7年度に昇格させなかったこと、
  貴組合員に対して平成7年冬季賞与以降同10年夏季賞与までの各賞与及び
  同8年以降同10年までの昇給に係る考課を低く査定したこと、貴組合員の
  X4及びX1に対して出向辞令を発し、X1に対して懲戒処分を行ったことは、中
  央労働委員会において労働組合法第七条第一号及び第三号に該当する不当労
  働行為であると認定されましたので、今後このような行為を繰り返さないよ
  ういたします。
   平成 年 月 日
  全労連・全国一般労働組合神奈川地方本部

   執行委員長  X3  殿
                        SMK株式会社
                         代表取締役  Y1
5 その余の本件各再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  1200 降格・不昇格
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社は4文書の趣旨に沿って平成6年度までは5級職在級15年を経過した分会員らを試験の結果を問わず自動的に昇格させていたものとみるのが相当であり、組合員X1及びX2を同7年度に6級職に昇格させなかったことは、分会がこの時期にビラ配布を行ったり、他労組員も含む従業員にアンケート調査を実施したり、ストライキを行ったりして活発な組合活動を行ったことを嫌悪し、不利益に取り扱うとともに分会の弱体化を企図して行ったものであると認められ、これを不当労働行為であるとした初審判断が維持された例。

1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社は、平成5年までは分会員らの昇給及び賞与の考課査定における格差を是正すべく、考課分布を4文書の内容どおりに運用していたが、同6年度以降は4文書どおりの運用をせず、一方的に考課分布を変更し、分会員の昇給及び賞与の考課を低く査定したことは、その前後の労使事情を併せ考えれば、分会が活発な組合活動を行ったことを嫌悪して不利益に取り扱うとともに、これによって分会の弱体化を企図して行ったものであると認められ、これを不当労働行為であるとした初審判断が維持された例。

1301 出向
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社は分会の納得が得られるように出向の必要性について具体的な理由を挙げて真摯な態度で協議を尽くす必要があるにもかかわらず、分会との協議を尽くすことなく再三にわたり出向を命じていることには合理性があるとは言い難く、その前後の労使事情を併せ考えれば、組合員X4及びX1に対する出向辞令並びにX1に対する懲戒処分は、分会が活発な組合活動を行ったことを嫌悪し、両名を分会員であるが故に不利益に取り扱うとともに、これによって分会の弱体化を企図して行ったものであると認められ、これを不当労働行為であるとした初審判断が維持された例。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員X2の配転先は同人がそれまで所属していた部門とは壁を隔てて4、5メートルほど離れているに過ぎず、配転先が本社に所属していることをもって、将来的に当該事業所での雇用の保障はされない場合が予想され、会社が分会を弱体化させることを企図してX2に対し配転発令をしたとは認められず、これを不当労働行為には当たらないとして申立てを棄却した初審判断が維持された例。

2120 交渉委任
2246 併存団体との関係
会社は分会に対し、団体交渉には交渉員としてY2所長とY3顧問が委任されている旨を明らかにしており、Y4常務が出席しなかったとしても交渉員差別があったとは認められず、分会との交渉開始が遅れたことが会社にのみその責任があるとまでみることもできず、分会に対する第二次有額回答が1日遅れたとの点についても会社が分会に対し意図的に1日ずらして回答を行ったとは認められず、これを不当労働行為には当たらないとして申立てを棄却した初審判断が維持された例。

4415 賃金是正を命じた例
会社が考課分布を一方的に変更し、昇給及び賞与の考課を低く査定したことを不当労働行為と判断したことの救済方法として、C考課とした分会員の当該考課について、同期、同学歴の従業員の平均的考課と同等であったものとして取り扱うよう命じることも裁量の範囲内にあるとされた例。

4412 出向の場合
4421 文書掲示等を命じた例
会社は本件再審査申立て後に組合員X4及びX1に対し同人らの出向命令の取消しを通知しており、X1が懲戒処分の無効確認を求めた訴訟において同人の請求を全部認容する判決が確定していることから、X4及びX1に対する出向辞令並びにX1に対する懲戒処分がなかったものとしての取扱いを命じる必要性は既に失われており、当該部分の初審命令を取り消すのが相当であるが、これらは不当労働行為であるので文書掲示を命ずるのが相当であるとされた例。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集124集779頁 
評釈等情報  中央労働時報 2003年3月10日 1008号 12頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
神奈川地労委 平成 7年(不)第19号/他 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  平成12年 2月25日 決定 
 
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