概要情報
事件名 |
日本石油化学(平成6年度昇給昇格) |
事件番号 |
中労委 平成11年(不再)第12号
|
再審査申立人 |
新日本石油化学株式会社 |
再審査被申立人 |
X1 外3名 |
命令年月日 |
平成14年 8月 7日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
|
事件概要 |
会社が、申立外全国石油産業労働組合連合会日本石油労働組合の組合員(反執行部)4名の組合活動を嫌悪し、他の組合員と比べ、昇給、賞与金及び昇進において不利益に取り扱ったことが、不当労働行為であるとして、昭和59年度ないし平成6年度の昇給、賞与金及び昇進差別の是正等を求めて、争われた事件で、神奈川地労委は、会社が、組合員4名に対して行った平成6年度の昇給、前期賞与金及び昇進に係る行為は不当労働行為であるとして、(1)平成6年度の基本給の是正及び当該是正額と既支給額との差額の支払、(2)同年度以降班長又は班長相当職にあるものとしての処遇、(3)前二項の措置に伴い、同年度の前期賞与金、付加給、役付手当及びその他の給与の是正並びに当該是正額と既支給額との差額の支払等を命じ、その余の申立てを棄却した。 会社はこれを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、初審命令の一部を変更し、その余の再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
I 本件初審命令主文を次のとおり変更する。 1 同主文第二項中「同X2について平成6年5月21日以降、それぞれ班長 又は班長相当職の職」を「同X2の平成6年度の昇進について、それぞれ班長 相当職」に改める。 2 同主文第三項中「前期賞与金及び付加給、役付手当その他給与」を「付加 給、勤務地手当及び前期賞与金並びに役付手当」に改める。 3 同主文第六項中「賃金及び昇進」を「平成6年度の基本給、付加給、勤務 地手当及び前期賞与金並びに同年度の昇進及び役付手当」に、「神奈川県地 方労働委員会」を「中央労働委員会」に改める。 4 同主文第7項の末尾に次の段落を加える。 ただし、昭和59年度ないし平成5年度の基本給、付加給、勤務地手当 及び賞与金並びに昇進及び役付手当に関する不利益取扱いに係る救済申立 てについては、これを却下する。 II その余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
5201 継続する行為
会社が、各年度の昇給又は昇格に関する人事考課において、再審査被申立人に対し正当な組合活動を理由として他の組合員より低く査定した場合、その差別的取扱いの意図は、当該年度の賃金支払又は格付けにより具体的に実現されるものであり、各年度における会社の賃金又は昇格決定行為とこれに基づく賃金支払又は格付けは一体として一個の不当労働行為を構成するというべきであるから、賃金支払又は格付けが行われている限り、不当労働行為は継続することとなり、最後の賃金支払時又は次期昇格決定行為に基づく格付けの初日の前日から1年以内になされた救済申立ては、労働組合法第二七条第二項の定める期間内になされた適法なものであると判断されるところ、本件について、平成6年度の昇給及び昇進差別に係る救済申立ては、労働組合法第二七条第二項の定める期間内になされた適法なものであるが、昭和59年度ないし平成5年度の昇給及び昇進差別に係る救済申立ては、同項の定める期間内になされておらず、却下するのが相当であると判断された例。
5201 継続する行為
特別賞与金の査定は昇給査定と基本的に連動していることから、仮に会社が、平成6年度の昇給査定において不利益な決定をした場合、同年度の賞与金支給に差別的取扱いが顕在化することとなるから、平成6年度賞与金差別に係る救済申立ては、審査の対象とするのが相当であるが、昭和59年度ないし平成5年度賞与金差別に係る救済申立ては、労働組合法第二七条第二項の定める期間内になされておらず、却下するのが相当であると判断された例。
0120 政治(党)活動
申立人らが作成する職場新聞「はんどる」等の記事内容は、春闘、一時金に関するものや会社の合理化等の施策に反対の立場を表明するものなど、労働条件の向上及び労働組合運営上の問題を中心とするものであることから、同紙等の発行・配布はその記事内容の一部に政治活動につながるところがあったとしても組合活動と判断するのが相当であるとされた例。
|
業種・規模 |
石油製品・石炭製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集123集771頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 2002年12月10日 1005号 19頁 
|