概要情報
事件名 |
サン物流 |
事件番号 |
兵庫地労委 平成12年(不)第9号
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申立人 |
関西合同労働組合兵庫支部 |
申立人 |
関西合同労働組合 |
被申立人 |
個人 Y1 |
被申立人 |
株式会社 ナベシマ物流 |
被申立人 |
有限会社 サン物流 |
命令年月日 |
平成14年 3月 5日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は有限会社サン物流が、①申立外株式会社ナベシマ物流から営業の一部を譲り受けるに際し組合員1名の雇用を承継せず、就労させなかったこと、②団体交渉を拒否したこと等が、それそれ不労働行為であるとして争われた事件である。 初審兵庫県労委は、1 組合員1名の雇用の承継及びバックペイ(平成11年9月13日から現実に就労させるまでの間の賃金の支払い)、2 就労及び労働条件についての団体交渉応諾を命じ、その他の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人有限会社サン物流は、申立人関西合同労働組合及び同関西合同労働 組合兵庫支部の組合員であるX1を、同社の海上コンテナ陸上運送の運転手とし て、速やかに就労させなければならない。 2 被申立人株式会社ナベシマ物流及び同Y1は、X1に対し、平成11年9月 1日から同月12日までの歩合給の減額分として、当該期間中にX1を除く他 の被申立人株式会社ナベシマ物流の海上コンテナ陸上運送の運転手に支払われ た歩合給の平均額とX1に支払われた歩合給との差額を算定し、その額を連帯 して支払わなければならない。 3 被申立人有限会社サン物流は、X1に対し、平成11年9月13日からX1 を同社の運転手として現実に就労させるまでの間の賃金として、同社が被申立 人株式会社ナベシマ物流から雇用を承継した海上コンテナ陸上運送の運転手に 支払われた賃金の平均額相当額(ただし、X1が当該期間中において、被申立 人株式会社ナベシマ物流から受領した金額を差し引くものとする。)を支払わ なければならない。 4 被申立人有限会社サン物流は、申立人関西合同労働組合及び同関西合同労働 組合兵庫支部から申入れのあったX1の同社での就労及び同社における労働条 件を議題とする団体交渉に誠実に応じなければならない。 5 被申立人Y1は、申立人関西合同労働組合及び同関西合同労働組合兵庫支部 の組合員らに暴行するなどの行為でもって、申立人らの自主的な運営に支配介 入してはならない。 6 被申立人Y1は、本命令書写し交付の日から7日以内に、申立人関西合同労 働組合及び同関西合同労働組合兵庫支部に対して、それぞれ下記文書を手交しな ければならない。 記 平成 年 月 日 関西合同労働組合 代表者 執行委員長代行 X2 様 関西合同労働組合兵庫支部 代表者 執行委員長 X2 様 Y1 私が、平成12年6月14日、貴組合の組合員X1氏の左腰をデッキブラシで 殴打したこと、同月28日、包丁を構えて、貴組合員らに対し向かっていった ことは、労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為であると兵庫県地方 労働委員会によって認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないようにします。 7 申立人関西合同労働組合及び同関西合同労働組合兵庫支部の、被申立人Y1 に対する、X1の被申立人有限会社サン物流での就労と同社における同人の労 働条件を議題とする団体交渉に係る申立ては、これを却下する。 8 その余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
4916 企業に影響力を持つ者
(1)被申立人Y1は、N社の代表取締役を辞任した後も、同社の従業員の労働条件について、一貫して現実的かつ具体的な支配力を有し、これを行使してきたことは明らかであるから、N社における労使関係について、使用者としての当事者適格を有するとされた例。
4916 企業に影響力を持つ者
(2)被申立人Y1は、S社の従業員の労働条件について、現実的かつ具体的な支配力を有していると認めるに足る疎明がないことから、S社における労使関係について、使用者としての当事者適格を有しないとされた例。
1302 就業上の差別
1603 組合活動上の不利益
1900 営業譲渡・合併
(3)N社からS社への営業譲渡は、偽装であるとまではいえないまでも、X1の労働組合活動を嫌悪し、営業譲渡を機に、X1をS社の他の従業員から切り離し孤立させる被申立人らの意図がその背景にあったものとみるのが相当であり、S社がN社から営業譲渡を受けるに際しX1を就労させなかったことは、労働組合法第七条第一号に該当する不当労働行為に当たるとされた例。
2301 人事事項
(4)S社がX1を就労させなかったことは、労働組合法第七条第一号に該当することから、S社は、X1の同社における労働条件等について、団体交渉の申入れがなされたときは、正当な事由がない限り、これに応じる義務があり、団体交渉に応じないことは、労働組合法第七条第二号に該当する不当労働行為に当たるとされた例。
2700 威嚇・暴力行為
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
(5)被申立人Y1がX1に対して加えた暴力行為は、申立人らが、Y1及びS社に対して、X1のS社での就労等に関し、抗議及び団体交渉申し入れを行った際に発生したものと認められることからすれば、Y1は、申立人らからX1をS社に就労させるための団体交渉申入れ等に対して、X1をN社及びS社から排除するという目的の下に暴力行為に及んだものであり、労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為に当たるとされた例。
3422 その他の者の言動
(6)暴力行為に及んだのはY1のみであること、S社がY1に暴力行為を命じたり、又は依頼した事実は認められないこと、さらに、Y1がS社における労使関係において使用者としての当事者適格を有するとは認められないことからすれば、S社に不当労働行為責任はないとして申立てが棄却された例。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集122集392頁 |
評釈等情報 |
 
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