労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  レオン自動機 
事件番号  中労委 平成 7年(不再)第29号 
再審査申立人  レオン自動機株式会社(29号) 
再審査申立人  全日本金属情報機器労働組合ほか2名(30号) 
再審査被申立人  レオン自動機株式会社(30号) 
再審査被申立人  全日本金属情報機器労働組合ほか2名(29号) 
命令年月日  平成13年 9月19日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)組合員15名の定期昇給における成績査定を、昭和62年度以降、低く査定したこと、(2)和解条項に反して会社施設の利用を許可しなかったこと、(3)過去に会社役員とともに行った脱退工作を暴露した組合員X1を、業務命令違反があったとして譴責処分に付したこと、(4)組合事務所使用料を徴しながら、組合員以外が参加する「社員会」事務所の使用料は徴していないこと、がそれぞれ不当労働行為であるとして申し立てられた事件で、栃木地労委は、(1)上記(1)の申立てに関し、全従業員平均昇給率を基に計算した15名の平成元年度、同2年度並びに同4年度、同5年度の基本給と既支給額との差額を支払うこと、(2)上記(2)の申立てに関し、会社施設使用許可申請がなされた場合、業務上格別の支障がない限りこれを許可すべきこと、(3)上記(3)の申立てに関し、譴責処分を撤回すること及び(4)これらに係る文書手交を命じ、(5)上記(1)の申立てのうち昭和62年度、同63年度及び平成3年度分の既支払額との差額支払については、労働組合法第27条第2項に定める期間を徒過しているとしてこれを却下し、(6)上記(4)の申立てを棄却する一部救済命令を発したところ、会社と組合はこれを不服としてそれぞれ再審査を申し立てたが、これらの申立てに対して、中労委は、初審命令の一部を変更した。 
命令主文  主 文
1 初審命令主文第1項、第2項及び第6項を併せ、「レオン自動機株式会社は
 、全日本金属情報機器労働組合栃木地方本部レオン自動機支部の組合員である
 X2ら別紙16記載の14名の平成元年度から平成5年度までの基本給を、別紙
 16として取り扱い、すでに支払われた賃金との差額を支払わなければならな
 い。」に変更する。
2 初審命令書主文第5項中、「栃木県地方労働委員会」を「中央労働委員会」
 に改める。
3 その余の本件各再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
5200 除斥期間
5201 継続する行為
不当労働行為によってなされた昇給査定に基づく賃金が支払われている間、不当労働行為が継続することになるから、是正を求める救済の申立てが同査定に基づく賃金の最後の支払の時から1年以内になされたときは、当該救済申立ては、労組法27条2項の定める期間内になされたものとして適法であるから、平成3年4月18日に申し立てられた本件請求のうち、昭和62年度及び同63年度については期間を徒過した申立てであり、平成元年度以降の賃金差別に係る救済申立ては適法であると判断された例。

1202 考課査定による差別
4418 継続する行為を認めた例
5200 除斥期間
5201 継続する行為
不当労働行為によってなされた昇給査定に基づく賃金が支払われている間、不当労働行為が継続することになるから、是正を求める救済の申立てが同査定に基づく賃金の最後の支払の時から1年以内になされたときは、当該救済申立ては、労働組合法第27条第2項の定める期間内になされたものとして適法であるから、平成4年9月28日にあった同3年度の賃金差別についての追加申立てを却下した初審命令は取消しを免れないと判断された例。

1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
4415 賃金是正を命じた例
昭和62年度から始まったと思われる組合員に対する低査定の状況に加え、会社幹部等の組合員に対する発言を併せ考えると、会社は、組合を嫌悪し、支配介入の意思をもって組合員の昇給にかかる成績査定を非組合員と比較して低くしたものと言わざるを得ず、賃金差別を行ったものと判断された例。

1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
4415 賃金是正を命じた例
会社が低査定の理由として主張する休憩時間の不遵守、腕章着用行為などについては、実際の成績査定結果と対応していないことから、会社の主張はにわかには首肯しがたいものがあると判断された例。

1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3606 労働者のみの責任とすることが不当な場合
4415 賃金是正を命じた例
組合員の勤務状況には、確かに問題とされるものがないわけではないが、会社が当時は、労使関係の悪化からそれらの状況にあえて注意を行わなかったことにも問題の一端があると言わざるを得ず、荒廃した労使関係から生ずる組合員の勤務態度悪化について、組合員だけに一方的に責任を負わせるわけにはいかないと判断された例。

1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
4415 賃金是正を命じた例
4418 継続する行為を認めた例
5200 除斥期間
5201 継続する行為
昭和62年度から平成5年度までの組合員の成績査定等による昇給に関し、公正な昇給査定行為がなされていたなら各年度において従業員平均昇給率を下回ることはないとして、新年度の基本給額を前年度の基本給に全従業員平均昇給率を乗じて求め、うち同元年度から同5年度までの期間についてのみ、既に支払われた賃金との差額支払を命じた例。

1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3604 労働者に落度がある場合
会社が組合員X3を低査定したことについては、査定でとりたてて評価すべきほどのものがなく、私病による遅刻、早退等が多かったからであり、不当労働行為意思によるものとは認められないと判断された例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
2900 非組合員の優遇
3603 労働者に落度がない場合
3701 他組合等との関係
4603 その他
会社の、会社施設使用申請を許可しなかったのは組合が所定の手続きを履践しなかったからであるとの主張は合理性に欠けるものであり、会社は、施設使用許可に関しては組合を部外者としてとらえる一方、社員会については部外者が立ち入ることが明白にも拘わらず施設の使用を許可していたことからすれば、会社は、むしろ組合を嫌悪し、社員会と差をつけることにより、組合の弱体化を企図して、組合の会社施設使用を拒否し続けたものと解され、不当労働行為に当たると判断された例。

2900 非組合員の優遇
3701 他組合等との関係
会社は、組合から組合事務所貸借の契約書に基づき諸経費実費として月額1万円を徴しているが、この諸経費実費の支払契約が名目的なものとみることはできず、本件契約が労使関係上対等の立場で両者が合意したものであると考えられることからすれば、社員会に事務所を無償で貸与していることは支配介入に当たらないと判断された例。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
3603 労働者に落度がない場合
3607 労働者の行為と不利益取扱の程度との関連
4414 その他の不利益の場合
会社が、組合の朝ビラによって会社の組合脱退工作が暴露された直後、処分に価する程の職務上の命令違反がないX1を譴責処分としたことは、X1が組合に再加入したこと、X1が組合脱退工作等を暴露したことに対する報復であり、不当労働行為に当たると判断された例。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
5123 審査中の組合脱退・退職等の取扱い
組合に対する団結権侵害の事実は、処分された組合員が退職したからといって消滅するものではないとして、不当労働行為の成立を認め、救済命令を発した例。

4421 文書掲示等を命じた例
4612 P.Nに替えて他の措置を命じた例
組合は謝罪文の掲示を求めているが、文書手交により救済されるものと考えられると判断された例。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集121集664頁 
評釈等情報  中央労働時報 2002年1月 991号 15頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
栃木地労委 平成 3年(不)第1号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  平成 7年 6月23日 判決 
 
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