概要情報
事件名 |
神友産業 |
事件番号 |
大阪地労委 平成11年(不)第23号
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申立人 |
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 |
被申立人 |
神友産業株式会社 |
命令年月日 |
平成13年11月 6日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、①組合員が集団交渉に参加したことを理由に当日の賃金及び手当をカットしたこと、②組合との36協定未締結及び定時退社を理由に、組合員の残業手当をカットしたこと、③会社が集団交渉に参加しなかったことが争われた事件で、①3月度給与の支給に際し、減額した基本給及び保証手当相当額の支払い(年5分加算)、②5月度7月度給与の支給に際し、減額した保証手当相当額(ストライキ実施による減額相当分を除く)の支払い(年5分加算)③文書手交を命じ、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員X1に対し、平成10年3月度給与の支給に際し減 額した同年3月10日及び18日の基本給及び保証手当相当額並びにこれに支 払時期以降年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。 2 被申立人は、申立人組合員X1に対し、平成10年5月度、6月度及び7月度 給与の支給に際し減額した同年5月11日から6月29日までの保証手当相当 額(同年5月13日のストライキ実施による減額相当分を除く)及びこれらに 各支払時期以降年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。 3 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない 。 記 年 月 日 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 執行委員長 X2 殿 神友産業株式会社 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第 七条第一号及び第三号に該当する不当労働行為であると認められました。今後 このような行為を繰り返さないようにいたします。 記 (1)貴組合員X1氏に対し、平成10年3月度給与の支給に際し、同年3月 10日及び18日の基本給及び保証手当相当額を減額したこと。 (2)貴組合員X1氏に対し、平成10年5月度、6月度及び7月度給与の支 給に際し、同年5月11日から6月29日までの保証手当相当額を減額 したこと。 4 申立人のその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1204 スト・カット
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員が組合の用務により2日間就労しなかったことを理由に、会社が個人の給与から2日分に基本給及び保証手当をカットしたことは、集団交渉に参加した組合員に経済的不利益を与え、もって組合の弱体化を企図したものであり、労組法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
1204 スト・カット
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が36協定の未締結又は締結拒否の意思表示を理由に組合員の保証手当てをカットしたことは、会社が所定労働時間の延長に反対する組合を嫌悪して、36協定の締結拒否等を口実に組合員に経済的不利益を与えるとともに、別組合と差別的取扱をし組合の弱体化を図った行為であり、労組法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
1204 スト・カット
定時退社による保証手当カットについては、組合は具体的な主張、立証を行っておらず、また、会社はこの措置についてはすべての従業員に対して同じ取扱いがされていることから、組合員のみに対する不利益取扱いであるとは認められず、不当労働行為には当たらないとされた例。
2221 集団・統一交渉
会社は、本件団体交渉要求に係る集団交渉に関し、経営者会に個別交渉を申し出てたこと、また、団交の形式については、集団交渉を行う慣行があったなどの特段の事情がない限り、個別での団交に応じれば足りると解すべきであり、会社が集団交渉に参加しなかったことは不当労働行為には当たらないとされた例。
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業種・規模 |
窯業・土石製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集121集256頁 |
評釈等情報 |
 
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