概要情報
事件名 |
光輪モータース |
事件番号 |
東京地労委 平成10年(不)第2号
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申立人 |
全統一労働組合 |
被申立人 |
株式会社光輪モータース |
命令年月日 |
平成13年 9月18日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)平成8年11月以降、組合員X1のフロア長手当を減額した後、さらに平成9年1月に前年の10月に遡及してフロア長を解任し、フロア長手当を不支給としたこと、(2)会社が実労働時間による時間外勤務手当を支給するとして、全社員を対象に責任手当等を廃止した後、非組合員をフロア長に就け、フロア長手当を支給するなどの補填措置をとりながら、組合員X2、X3については何らの措置をとらなかったことが争われた事件で、組合員X1に対する原職相当職への復帰及びバックペイ、文書交付、履行報告を命じ、組合員X2、X3に対する申立ての一部について却下、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人株式会社光輪モータースは、申立人全統一労働組合の組合員X1に対 してフロア長解任がなかったものとして取り扱い、用品部門のフロア長として 処遇し、平成8年11月度以降各月ともフロア長手当が5万円に達するよう支 払わなければならない。 2 被申立人会社は、申立組合に対し、本命令書受領の日から1週間以内に、下 記内容の文書を交付しなければならない。 記 平成 年 月 日 全統一労働組合 中央執行委員長 X4 様 株式会社光輪モータース 代表取締役 Y1 当社が貴組合の組合員X1氏に対してフロア長を解任したことは、不当労働行 為であると東京都地方労働委員会において認定されました。 今後このような行為を繰り返さないよう留意します。 (注;年月日は交付した日を記載すること。) 3 申立人組合の申立てのうち、組合員X2に対し平成8年9月度から12月度ま での各月5万円の支払い、及び同X3に対し同じく8年9月度から12月度まで の各月1万5千円の支払いを求める申立て部分は却下する。 4 その余の申立てを棄却する。 5 被申立人会社は、前記第一項、第二項を履行したときは、速やかに当委員会 に文書で報告しなければならない。 |
判定の要旨 |
5200 除斥期間
除斥期間を徒過した申立てか否かは、X1に対するフロア長解任の日を基準として判断することが妥当であるし、除斥期間は徒過していないとされた例。
5200 除斥期間
5201 継続する行為
X2、X3について、組合は責任手当等の廃止が継続する行為の始まりと主張するが、責任手当等の廃止自体が不当労働行為にあたるとまではいえず、組合の主張の前提を欠くこととなり、申立てより1年以上経過した部分は除斥期間を徒過したものとして却下した例。
1200 降格・不昇格
会社のX1に対するフロア長の解任及び解任に伴うフロア長手当の不支給の措置は、同人が分会の書記長として組合活動の中心的存在であったことを嫌悪してなされたものであり、同人に対する不利益取扱いであるとともに、組合運営に対する支配介入にもあたるとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
X2、X3の賃金が非組合員のそれに比べて格差が生じていたとしても、この格差が不当労働行為意思に基づく差別によるものであるとの疎明がなされたとはいえないとして棄却した例。
4400 原職相当職への復帰を命じたもの
会社では店舗の改廃が頻繁に行われていた経過があり、かつ経営が厳しい状況にあることを考慮すれば、フロア長の復帰先を解任時の場所に特定することは、必ずしも現実的ではないので、用品部門のいずれかのフロア長として処遇すれば足りるとされた例。
4405 バックペイから他収入控除
会社がX1に支払うフロア長手当の額は毎月5万円とするのを相当とするが、8年11月、12月度については支給済み額との差額を支払えば足りるとされた例。
4421 文書掲示等を命じた例
組合は、ポスト・ノーティスを求めているが、現在、会社の再建の方途が検討されている状況をも考慮すれば、文書手交を命じるのが相当とされた例。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集121集110頁 |
評釈等情報 |
 
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