概要情報
事件名 |
南労会(業務指示) |
事件番号 |
大阪府労委平成9年(不)第39号、同平成10年(不)第1号
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申立人 |
全国金属機械労働組合港合同南労会支部 |
申立人 |
全国金属機械労働組合港合同 |
被申立人 |
医療法人南労会 |
命令年月日 |
平成13年 5月10日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
医療法人が、①組合員X1に対し業務内容変更の業務指示に対し、従わなかったことを理由に、賃金カット、減給処分及び警告書の交付等を行ったこと、②業務指示に係る団体交渉に誠実に応じなかったことが争われた事件で、①業務指示がなかったものとしての取扱い及び同指示がなかったならば得られたであろう賃金相当額と既支払額との差額(年5分付加)、②減給処分がなかったものとしての取扱い及び減給控除分の支払い(年5分付加)、③警告書がなかったものとしての取扱い、④文書手交を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員X1に対する平成9年7月14日付け及び同月28 日付けの業務内容を変更する旨の業務指示がなかったものとして取り扱うとと もに、同指示違反を理由として行った同人に対する賃金カットの明細を明らか にしたうえで、同指示がなかったならば同人が得られたであろう賃金相当額と 、既に同人が受け取った賃金との差額及びこれに年率5分を乗じた金額を支払 わなければならない。 2 被申立人は、申立人組合員X1に対する平成9年9月30日付けの減給の懲戒 処分がなかったものとして取り扱うとともに、同人の賃金から減給分として控 除した金額及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。 3 被申立人は、申立人組合員X1に対する平成9年7月14日付け及び同月28 日付けの業務内容を変更する旨の業務指示違反を理由とする警告書がなかった ものとして取り扱わなければならない。 4 被申立人は、申立人らに対し、下記の文書を速やかに手交しなければならな い。
記 年 月 日 全国金属機械労働組合港合同 委員長 X2 殿 全国金属機械労働組合港合同南労会支部 執行委員長 X3 殿 医療法人南労会 理事長 Y1 当医療法人が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組 合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認めら れました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
記 (1)貴組合員X1氏に対する平成9年7月14日付け及び同月28日付けの業務 内容を変更する旨の業務指示について、貴組合と十分協議を行うなど誠意あ る対応をしなかったこと。 (2)貴組合員X1氏に対する平成9年7月14日付け及び同月28日付けの業務 内容を変更する旨の業務指示により、同氏を不利益に取り扱ったこと。 (3)貴組合員X1氏に対する平成9年7月14日付け及び同月28日付けの業務 内容を変更する旨の業務指示が撤回されるまでの間、同氏の勤務の一部を不 就労とみなして賃金を控除し、その計算方法を説明しなかったこと。 (4)貴組合員X1氏に対する平成9年7月14日付け及び同月28日付けの業務 内容を変更する旨の業務指示の違反を理由に、同氏に対して警告書を手交し たこと。 |
判定の要旨 |
0411 怠業
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3800 行為の結果・その他
診療報酬請求業務の一部の引き継ぎを課長に対し命じる業務指示等については、十分な業務上の必要性及び合理性があったとは認められず、指示等が発令された当時、組合と診療所との間では、合理化や支部組合員及び副執行委員長の懲戒問題などに関し、労使間で対立があったことからすれば、組合員X1に対する本件業務指示等は、当時の労使対立の局面を表したものであり、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為とされた例
2240 説明・説得の程度
4401 原職復帰と他の措置を併せて命じたもの
4407 バックペイの支払い方法
4421 文書掲示等を命じた例
業務指示ついて団体交渉で十分に説明しなかったことが、一応説明しているものの、請求業務を課長に当面集中させる理由等について十分に説明をしているとみることはできないことから、会は、団交の場において、本件業務指示等について誠実かつ十分に組合に説明したとはいえず、会の本件業務指示に関する団交態度は労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為とされた例。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
別冊 中央労働時報1257号3頁 |
評釈等情報 |
 
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