概要情報
事件名 |
サクション瓦斯機関製作所 |
事件番号 |
東京地労委平成11年(不)第69号
|
申立人 |
産業別労働組合ジェイエイエムサクション瓦斯機関製作所労働組合 |
申立人 |
産業別労働組合ジェイ・エイ・エム東京 |
被申立人 |
株式会社サクション瓦斯機関製作所 |
命令年月日 |
平成13年 3月 6日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
会社が、①労働協約所定の組合業務のために支部執行委員長が欠勤したことに対し、当該欠勤は争議状態下の欠勤に該当するとして、賃金及び賞与カットしたこと、②同問題を議題とする団交に応じなかったことが争われた事件で、①夏季賞与及び年末賞与からの欠勤控除及び当該各月の皆勤手当の支払、②団交応諾、④文書手交を命じ、その余の申立てについてを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人株式会社サクション瓦斯機関製作所は、申立人産業別労働組合ジェイエイエムサクション瓦斯機関製作所労働組合の前執行委員長X1に対して、平成10年3月10日開催の申立人産業別労働組合ジェイ・エイ・エム東京の拡大闘争委員会に出席するため欠勤したことを理由として、同年夏季賞与から欠勤控除した5,058円及び支給しなかった皆勤手当5,000円を支払わなければならない。 2 被申立人会社は、申立人産業別労働組合ジェイエイエムサクション瓦斯機関製作所労働組合の執行委員長X2に対して、平成10年11月4日開催の舶用関連労働組合協議会の総会及び定例会議に出席するため欠勤したことを理由として、同年年末賞与から欠勤控除した5,692円及び支給しなかった皆勤手当5,000円を支払わなければならない。 3 被申立人会社は、同X2に対して、平成11年5月24日開催の舶用関連労働組合協議会の定例会議に出席するため欠勤したことを理由として、同年年末賞与から欠勤控除した金額及び支給しなかった皆勤手当5,000円を支払わなければならない。 4 被申立人会社は、申立人産業別労働組合ジェイエイエムサクション瓦斯機関製作所労働組合との間で昭和57年7月6日に締結した労働協約付則3の趣旨に則り、同協約第八条の解釈適用を含む同協約の運用について、同組合が団体交渉を申し入れたときは、これを応諾しなければならない。 5 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、代表取締役の記名押印のある下記の内容の文書を、申立人組合らに交付しなければならない。
記
年 月 日
産業月労働組合ジェイ・エイ・エム東京
執行委員長 X3 殿
産業別労働組合ジェイエイエム
サクション瓦斯機関製作所労働組合
執行委員長 X2 殿
株式会社サクション瓦斯機関製作所
代表取締役 Y1
当社が行った下記の行為は、東京都地方労働委員会において不当労働行為であると認定されました。 今後このような行為を繰り返さないよう留意します。
記(1)貴組合員のX1氏が平成10年3月10日に「組合業務」により欠勤したこと、並びに貴組合員のX2氏が同年11月4日及び11年5月24日に「組合業務」により欠勤したことに対し、賞与から欠勤控除し、皆勤手当を支給しなかったこと。 (2)上記欠勤に対する月例賃金のカット、賞与の欠勤控除及び皆勤手当の不支給を議題とする貴組合らからの団体交渉申入れに応じなかったこと。 (注:年月日は文書を交付した日を記載すること。) 6 被申立人会社は、前各項を履行したときは速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。 7 その余の申立てを棄却する。、 |
判定の要旨 |
0300 争議行為の範囲
1204 スト・カット
2305 労働協約との関係
本件協約にいう「争議行為」は、争議行為が行われている期間のほか、現実に争議行為が行われていない状態であっても、争議行為の発生の虞が高いと客観的に認められる場合も指すものと解されるが、会社が、組合委員長が欠勤した日を争議状態下にあったたして、月例賃金カットしたことは不当労働行為に該当するといえはないとされた例。
0300 争議行為の範囲
1201 支払い遅延・給付差別
1203 その他給与決定上の取扱い
「争議状態」下における欠勤について、従前の取扱いと異なり賞与の欠勤控除をしたこと、皆勤手当を不支給としたことは、支部運営に対する支配介入の不当労働行為にあたるとされた例。
1204 スト・カット
4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
4408 バックペイが認められなかった例
4422 その他
日当限りの時間外労働拒否、組合に対する文書回答が賃金カット問題についての団体交渉を開催しない正当な理由とはならず、また、同問題等は、個人の賃金の問題である以上に支部の組合活動に対する便宜供与の問題であるので、会社の団体交渉拒否は不当労働行為にあたるとされた例。
2305 労働協約との関係
4500 交渉拒否理由または交渉条件に関する指示に触れた例
本件賃金等問題は、本命令により解決するので文書交付をもって足り、重ねて団体交渉を命じる必要は認められないが、争議状態下での組合業務を有給扱いとしない旨の協約第8条の解釈適用について会社の総務課長は団体交渉をやってもしょうがない等と固執し、会社も進んで改めようとしていないから、これをめぐる紛争の再発を防止するためにも、支部が同条の今後の取扱いについて団体交渉を申し入れた時は、会社がこれに応諾するよう命じることが適切であるとされた例。 |
業種・規模 |
輸送用機械器具製造業 |
掲載文献 |
別冊 中央労働時報1255号3頁 |
評釈等情報 |
 
|