概要情報
事件名 |
茨木高槻交通 |
事件番号 |
中労委 平成 8年(不再)第36号
中労委 平成 8年(不再)第37号
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再審査申立人 |
茨木高槻交通株式会社 |
再審査被申立人 |
個人X1外8名 |
命令年月日 |
平成11年 9月 1日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、賃金体系の変更に応じない組合員9名に対し、(1)入庫時間規制、無線配車規制、有給休暇数削減、慰安旅行の中止をしたこと、(2)休日出勤について差別的取扱いをしたことが争われた事件で、大阪地労委は、(1)組合員9名に対する入庫時間規制及び無線配車規制がなければ得られたであろう時間外勤務手当相当額の支払い(年5分加算)、(2)組合員9名に対する休日出勤を行っていれば得られたであろう休日出勤手当相当額(年5分加算)の支払い、(3)文書手交を命じた。会社及び組合員9名はこれを不服としてそれぞれ再審査を申し立てたが、中労委は、初審命令の一部を変更し、その余の各再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
I 初審命令主文第一項中「同年9月中旬」を「同年9月に各自について無線配車規制を行わなくなった日の前日」に変更する。 II その余の本件各再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
3103 労働協約締結をめぐる行為
会社が経営策としてB賃(賃金が営業収入に対してほぼ定率となる賃金体系)の導入を目指すこと、そのために、春闘において入庫時間規制及び無線配車規制を妥結の条件として組合に対し提案すること自体は、従来集団交渉での協定内容に他の労働条件を付加したことがなかったとしても、直ちに不当労働行為となるものではないとの初審判断を維持した例。
1302 就業上の差別
2901 組合無視
会社が行った第1次無線配車規制は、A賃(固定給と歩合給で構成される賃金体系)堅持の方針をとる組合活動を嫌悪し、差別的な経済的不利益を与えることによって組合の弱体化を図った不当労働行為であるとした初審判断を維持した例。
1302 就業上の差別
2901 組合無視
会社が組合員X2らに対して休日出勤を認めなかった取扱いは、前乗務員のB賃への移行を企図する会社が、B賃への移行を拒み続けるX2らを差別的に取り扱い、休日出勤手当による収入が得られないことによる経済的不利益を与え、もって、A賃B賃併存を認める方針をとっている組合に対し、その運営に支配介入する不当労働行為であるとした初審判断を維持した例。
1302 就業上の差別
1600 休暇の取扱い
2901 組合無視
組合が会社との間でA賃乗務員に関する協定は有効に成立したものというべきであり、また、同協定締結後、組合員X2らは同協定に基づく夏季及び冬季一時金の支給を受けているのであって、これらのことからすると、同協定を理由として実施された有給休暇数削減及び第2次無線配車規制をもって不当労働行為であるとすることは出来ないとした初審判断を維持した例。
1601 福利厚生上の差別
2901 組合無視
慰安旅行の費用は、組合員X2らから申請があれば支給される状態にあるにもかかわらず、X2らが申請をしていない状況にあるものと認められ、よって、慰安旅行の中止に係る申立てについては会社に不当労働行為は認められないとした初審判断を維持した例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集115集823頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 (財)労委協会 2000年3月 963号 21頁 
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