概要情報
事件名 |
茨木高槻交通 |
事件番号 |
大阪地労委 平成 5年(不)第81号
大阪地労委 平成 6年(不)第65号
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申立人 |
X1 外8名 |
被申立人 |
茨木高槻交通株式会社 |
命令年月日 |
平成 8年 8月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が申立人らに対し<1>有給休暇日数の削減、入庫時間及び無線配車の規制並びに慰安旅行を中止を行ったこと、<2>休日出勤を認めなかったことが不当労働行為であると申立てがあった事件で、大阪地労委は、申立人らに対する入庫時間及び無線配車の規制がなければ得られたであろう時間外手当相当額(年5分加算)並びに休日出勤を行っていれば得られたであろう休日出勤手当相当額(年5分加算)の支払い並びに文書手交を命じその余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人X1、同X2、同X3、同X4、同X5、同X6、同X 7、同X8及び同X9に対し、平成5年5月21日から同年9月中旬までの間に 行った入庫時間及び入庫時間後の無線配車の規制がなければ得られたであろう時 間外勤務手当相当額及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。 2 被申立人は、申立人X1、同X2、同X3、同X4、同X5、同X6、同X 7、同X8及び同X9に対し、平成6年1月23日以降、同人らが休日出勤を行 っていれば得られたであろう休日出勤手当相当額及びこれに年率5分を乗じた金 額を支払わなければらない。 3 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない 。 記 X1 殿 X2 殿 X3 殿 X4 殿 X5 殿 X6 殿 X7 殿 X8 殿 X9 殿 茨木高槻交通株式会社 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7 条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後はこのよ うな行為を繰り返さないようにいたします。 記 当社が、貴殿らに対し、平成5年5月21日から9月中旬までの間、入庫時間 及び入庫時間後の無線配車を規制し、また、平成6年1月23日以降休日出勤を 認めなかったこと。 4 申立人のその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1302 就業上の差別
A賃堅持を方針とした組合に対し、第1次無線配車規制(入庫時間及び無線配車の規制)を行ったことは、申立人らを含む組合員全員に差別的経済的不利益を与え、組合方針を切り崩す支配介入であるとした例。
4811 労組法7条3号(個人申立)の場合
組合が申立てを取り下げたとして個々の組合員が同一内容の申立てをすれば、それが正当な組合活動を理由とする差別的取扱いであれば、取り下げによって消長を来たすものでなく、個々の組合員の申立ては可能であるとされた例。
1602 精神・生活上の不利益
有給休暇の削減という不利益な提案がなされてもそのこと自体をもって不当労働行為とはいえないとされた例。
1302 就業上の差別
労使間の協定によって、有給休暇日数削減及び第2次無線配車規制がなされた場合において、<1>A賃乗務員の労働条件の変更を伴う労働協約の改訂が一切許されないとはいえず、<2>同協定の内容がB賃乗務員の労働条件に比して明らかに不利とはいえず、<3>同協定が申立人らの所属する組合の代表と会社で締結されていることを考えると、同協定の申立人らに対する効力の有無は一見して明白とはいいがたく、これらの措置は直ちに申立人らに対する不当労働行為であるとはいえないとされた例。
1601 福利厚生上の差別
慰安旅行の中止に係る申立ては、その費用につき申立人らから申請があれば支給される状態にあり、不当労働行為にあたらないとされた例。
1302 就業上の差別
休日出勤を会社が認めなかった措置は、B賃移行の完遂を図る会社が、その意図に反しA賃堅持の組合活動を続ける申立人らを差別的に取り扱い、経済的不利益を与え、もってA賃B賃併存を認めている組合の運営に支配介入するものとして労組法7条1号及び3号の不当労働行為に当たるとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集105集333頁 |
評釈等情報 |
 
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