事件名 |
伏見織物加工(脱退強要等) |
事件番号 |
京都地労委 平成 9年(不)第5号
京都地労委 平成10年(不)第1号
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申立人 |
京都ー滋賀地域合同労働組合 |
被申立人 |
伏見織物加工株式会社 |
命令年月日 |
平成11年 9月 8日 |
命令区分 |
棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)匿名組合員X1に組合員かどうかを確認する
発言を行ったこと、(2)同人に利益を示唆して組合を脱退させたこと、(3)組合が従業員あてに送付した葉書の内容に反論す
る文書を社内に回覧したこと、(4)組合の申し入れたX1に関する団交を拒否したこと、及び(5)組合員X2に対して、利益
誘導を行って組合を脱退させたり、虚偽の証言をさせたこと、(6)組合の申し入れたX2に関する団交を拒否したこと、(7)
団交を求める組合の門前活動を妨害したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、京都地労委は、上記(1)から(4)
に係る申立てを棄却、その余を却下した。 |
命令主文 |
申立人の申立てのうち、被申立人のX1に対する平成9年4月14日
及び26日の行為、5月9日の団体交渉拒否並びに回覧版の回付に係る救済申立てを棄却する。
申立人のその余の申立てを却下する。 |
判定の要旨 |
2622 組合員調査
会社社長がX1に対して組合について尋ねたことは、その内容からしてX1が組合員であることを確認しようとしたものではな
く、また、会社がX1が組合員であることを知ったのはそれより後であるので、組合に対する支配介入とは認められないとされた
例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
(1)会社がX1を嘱託として再雇用したことには業務上の必要性があったこと、(2)X1の嘱託の雇用条件が他の者に比して
格別に良かったとは判断されないこと、(3)会社がX1が組合員であることを知ったのは嘱託の雇用条件をX1に示した後で
あったこと、以上から会社がX1に利益誘導したとは認められず、脱退勧奨による支配介入行為とは認められないとされた例。
2620 反組合的言動
会社がX1の嘱託条件や組合加入についての回覧を社内に回付したのは、組合が社員に送った同上の事項についての葉書の内容
に、事実と異なる点があったため、それを是正するために行ったと認められ、また回覧の内容には、会社の知り得た組合に関する
事実を述べたに過ぎない事項もあるのであって、組合の運営に支配介入しようとしたものとは認められないとされた例。
2112 雇用する従業員不存在
X1の組合脱退が会社の強要によるものとは認められず、また会社が団交申入れを拒否した時点ではX1は既に組合を脱退してお
り、X1以外に社内に組合員はいないので、会社に団交応諾義務はないとされた例。
5124 その他の審査手続
申立て後、組合は、会社が社内に回覧版を回付したことについて追加申立てを行い、その後更に会社の団体交渉拒否についても追
加申立てを行った例。
4825 その他
組合が労組法上の労働組合に該当しないとの会社主張に対し、京都地労委で審査の結果、資格審査の適格決定を行っているとして
これを退けた例。
4833 組織の消滅(含1人組合となった場合)
申立人は、会社の平成8年10月から同10年9月までの一連の行為が不当労働行為であると主張するが、同時期の会社にはX1
以外組合員は存在しておらず、また会社がX1が組合員であったことを知った時には、X1は既に組合を脱退していたことから、
組合には救済を求める資格がないと判断された例。
5111 被申立人の追加
一連の不当労働行為を指揮監督しているのは会社弁護士及び所属法律事務所であるとして、組合は両者について被申立人追加申立
てを行ったが、双方とも労組法上の使用者に当たらないことは明らかであるとしてこれを退けた例。
5124 その他の審査手続
申立て後、組合は、会社の団体交渉拒否について追加申立てを行った例。
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業種・規模 |
衣服・その他の繊維製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集115集614頁 |
評釈等情報 |
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