概要情報
事件名 |
安田生命保険 |
事件番号 |
中労委 平成 3年(不再)第61号
中労委 平成 3年(不再)第62号
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再審査申立人 |
安田生命保険相互会社 |
再審査申立人 |
全安田生命労働組合 |
再審査被申立人 |
全安田生命労働組合 |
再審査被申立人 |
安田生命保険相互会社 |
命令年月日 |
平成11年 4月21日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が<1>別組合を脱退し、申立組合(以下「全労組」という。)に加入した者について、チェック・オフの拒否、<2>組合掲示板の設置・貸与の拒否、<3>営業職員X1に対する脱退勧奨、<4>執行委員長に対する有給専従打切り、<5>執行委員X2を営業所長から支社の主査に配転させたことが不当労働行為であるとして、申立てがあった事件である。 初審東京地労委は、会社に対し、(1)チェック・オフの実施、(2)組合掲示板の設置・貸与、(3)X2に対する配転の撤回、(4)これらに関しての文書掲示を命じ、その余の申立てを棄却したところ、会社及び全労組の双方がこれを不服としてそれぞれ再審査を申し立てた。 中労委は、(1)及び(3)については会社の再審査申立てに理由があるとして、初審命令を取り消し、(4)については、文書手交に変更し、その余の各再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
I 初審命令主文第1項及び第3項を取り消し、各項に係る全安田生命労働組合 の救済申立てを棄却する。 II 初審命令主文第2項を第1項とする。 III 初審命令主文第4項を次のとおり変更し、同項を第2項とする。 2 安田生命保険相互会社は、本命令受領の日から1週間以内に、下記文書を 全安田生命労働組合に手交しなければならない。 記 平成 年 月 日 全安田生命労働組合 執行委員長 X1 殿 安田生命保険相互会社 代表取締役社長 Y1 当社が、貴組合に対して組合掲示板を無償で設置・貸与していないことは 、不当労働行為であると中央労働委員会において認定されました。今後このよう な行為を繰り返さないよう留意します。 (年月日は文書手交の日を記載すること) IV 初審命令主文第5項及び第6項を第3項及び第4項とする。 V その余の各再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
会社が、組合員の範囲に関する「覚書」を理由に、他組合を脱退し組合に加入した新組合員に対する組合費のチェック・オフを実施しなかったことは支配介入に当たらないとされた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
従業員X1が一旦加入した組合を脱退したことには疑念が種々あったとしても、会社のいかなる職制が、いつ、どこで、どのような働きかけを行ったかについて具体的な主張・疎明がない以上、それをもって会社が同人の組合からの脱退工作を行ったとまでは認められないとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
2組合に対しては、組合掲示板をすべての事業所に組合から申出があれば設置・貸与することを認め、他組合に対しても本社等に設置・貸与しながら組合には「協議中」を口実にこれを認めようとしないことが支配介入に当たるとされた例。
4602 組合との協議を命じた例
組合掲示板の設置・貸与に当たっては、組合との間で設置する事業所の数、場所等について協議を尽くし、他の組合と均衡を失しない程度に合理的取決めをするのが相当とされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合執行委員長の有給専従の打切りは、労働協約の趣旨に従い、適宜の手段を尽くしたうえでなされたもので相当の措置であるとされた例。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が、営業所長である組合員X2に対し、所属営業所員を他組合から脱退させ自ら所属する組合に加入するよう勧奨を行ったことを理由に、支社の主査に配置転換したことは支配介入に当たらないとされた例。
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業種・規模 |
金融業、保険業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集113集724頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1999年7月 955号 13頁 
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